くもとり雑記

たいしたことではないけれど、雲取山登山で書き洩らしたことをメモ。

鴨沢停留所には、雨風をよけて座ってバス待ち出来るスペースあり。近くに軽食をとれる飲食店もあり。

留浦停留所は木製のベンチはあるけれど、雨風をよけられるような作りにはなっていません。日差しを遮るものが無いので、晴天の日は暑い!近くのきれいな公衆トイレは、鴨沢停留所にあるトイレより大きく使いやすいです。

公衆トイレの近くには、浮橋に降りる階段があります。浮橋は、大きなポリ容器のようなものの上に金属の板(?)が載っていて、同様のものがいくつも連結されています。水の上に浮いているので乗ると若干沈んだり、歩くと揺れることもあり、面白い。一つの板の上は10人以上乗らないように注意書きがありました。「釣り禁止」の表示もありましたが、近所の人が構わず釣りしてましたね。何が釣れるんだろう。

なお、留浦停留所の近くに飲食店はありません。鴨沢停留所から留浦停留所まで道路をまっすぐ歩いて10分もかからないので、バスの時間に余裕があれば、鴨沢近くの飲食店で時間をつぶすのも良いかも。

七ツ石山。疲れるので登るのをお勧めしませんが、縦走路がずっと先まで見えるのは楽しい。

雲取山荘。泊まった部屋の中でドコモ、auは電波が届いてました。通話はしませんでしたが、メールの受信やネットの検索が普通にできました。

山荘入口入ってすぐの売店前にストーブが設置されていて、周りに座れるスペースあり。が、一度座った人はなかなか席を立ちません。売店のペットボトル、ポカリスエットは400円でした。

動物。1日目も2日目も糞はあれども、鳥以外の動物との遭遇は無し。三峯ルートをとった相部屋の人たち2組は鹿を見たそう。成獣と小鹿、成獣2頭を見たというので、三峯ルートは鹿が結構いるのかも。1日目に雲取山頂から雲取山荘に向かう途中、鹿の鳴き声は遠くに聞こえましたが、姿は見えず。

運慶展(@東京国立博物館)

創エネ・あかりパークの一環で21時まで開館の東京国立博物館。というわけで、東京国立博物館の運慶展を見に行きました。

類まれな写実性と迫力のある造形で、教科書でみたこども心に強烈な印象を残した運慶の史上最大の作品展というなら、見に行かないわけにはいきません。

行った感想を一言でいうと、見ごたえがありました。難しいことは分かりませんが、仏像をあんなに間近にみる機会はなかなかないし、展示の仕方が工夫されているので特別感が増しています。

ライティングがとにかく効果的でした。仏像に陰影がついて、見る角度によって表情が変わる。四天王の立ち姿と炎を噴き上げる光背の影が展示室の壁に映り、かっこいい。運慶展で展示されているものは、ふだんはお寺で信仰の対象として安置されているもの。当然、お寺では美的な効果を最大限に高めるような置かれ方はされていません。普段とは違う仏像との接し方ができるのも、展覧会の魅力なのかも。

玉眼が使われている像と、使われていない像が同時に展示されていると、玉眼の効果がよく分かります。鎌倉時代の仏像らしく躍動感がある像でも、玉眼が使われていないと作り物っぽさを感じます。玉眼が使われていると、像に魂が宿ったようで、生き生きと表情豊かになる。無著菩薩立像なんて、光の加減で目が潤んでいるように見え、顔や体つきの造形の見事さも併せてリアルさがすごい。

聖観音菩薩立像は明治時代(だったかな)の彩色修復で、彩色が枯れた味わいになっている他の仏像と異なり、色鮮やか。もともとこんな風に鮮やかな色合いだったのかと思うと、他の仏像の本来の彩色もどのようなものだったのか見てみたくなります。

龍 燈鬼立像は、頭の上に乗っている燈籠を落ちないように上目づかいでバランスをとっているよう。頭に落とせないモノを乗せてるときはこんな表情になるよね、とその表情に共感してしまいます。

四天王像を見ては、「このポーズ格好良い!」と、同じポーズを取ってしまいたくなります。(取らないけど)

高山寺所蔵の「子犬」と「善妙神立像」、これは以前見たことがある気がします。一昨年の鳥獣戯画展にも出品されていなかった?愛らしい子犬の像と、小さいけれど美しく作られた善妙神立像が気に入って長く見入っていたわけですが、運慶の流れを汲む像だったのか。

運慶展は夕方に行って待ち時間なく入場できても、会場内は結構混雑していました。それでもこれだけ運慶の作品やその系譜の作品を一度に見られるのは、満足度高し。

さらに11/4(って明日か)までは夜間開館中に、運慶展で見られる作品群が本館壁面にプロジェクションマッピングで映し出されています。無言の圧力で迫る阿弥陀如来坐像や凛々しい制多伽童子などの、どアップが見られるチャンスです。

雲取山②

雲取山荘に着いたら宿泊手続きを済ませ、記念バッジをもらいました。山が描かれていて「標高年記念Y2017×2017M」と記されています。

部屋は2階の相部屋。三峯ルートから来た2人組の女性が2組と一緒で、総勢5名の部屋です。部屋には豆炭で温められたこたつが一つ。到着間もないころは身体が温まっているのでこたつは不要ですが、徐々に体が冷えてくるに伴い部屋の寒さが身に染みて、こたつの必要性を痛感します。枕が12個置いてあったので、混んでいるときは定員12人の部屋になるようです。

トイレ、流しは外にありました。流しの蛇口は押しても水が出ず、一か所水が流れ続けている管からだけ水を使えるようです。トイレは水洗で、嫌な臭いはありませんでした。乾燥室も外の別棟にあり、石油ストーブがついていて部屋より暖かく、照明も蛍光灯(だったと思う)で部屋より明るい。ベンチとテーブルもあるので、宿泊者がそこで自炊したり、コーヒーを入れたりしていました。

夕食は18時開始です。18時前から食堂前に列が出来てました。夕食の内容は、ご飯、お味噌汁、沢庵、ポテトサラダ、キャベツの千切り添えデミグラスソース味ハンバーグ、冷ややっこ、山菜の小鉢。山小屋なら普通なのかもしれません。山の鼻山荘や雨飾山荘の食事内容が良すぎたので、何だか寂しい内容に思えてしまいます。1泊2食付きの宿泊料金自体違うので、当然と言えば当然ですが。

お味噌汁の具は玉ねぎとワカメ。那須の大黒屋でもそうだったので、山小屋味噌汁の定番の具なのですかね。玉ねぎが苦手なのであまり嬉しくない・・・。なお、全員分を配膳し終わってから食堂に入れるので、既にセットされていたお味噌汁はほぼ冷めていました(ご飯はアツアツ)。

食事中に注意事項をいくつかアナウンスがあり、ご飯だけお替り可、食べ終わった食器は重ねてはいけない、こたつは朝まで温かさが持つので就寝時はこたつを活用すると暖かく眠れる、お湯は魔法瓶を持つ人だけ翌朝もらえる(魔法瓶以外は不可)、使ったふとんは元々布団が置いてあった場所にたたんで置いてはいけない(微妙にたたみ方が小屋のやり方と違うので、後で直すのが大変とのこと)、など。

夕食終わって外に出てみると、きれいな夜景が見えました。曇っていたので星空は望めないと思っていましたが、風が強く雲を吹き飛ばしてくれたようで、空に星もたくさん。夜景が見えると、そんなに高い山に登っているように思えないから不思議です。

翌朝の朝食は5時に始まります。6時頃日の出なので、まだ辺りは真っ暗。そして寒い。最低気温が氷点下というのは本当らしい。

朝食はご飯、玉ねぎとわかめのお味噌汁、生卵、焼き鮭、のり、ふりかけ、きゃらぶき(?)の佃煮など。昨日きいたお湯は、受付カウンターに何本もポットが置いてありました。ステンレスボトルにお湯を注いでいたら、出発する人、山頂でご来光を見るらしき軽装の人が次々と山荘を出ていきました。

山荘の部屋は東に向いていて、夜が明けていく薄明かりが見えます。特に急ぐ行程ではないので部屋で日の出を見ていてもよかったのですが、相部屋の人たちが全員出発してしまったので、一人部屋に居座っているのも気が引ける。結局6時には出発することにしました。

なぜ急ぐ必要がなかったかというと、バスの発車時間が微妙だったためです。鴨沢発のバスで下山時間に合いそうな発車時刻は10:15か、次の13:53.。下山には休憩時間を含めて5時間は考えておきたい。そうすると10:15発に乗るには、日の出前から歩き始めないと間に合いそうもありません。乗るとしたら13:53発になります。さらに鴨沢バス停から2つもどった留浦バス停(鴨沢から徒歩8分位)から奥多摩駅行き11:47発というのがある。鴨沢発13:53に乗るか、鴨沢から歩いて留浦まで行き留浦発11:47のバスに乗るか。留浦発にしたとしても、逆算して6:30に出発して充分間に合いそう。

6時頃に山荘を出てちょうど日の出が見えました、となるといいのですが、そうは問屋がおろさない。明るさから日の出を迎えたのは分かるのですが、雲が出ていてお日様が見えません。山荘から雲取山山頂に向かう樹林帯の中で、やっと太陽が見えました。

山頂に着くと、寒くて風も強い。昨日は雲で見えなかった富士山がくっきり見えます。台風とその後の強風で雪が吹き飛ばされ、真っ青な空を背景に、夏山のような姿を見せる富士山。「冠雪した富士山が見たかったよね。」と言っている人がいましたが、同感です。

早々に山頂を後にして、凍てつく登山道を下ります。山荘から山頂までの樹林帯の中のルートはザクザクとした霜柱が出来た道でしたが、山頂から小雲取山に続く登山道は、道自体が白く凍っています。同じ山でもルートが違うと植生が違って、道の凍り方も違い、面白い。

今日は昨日巻いた小雲取山も登っておきました。ここでも富士山が良く見えます。というか、石尾根縦走路を歩いている間、ずっと富士山が見えて気分が良い。奥多摩小屋のテント場ではいくつかテントが建てられてました。ここは昨日も風が強かったし、今日も風強くて寒そうだし、風の音が煩くないのかな。

今日は昨日の轍は踏まない、昨日登ったところは山頂を除き、巻き道を通ると決意して、巻き道を選択し続けました。ブナ坂の辺りに来ると、これから山頂に向かう登山者とちらほら行き会います。さらに巻き道を歩いていると、どんどん登山者とすれ違います。やはり巻き道を選択する人の方が多いのか。巻き道はしっかりしていますが、落ち葉がたくさん。雨の日は落ち葉で滑りやすいかもしれません。

巻き道の途中で小さな滝がありました。事前にネットで登山道に小さな滝があると見ていたのですが、その滝のようです。前日歩いているときに、(滝があるってネットで見たけど、無いな。)と思ったものでしたが、ここにあったのか。登山道の先に行くには、滝を越えて多少のしぶきを覚悟しなければなりません。出来るだけ濡れないように急いで通り過ぎたら、服に少ししぶきがついただけで済みました。

巻き道が終わり樹林帯に入ると、さらに多くの登山者とすれ違います。昨日より確実に登山者が多そうな感じ。空は青いし、広葉樹の紅葉はきれいだし、絶好の登山日和。登り優先で道をあけ、急がずに下山したら、10:20過ぎに鴨沢バス停に到着しました。実は鴨沢バス停に下る舗装道路を歩いているときに、家々の間から10:15発のバスが走り去るのが見えていました。もう少し早く山荘を出発していたら、バスに間に合ったかもしれません。

鴨沢バス停にいてもしょうがないので、とりあえず留浦バス停まで歩いていくことに。留浦バス停にはベンチがあり、近くに清潔な公衆トイレがあります。すぐ近くに奥多摩湖にかかる浮橋もあります。浮橋を渡って遊んだり、留浦バス停に到着した雲取山下山者と話したりしていたら、1時間以上もあった待ち時間もあっという間に過ぎていきました。

バスに乗って、ある所にさしかかったら、スマホで何かを撮影している人がちらほらいました。見ると、ダムが放流しています。2日続けて放流しているなんて、台風の影響で水位が相当高くなっていたんでしょうか。

バスが奥多摩駅に着いて、これで雲取山登山は終了です。雲取山鴨沢ルートは整備されていて登りやすい道でしたが、なにしろ行程が長い。日帰りしている人もいますが(石尾根縦走路を歩いているときに、行きで同じバスに乗っていた人がすごい速さで下山していくのところをすれ違った)、普通の体力の人に日帰りはちょっと無理だと思った今回の雲取山登山でした。

 

雲取山①

西暦と標高が同じ山、雲取山。今年中に行っておきたい、雲取山荘では記念バッジをくれるというし。紅葉の時期の土日、祝日は既に雲取山荘では予約締切、というわけで平日休みをとって行ってきました。

コースは自宅からアクセスの良い鴨沢ルートにしました。登りは8:38JR奥多摩駅着、8:42奥多摩発、9:16鴨沢着の西東京バスに乗って行きます。

奥多摩駅に着いたら既にバスには登山者がたくさん乗り込んでいました。8:03奥多摩着の電車でやってきた人達らしい。8:38着の電車に乗ってきた登山者も乗車し、増便はせず、ぎゅうぎゅうのバスで発車です。

満員のバスはつらい・・・。そんななかバスの運転手さんが気の利いた人で「左手をご覧ください。ダムの放流を行っています。」と車内アナウンスをしてくれて、期せずしてダムの放流を車内から見ることが出来ました。放流は初めて見ましたが、滝のように垂直に流れ落ちる水流と水量がものすごい迫力。

バスは東京から山梨に入って、鴨沢に到着。バス停近くにはお手洗いやちょっとしたスペースがあり、登山開始前のお手洗いと準備運動をすませ、9:30に登山開始です。

民家のある舗装道路を行き、雑木林を抜け、右手に村営駐車場を見ながらさらに舗装道路を行き、登山道入口に到着。ネットで見た「雲取山YEAR」の丸い看板が掲げられています。看板デカッ!思っていた以上に看板は大きかったです。

ここから林道に入り、植林された針葉樹の林や紅葉した広葉樹を黙々と歩きます。平日だったせいか単独行の登山者が多い。鴨沢ルートはアップダウンはあまりなく、危ない所や難しい所もなく、道をひたすら登り続けるというイメージです。あまり変化に富んでいないので、退屈だと思う向きもあるかもしれませんが、樹林帯の中は静かで風が吹きつけたりもせず穏やかで、嫌いじゃないルートでした。なにしろ雲取山荘まで行程が長いので、変化がありすぎると体力を消耗してしまい、日の入りまでに山荘に到着できなくなってしまう恐れもあります。

樹林帯を抜けると周りの山の紅葉がきれいです。しばらく行くと、七ツ石小屋・七ツ石山に行くルートと巻き道ルートが現れます。当然、七ツ石小屋・七ツ石山ルートを選びます。

七ツ石小屋は自炊小屋。外から窓の中を覗くと、畳まれた布団が見えます。ベンチが置かれた眺望のきくスペースでは、単独行らしき登山者が何人も行動食を取りながら休憩していました。休憩したい誘惑にかられましたが、さっき休憩取ったばかりだし、先は長いから、と一通り七ツ石小屋の様子を眺めたら七ツ石山へと急ぎます。

七ツ石山への登りは、地味にきつい・・・。急登というほどではありません。七ツ石小屋まで、単独行同士で同じバスに乗っていた70前後ぐらいの女性とご一緒していたのですが、その方のペースがいつもの自分のペースより早くて、オーバーペースで歩き続けてきたツケが回ってきたようです。七ツ石小屋からは単独行に戻って自分のペースで歩き始めましたが、一度消耗した体力はなかなか回復しません。すっかり疲れ果てて七ツ石山に到着しました。山頂からは雲取山に続く石尾根縦走路が見えます。せっかく登ったのにこれを下るのか・・・。雲取山荘までの行程を考えたら、体力のある人以外は巻き道を使った方が良さそうです。

七ツ石山を下りて、縦走路の途中には、眺望のきく小高いところが何か所かありました。よせばいいのに一つ一つ登り下りしていたら、さらに疲れることに。雲取山荘までの行程を考えたら、体力のある人以外は(以下略)。

石尾根縦走路では冷たい風が吹いてきて、アウターと手袋を着装。空を見ると曇ってきて、雨は降りそうもないけれど、気温の低下が心配になってきます。急がなきゃ。カラマツかな、黄色く紅葉していてきれいです。

平坦な道を急ぎ、ヘリポート、奥多摩避難小屋を過ぎたら、小雲取山への登り道と巻き道が目前に。残りの体力を考えたら小雲取山に登ることは考えられず、巻き道を選びました。何となく心の中には敗北感が。

と、小雲取山から軽装でスイスイと下ってくる人たちが見えます。あの特徴のある髪型の人たちは、行きのバスで見かけた人!このときは走っていませんでしたが、トレランをやっている人たちかも。この時間に下ってきているということは、日帰りをするということ?

雲取山を巻いたら、雲取山山頂ルートと、雲取山荘へ行く巻き道ルートの標識がありました。山頂に行かずそのまま山荘に行こうか一瞬心が揺れ動きましたが、結局山頂に行くことに。山頂までの登りを休み休みして登った先は、山梨県側の雲取山の表示がありました。記念撮影をしている人もおらず、ひっそり。東京都側の山頂はもう少し先です。東京側では「雲取山西暦二千十七年記念」の木柱があり、どーんと「雲取山 東京都最高峰」の石柱が。風が強く寒くて曇り、そして15時少し前という時間帯でもあったため、山頂にいたのは数人程度でした。この2017年記念の木柱は、来年になったらなくなっているのだろうか。

やっと登頂できたという感慨よりも、早く山荘に行かないと、という思いが強く、写真を撮り終わったら山荘へと急ぎます。宿泊者が多く雲取山荘の廊下で寝ている人を見たことがある、と知人から聞いたことがあるので、変なところで寝ることになりたくない。

山頂から三峯ルートを20分下っても、ちっとも山荘の姿が見えてきません。ルートはあってるはずですが、不安になってきます。が、25分位下ったら、人工物らしきものが見えてきました。15:30ごろ、やっと到着。ふう、長い行程でした。

くるみ割り人形10/28②(@新国立劇場)

2幕のディベルティスマンの振付も、難しそうなものばかり。

スペインの踊りは女性2人、男性1人。ちょっとした手足や首の角度の違いなのでしょうが、寺田さんは見せ方が上手いなぁ。

アラビアの踊りは女性1人、男性4人で、リフト多用。紅一点の木村さんは地上で踊る時間より、リフトされながら踊る時間の方が多いのでは?男性陣にリフトされながら、前方に倒れこむ振付がありました。「マノン」の娼館の場面で似たような振付ありますが、空中で前方に倒れこむ恐怖をダンサーの方はどうやって克服しているのでしょうか。アラビアの踊りは色気が必要とされる役柄なので、木村さんだけでなく他日キャストの本島さん、寺井さんもハマった役柄になりそうです。

中国の踊りは京劇風。通常女性・男性1名ずつのペアですが、女性1名、男性2名。奥田さんが元気で軽やかでした。

ロシアの踊り。女性4名の中に、男性1名で、男性ダンサーが主役。福田君の踊りが爆発していました。1幕でおじいさん役をやっていた人と同じとは思えない。ロシアの踊りは爆音でどんどんテンポが速くなるにつれ、客席のボルテージもあがるので、尻すぼみな踊りだと肩透かしをくらうのですが、見事に最後まで観客を引き付けていました。大喝采。1幕でクララの父母役を演じていた貝川君と本島さんが、友情出演的にロシア人形風の格好で突如現れ、ロシアの踊りグループと一緒に踊っていたのが謎でした。

蝶々の踊り。謎の役「蝶々」はこれか!葦笛の踊りの曲で蝶々の格好をしたダンサーが踊ります。踊りも格好も蝶々だな、とは思いましたが、なぜ蝶々?葦笛の踊りはフランスをモチーフにしているので、フランスと蝶々ってなにか関係があるのでしょうか。

花のワルツは群舞の美しさが際立っていました。背景が緑と青の中間色で、中央にはビザンチン様式風(?)のいくつものドームをもつ左右対称の建物が描かれています。どこかで見たことあるような建物ですが、何の建物だっけ。上方にはオレンジ色のバラ科の花がいくつも吊り下げられています。背景の緑と花のオレンジ色のコントラストが美しい。補色ですね。女性陣の衣装は裾に向かって色が濃くなる綺麗なオレンジ色。何枚も布を重ねてあり、動くたびにフワーッと柔らかに広がり、オレンジ色のポピーの花が舞台上にたくさん咲いているよう。高揚感とちょっとした哀愁を含むチャイコフスキーの音楽との相乗効果で、いつまでも終わらずに見続けていたいワルツでした。

最後はお待ちかねの金平糖の精と王子のパドドゥです。やはり難易度の高い振付。小野・福岡組の息のあった踊りを堪能しました。顔や腕をあげる角度が揃っていて、観ていて気持ちいい。リフトでは、「絶対落とさないぞ」という福岡君の心の声が聞こえてくるような鉄壁のサポート。ソロパートではそれぞれの良さを発揮していました。福岡君は、高度な技術なのにこれ見よがしにテクニックを誇示せず嫌味の無い、爽やかで美しい踊り。ソロになると、水を得た魚感がハンパない。小野さんは音感豊かに、ニュアンスがあって甘やかな踊り。チェレスタの不思議な音色とキラキラした小野こんぺい糖の精が、夢見心地にさせます。コーダでも難易度高く細かな振付で、フィニッシュがオケの音に間に合うか息をのんで見守りましたが、杞憂に終わりました。小野・福岡組はいつも質の高い舞台を見せてくれて、本当に満足度が高い。

新しい作品に取り組むバレエ団の熱が舞台から伝わってきて、終始楽しく見られました。バクランさんの指揮や東フィルの奏でる音も舞台を盛り上げてくれました。今回はシーズンオープニングということでこの時期の上演でしたが、再演はやはり12月が良いですね。

 

くるみ割り人形10/28①(@新国立劇場)

新国立劇場で「くるみ割り人形(イーグリング版)」を観てきました。

今回の版のくるみ割り人形は、新国立劇場バレエ団の2017/2018シーズンのオープニング作品で初演。筋は従来のくるみ割り人形と大きく変わっていません。が、振付が難しかったり、新たなキャラクター付けがありました。あまり期待してませんでしたが、面白くて満足しました。

キイーグリング版には謎の配役があり、キャスト表に「スケートをする人々」、「詩人」、「青年」、「蝶々」。頭に「?」が浮かびます。くるみ割り人形にこんな役の人っていたっけ?疑問を感じながら観劇開始です。

幕が開くと、まずセットが美しくて感激です。クリスマスパーティーに参加する人達がクララの家を訪れる場面では、セットと背景がうまく融合し、舞台に奥行きが感じられます。クララの家は川沿いに建っているようで、隣接した凍った川でスケートをする人がちらほら。「スケートをする人々」とはこれのことか。

イーグリング版ではクララもフリッツもその友人たちも、みんな本当の子供が演じます。大人が子供を演じている無理やり感がなくて良いです。一方で、大人のダンサーが一切いない、子供だけのソロや群舞の場面は物足りなさも感じました。

ドロッセルマイヤーはなぜか顔を白塗りしてます。ロココ風の髪型をしている(かつらを被っている設定?)から、その時代をまねて白塗りなのだろうか。ドロッセルマイヤーが子供たちにプレゼントを贈るのではなく、サンタクロースの起源である聖ニコラス役が出てきていました。

イーグリング版では、ドロッセルマイヤーが出す人形が踊る演出はありませんでした。仮面付けてキルト身に着けて踊っている役の人がいたり、女性1人男性2人のトロワで踊ったりする役の人がいたりしました。謎の役、「詩人」と「青年」は、この場面で踊っていた人たちのことなのだろうか。

パーティーが終わり、クララの夢の中。12時になると、クララとねずみの王様の戦いが始まる場面です。

時計が自然に12時になるのではなく、ドロッセルマイヤーが長時計の中から出てきて、針を12時に合わせます。ギャグっぽくて、なんか普通のくるみ割り人形と違うぞ?

ここで現れたクララは主役の小野さん。夢の中だから大人の姿になったということなのでしょう。クララは兵隊に協力して、ねずみやねずみの王様と戦います。騎兵隊長役の原君の踊りが清々しい。仮面をつけたくるみ割り人形とクララの踊りも、仮面のせいで視界の制限があるなか、リフトがあったり、やはり振付が難しめ。

そして何よりねずみの王様の振付の難易度が高い!普通の版では、ねずみの王様はラスボス感を漂わせるだけで、踊り自体はそれ程難しいことはしません。ですがイーグリング版では、ねずみの王様が踊る、踊る。さらに、くるみ割り人形やクララを、振りや態度で小馬鹿にして、観ていて小憎らしい。踊りの高い技術だけでなく、演技力も必要とされる役になっていました。ねずみの王様を演じているダンサーは誰?と一幕が終わってキャスト表を見ると、プリンシパルの奥村君でした。奥村君なら当然あれだけ踊れて、あれだけ演じられるなと納得です。

クララ達とねずみ軍の戦い。兵隊弱し。大砲から砲弾を発射したものの50センチぐらいしか飛ばず、ネズミ軍にノーダメージ。

このねずみとの戦いの場面は、コント?

砲弾はねずみの王様にちゃっかり拾われて、ホクホクと持っていかれてしまいます。それをクララが「ダメダメ、返して」という感じで追いかけます。やっぱりコント?笑っていいんだよね?一人で笑っていましたが、周りがシーンとしているので、思い切り笑えない・・・。

そんなお笑い場面の次が、冬の樅の林の音楽の場面です。ロマンチックな音楽の中、クララと王子がパドドゥを踊る、大好きな場面です。イーグリング版では倒れたくるみ割り人形ドロッセルマイヤーの甥に変身し、クララと踊ります。さっきのコントを引きずってしまい、ロマンチックな気分に浸れない・・・。なにかまたコントが始まってしまうのでないかと変なドキドキ感がありました。

そんなよけいな心配はよそに、雪の結晶の場面になだれ込んでいきます。雪の結晶は新国立劇場バレエ団の神髄、コールドのスタイルの良さと統一された踊りの美しさが堪能できました。やはりここでも振付の難易度、高いな。

ドロッセルマイヤーが乗る気球に、クララと甥も乗り込み、お菓子の国に向かうところで1幕終了。イーグリング版は船ではなく、気球なんですね。3人が乗る気球が宙に上がって、こっそりとねずみの王様も気球にぶら下がっていました。

 

 

 

 

 

 

 

炭焼き体験

もう10日も前のことですが、檜原村での炭焼き体験に参加してきました。

炭焼き体験といっても、木を切ったり、炭窯に木を並べたり、火をつけたりといったことはなく、ほんの触り。1.5m以上ありそうな長い棒を使って、燃え盛る炭窯の中から出来上がった炭を取り出す部分だけやらせてもらいました。

窯から炭を取り出すといっても、炭窯は道端にあるわけじゃありません。山の斜面の程よいところ(下の舗装道路から10分ぐらい登ったところでしょうか)に釜は作られています。そこまで雨の中、ぬかるんだ道を登っていきます。

登っていくと、山の斜面に炭焼きのための平坦な場所が作られていました。炭窯には数日前から職人さんが準備した炭が焼かれ続けています。

窯の前には4メートル四方ぐらいの木の枠で囲われた炭取り出しスペースがあり、スペースの端の方に灰が盛られています。窯の入り口の正面に立つと、窯から4メートルは離れていると思われるのに、窯から吹き出す火の熱さが伝わってきます。熱さは焚火より少し熱いくらい。

炭焼き職人さんがデモンストレーションで炭を取り出します。全長1.5m位の、先端がカギ型の金属製で持ち手は木製の炭取り出し棒(名称失念)を使って、窯からゴロゴロと大きな炭を次々と取り出していきます。取り出された炭は、中までしっかり火が通っていてオレンジ色。ここで炭取り出しスペースの端に盛られた灰の出番です。高温の炭は、灰を被せて温度を下げるために置かれていたのでした。職人さんの一連の作業は見ている分には、簡単そう。

職人さんのデモが終わったら、体験者が炭窯から炭を取り出す番です。炭を灰に被せる作業までするのは灰だらけになってしまうというので、今回は炭を窯から取り出す作業だけになりました。(雨が降っていたので、既に泥まみれのところ、さらに灰まみれになったら悲惨だったと思います。)

次々に炭焼き体験参加者が窯から炭を取り出していって、わたしの順番が回ってきました。窯の入り口近くにある炭は、先の参加者にあらかた取り出されてしまって、もっと窯の奥にある炭を取り出さなくてはなりません。炭取り出し棒が長いとはいえ、奥にある炭を取り出すには、窯の入り口近くに行かなければなりません。あれ、思った以上に熱い!熱いよ、だけど良い炭を取り出したい、の一心で、窯の近くで炭を取り出します。

大きな良い炭が出てきた、良い炭をたくさん掻き出したい、と思って気が急いて掻き出してみます。と、もろくも一部の炭が崩れてしまいました。しっかりした硬さがあるように見えたのですが、高温の状態ではちょっとした力の入れ加減で、崩れて小さな塊になってしまうようです。職人さんが簡単そうにやっていたことは、経験に裏打ちされたが故のことでした。

炭窯についての話や、毎回同じ窯を使って炭焼きするのではなく、ローテーションで窯を使うこと、木はきれいに立てて並べて焼くことなどの話も興味深かったです。窯を覗くと、本当に丁寧に木が並べられて焼かれていました。窯にポイポイ木を投げ入れて、適当に積みあがった木の山に火をつけて焼いているのかと思っていましたが、良い炭を作るためには手間がかかっているんですね。

炭焼き体験が終わったら、檜原村特産のこんにゃくを食べて、三頭大滝見学をしました。特産こんにゃくは、こんにゃく芋から直接作っているので柔らかで美味しい。三頭大滝への散策路はウッドチップで整備されて足に優しい。三頭大滝は意外に大きくて、紅葉がもう少し深まったらさぞ綺麗だろうな。