不思議の国のアリス(@新国立劇場)

不思議の国のアリス(@新国立劇場)を観ました。観たのは11/3の小野さん主演日です。感想は、楽しかった!そして、本島さんファンも、ファンじゃない人も、ハートの女王のタルトアダージオは必見!です。

タルトアダージオは、3幕で披露されるダンスです。ハートの女王が4人のトランプたちを相手に踊る、眠れる森の美女のローズアダージオのパロディ。演技力抜群の美人ダンサー、本島さんならきっとやってくれると思っていましたが、期待にたがわぬ舞台を見せてくれました。

3幕で、大きなセットのような赤いドレスに包まれて登場するハートの女王。みた瞬間、その大きさに驚きます。そしてセット的な真っ赤なドレスがパカッと真ん中から割れて、出てくるのは赤いチュチュに赤いタイツ、赤いトウシューズを身にまとったハートの女王です。セット的な女王が脱ぎ捨てた(?)ドレスの中には、ハートの王が縮こまって隠れていました。この家庭は、かかあ天下らしい。ちなみに1・2幕で女王が登場したときのセット的な赤いドレスは、3幕のものより大きさが小さかったです。(当然、ハートの王はドレスの中に入っていません。)

あたりを睥睨して、ハートの女王が踊りを始めようとします。ところが相手役のトランプ4人は、ガタガタと震えて女王の相手をすることに腰が引けてます。粗相をして首をちょん切られてしまっては・・・とビビる気持ちも分かります。互いに「お前が先に行けよ」「いや、お前が」という感じです。「しょうがない、俺が先にいくよ」と意を決して1番手になり手を差し出したものの、うなだれ方がすごい。そんなうなだれなくても・・・。元ネタのローズアダージオでは、気品を持ちつつもお互いけん制しあって、オーロラ姫の相手を我先にしたがる4人の求婚者とは大違い。

11/3の4人のトランプは豪華メンバーで、奥村君、井澤君という主役級ダンサーと、もう一人は小柴君かな?、あともう一人は誰だろう(最初、渡邊君と思いましたが、やはり違うと思う)無駄に豪華というか、格の高い本島ハートの女王の相手役ならこのメンバーで当然かという気もします。新国が推すダンスールノーブルたちがビビり役を演じるのは(おそらく)めったにないことなので。ここも必見ポイントです。

本島ハートの女王は、怖い女王の雰囲気を漂わせて、トランプを相手に踊り続ける。女王が怖いトランプはまともにサポートが出来ず、女王はバランスを崩したり、尻もちをついたり。リフトされたかと思うと、カエルみたいに足を曲げ、お尻を見せたり。無様な恰好ばかりで、ちっとも美しいポーズを見せません。ですがそんな変なダンスを踊り続けても、醜悪にも下品にもなりません。女性ダンサーが踊っているからか、美人ダンサーが踊っているからなのか、やり過ぎにならないような振付になっているからなのか。

ローズアダージオと違い、タルトアダージオでは女王はミニタルトを男性陣からもらいます。一口食べて「あら、おいしい」、また食べて「あらやだ、歯の間につまっちゃったわ」と台詞が聞こえてきそうな変顔が続きます。といっても変顔・変ポーズだけでなく、アティチュードバランスもしっかりきまって、ただのドタバタ場面ではないのです。

そして、本島ハートの女王が「首をちょん切っておしまい!」の変顔(?)を見せ、拍手喝采でタルトアダージオは終わります。変顔をいとわない美人演技派ダンサー、本島さんのタルトアダージオ、楽しかったです。

ドンドンドンドンという打楽器のリズムがなり、金管の緊迫感をあおるメロディが印象的な、トランプたちが踊る群舞。カッコよかったです。そんなに難しい踊りを踊っているわけではないんですが、女性陣のスタイルの良さが目を引いて、何だか目が離せません。

トランプの女性陣のチュチュがハートやスペードなど4種類のマークの形になっており、回転をするとそのチュチュが不思議な軌道を描きます。変な遠心力が働きそうですが、踊りにくくないのでしょうか。ヒラヒラしすぎないチュチュの作りで、かえって踊りやすいということもあるかもしれない。

パソコンの調子が悪いので、とりあえずここでお終い。ほぼ本島さんのハートの女王の感想しか書いてないな・・・。 

オネーギン(@東京文化会館)

ドラマチック・バレエの傑作「オネーギン(シュツットガルト・バレエ)」を観ました。マチュー・ガニオがオネーギン役として客演するので楽しみにしていました。感想を一言でいうと、見ごたえのあるドラマを観た!です。

エリサ・バデネスのタチヤーナはおしゃれより小説を読むことを好む、夢見がちな少女。そんなタチヤーナの前に現れた憂鬱な雰囲気を漂わせたマチュー演じるオネーギン。憂鬱な表情を見せていても、黒いタイトな衣装を身に着けた長身のマチューのカッコいいこと!タチヤーナは、都会的でスッとしたオネーギンにポーっとなってしまいます。

二人が最初に踊るパ・ド・ドゥ。嬉しくて笑顔をみせているタチヤーナとはうらはら、オネーギンは心ここにあらず、眉根にしわを寄せ、自分の憂鬱な感情の中に入り込んでいるという感じです。チラッともタチヤーナを見ないし、視線も合わせない。タチヤーナよ、ここで目を覚ませ、相手はあなたのことをまったく見てないよ、素朴な田舎の人々とは異質なオネーギンに、幻想を見ているだけなんだよと突っ込みたくなります。

オネーギンへの恋心が募り、手紙をしたためるタチヤーナ。いつしか寝入り、タチヤーナは夢の中。見どころの「鏡のパ・ド・ドゥ」が始まります。

鏡に映った自分の姿に、オネーギンが優しく近づき、それに驚くタチヤーナ。びっくり眼のタチヤーナは、まだどこか幼さが残る少女です。

夢の中のオネーギンは、昼間会った現実のオネーギンとは違い、笑顔を見せてタチヤーナと楽しそうにパ・ド・ドゥを踊ります。夏のバレエフェスでマチューが老けたように見えましたが、今回は老け込んで見えません。オネーギンで輝く笑顔を見せるマチューは、やはりカッコいい。バレエフェス時は夏バテしていてお疲れモードだったのかも。

夢の中でオネーギンとうっとりするような時を過ごし、タチヤーナはますます恋心を募らせてしまう。鏡のパ・ド・ドゥに使われている音楽は終幕の手紙のパ・ド・ドゥと同じですが、木管と弦楽器で穏やかに演奏される旋律はロマンチックで、終幕の激情とはかなり印象が違います。タチヤーナの恋心が高まり、この恋に希望があるかもという明るい結末を予想させます。

が、次のパーティの場で、タチヤーナの明るい希望は打ち砕かれることに。

パーティ会場でオネーギンは平静そうに装っていますが、イライラ感が漂っています。人がはけたところで、オネーギンはタチヤーナに手紙のことを問いただす。オネーギンのとげとげしい態度に困惑し、恋心を訴えるタチヤーナ。そんなタチヤーナに、(お嬢ちゃんの恋愛ごっこには付き合ってられないよ)という呆れた感じで空を見上げるオネーギン。そしてビリビリに破いた恋文を、タチヤーナの手のひらの上に降らせます。この時のタチヤーナの顔!思ってもみない酷い態度をとられた悲しみ が溢れていて、自分の感情を瞬時に隠すこともできない素朴な田舎の少女という感じが良く現れていました。

その後、タチヤーナの心をズタズタにしても気が晴れないオネーギンは、パーティでオリガにちょっかいを出しまくります。それを見てキレたオリガの恋人レンスキーと決闘することに。決闘で友人レンスキーを射殺してしまったオネーギンは激しく動揺し、2幕が終了。ここの決闘の場、色彩を押さえて影絵のような演出になっているところが、他の場面の華やかさと対照的で、意外と好き。

3幕は2幕から数年後という設定です。グレーミン公爵のパーティにやってきたオネーギン。髪に白いものがたくさん混じり、2幕から数年後のオネーギンには見えません。10年後といっていいくらいなのでは?友人を射殺してしまったショックが、一気にオネーギンを老けさせたという設定でしょうか。

都会的なパーティで華やかな人々が踊るダンスは、2幕の片田舎の家で行われたパーティのダンスより洗練されています。屋敷内も豪華な感じです。すっかり老け込んだオネーギンは、グレーミン邸のパーティでは悪い意味で場違いな感じ。1,2幕の田舎の人々がいる場で、洗練された都会的な姿が際立って目立っていたのとは対照的です。

華やかで楽し気な人々の中で所在無げなオネーギン。そんな中、知的で洗練された雰囲気を漂わせる美しい女性が登場します。かつてオネーギンに恋心を募らせ、酷くふられたタチヤーナです。かつての素朴で夢見がちな文学少女の面影はすっかり影をひそめ、周りの人を魅了せずにはいられない落ち着いた気品と美しさ。オネーギンはタチヤーナの虜となります。

私室で一人悩むタチヤーナ。手元には手紙、オネーギンからの恋文があります。一体、オネーギンは人妻である自分にどういうつもりでこんな手紙を、というタチヤーナの思いが伝わってきます。そこにはかつて思いのたけを手紙に書いた素朴な少女の面影はまったくなく、落ち着いた大人の女性がいます。

そして今度は思いのたけを伝えずにはいられないオネーギンが、思い余ったようにタチヤーナの私室に入ってきます。タチヤーナとオネーギン、突き動かされる思いに支配される人物が3幕では1幕と逆転する。

オネーギンの手紙に困ったことと思っていたはずのタチヤーナ。ですが、這いつくばってタチヤーナの愛を乞うオネーギンを見ると、冷静ではいられなくなります。一方のオネーギンも、あの人生に飽いたような人物が、無様な姿で愛を訴える人物に変貌しています。友人の射殺を経て一度死んだ心が、成熟したタチヤーナと邂逅し、新たに生まれ変わったのでしょうか。(いやいや、オネーギンも年をとって前頭葉の働きが悪くなり、抑制が効かなくなったという可能性もありえます、ちっともドラマチックじゃないけど。)

徐々にオネーギンの熱い訴えにタチヤーナの心は傾いていきます。鏡のパ・ド・ドゥと同じ旋律が、今度はフルオーケストラで激しく舞台を盛り上げます。寄せてくるような激しい旋律は、タチヤーナの心の中の嵐を表しているよう。タチヤーナの心はかなり揺れ動き、もみくちゃになっているような二人は、相当程度オネーギンのペースになっています。タチヤーナはこのまま流されていくのでしょうか。感情の奔流に流され、理性は感情の奴隷になるのでしょうか。

オケの高らかな金管の音がなります。タチヤーナが正気に戻ったのか、オネーギンの激情に流されるように見えながら、最後に理性でオネーギンを拒みます。理性を保ち、オネーギンからの恋文をビリビリに破るタチヤーナ。タチヤーナの拒絶にショックを受け、退散するオネーギン。

タチヤーナはオネーギンの恋心を粉々にし、自分のオネーギンへの恋心も完全に封印して、現在の自分のあるべき場所で生きていこうとします。顔を覆って、心を引き裂かれるようなつらい涙を流すタチヤーナ。それは、慎み深く思慮深い大人の女性が嗚咽する姿でした。

ドラマチックな舞台で、結末は知っているけれど、3幕はハラハラドキドキ。最後は涙が出てきました。周りの席の人でも目頭をぬぐいながら観ている人がいましたね。みんな何を思って涙を流したのか分かりませんが、単純にオネーギン可哀そう、タチヤーナ可哀そう、舞台に感動したという涙ではないはず。「オネーギン」は若い人が観ても楽しめる作品ですが、人生を重ねた人にはより一層楽しめる作品だと思います。この作品から何を受け取るかは人それぞれ。再度言いますが、充実して見ごたえのある舞台でした。

 

 

 

 

 

 

 

燕岳②

燕山荘でケーキフェア。喫茶サンルームでケーキセット950円(飲み物1杯、ケーキ1個)を注文すると、おかわりのケーキが200円/個でいただける。注文をするときに、喫茶室内以外で食べるのはダメとか、喫茶室を一度出たらそこで終了とかの注意事項を説明されます。

飲み物は紅茶にして、最初のケーキはりんごのキャラメルケーキを選んでみました。思ったより甘くて、一つ食べ終わったらちょっともう、追加のケーキはいいかなという気分になりました。ですが周りの人が食べているモンブランやニューヨークチーズケーキを見ると、やはりもう一つぐらい食べてみたいという気になります。

食べ終わったケーキの皿を受付に持っていって、追加の200円を支払います。追加はニューヨークチーズケーキ。早速食べてみると、こっちも町中で売ってるものより甘めな気がします。体内の塩分濃度が低くなっているから、余計甘く感じているのか、元々甘めのケーキなのか?しょっぱいものが欲しい・・・。

結局ケーキは2個でギブアップしました、3個目に抹茶のロールケーキを食べておいた方が良かったかもという多少の後悔を残して。

食後は、腹ごなしと野生動物探しを兼ねて、燕山荘の周りをウロウロ。燕岳に行く途中、雷鳥に遭遇しないかと期待していましたが、期待は空振り。燕山荘のそばを歩いていても、雷鳥には巡りあえませんでした。そのかわり、ホシガラスが1羽いました。すぐそばに人がいるのに、餌を探しているのか熱心に地面を嘴で掘っているホシガラス。都会にいるハシブトガラスと違って、可愛くみえます。

部屋に戻り一人で過ごしていると、向かいのスペースの人たちの話が聞こえてきました。「ブロッケン見たの初めて!感激!」なに?ブロッケン現象が見えるって?それは行かなくては!と思い、テラスに出てみると、雲が広がった先にブロッケン現象が現れていました。

燕山荘テラスから見えたブロッケン現象は、剱御前小屋で見たものよりも、大きな環に見えます。その虹色に輝く輪の真ん中に、後光が射したような自分の影が映っています。ブロッケン現象って、何度見ても神秘的です。

そばにいた単独行の女性の話によると、その女性はこの日、燕岳頂上、北燕岳頂上、戻ってきて燕山荘テラスの合計3か所でブロッケン現象を見たのだとか。午後になると山の天気は崩れるので、早めに山小屋に入ることにしておいたのですが、もう少し遅い時間に行っていれば、山頂でブロッケン現象が見られたかもしれません。まぁ、いいか。

ブロッケン現象を楽しんでいると、あっという間に夕飯の時間、4:30近くになりました。急いで食堂に行こうとすると、1階の階段から2階の廊下にかけて行列が出来ています。これは、食堂開店を待つ人々の行列?と思ったら、当たり。みんなやることないので食事の時間が待ち遠しいらしい。

この日の夕飯メニューは、白米、赤みその味噌汁、とろとろチーズ入りハンバーグ、煮魚、ポテサラ、プチトマト・スライスきゅうり添え千切りキャベツ、海藻サラダ、玉ねぎ入りキャロット・ラペ(?)、デザートの杏仁豆腐。ちょうどチーズ INハンバーグ(@ガスト)を食べたいと思っていたら、燕山荘の夕食にチーズ入りハンバーグが出ました!夕食時はおなじみ、オーナーのお話しとアルプホルンの演奏(ついでに燕山荘オリジナル饅頭の宣伝)を聞いて終了です。

夕飯後は雲海と夕日の鑑賞の時間です。夕暮れ時には槍ヶ岳側の雲はすっきりと無くなり、夕焼けを背景にシルエットになった槍ヶ岳がくっきりと見えました。槍ヶ岳って、シルエットになってもかっこいい。

夕日がすっかり沈んで、辺りが闇に包まれたら、今度は星空の出番です。夕飯時に同じテーブルの人に聞いていたのです、今日は流星が見られるはずだと。というわけで、星空を一通り眺めたらすぐさま部屋に戻ることはせず、寒い中、しばらく夜空を眺めていました。

すると、ヒュッと短く、星が流れていきました。あっという間に流れて消えて、あの短さでは3回も願い事を唱える暇はない。その後20分位、流れ星を待っていましたが、見られず。

翌朝、ご来光を見るために4時過ぎにテラスに行ったら、流れ星が1回見られました。そして前夜のようにしばらく次の流星を待っていましたが、その後も見られず。流星のピークはその日の午前9時と聞きましたが、他の時間帯ではジャンジャン流れ星が見られるわけではないようです。といっても流れ星を見るのは初めて、しかも2日連続で見られたのだから良いのかも。

夏場ではないので、さすがに4時過ぎでは辺りは夜の気配が濃厚です。星空は前夜よりよく見えましたが、8月中旬に五色が原で見た時より、星が遠くに見えます。降るような星空という感じではありませんでした。季節の移り変わりのためなのか、場所が違うからなのか?

いったん部屋に戻り、5時過ぎに再びテラスに出ると、すでに結構な数の人がご来光見学のために集まっています。目の前には雲海が広がり、濃い藍色からグラデーションになって徐々に曙色に変わっていく空に浮かぶ下弦の月がきれいです。絵になる景色。

そしてこの日はきれいな日の出を見られました。眼前に広がるもくもくとした白い雲海、反対側の槍ヶ岳は朝日を浴びてうっすらと赤くなっていました。

下山時も天気が良く、槍ヶ岳は青空を背景にしてきれいに見え続けました。この日、表銀座を縦走した人たちは、きっと気持ちが良かったことでしょう。

下山で高度を下げていくと、槍ヶ岳も雲海も見えなくなり、特別な空間から日常の世界に戻ってくる感覚が強くなってきます。天気がいい日だったので続々と登ってくる登山者とすれ違います。日常に戻っていく自分と比べ、これから素晴らしい景色に遭遇する人たちが羨ましくなります。

下山後は燕山荘グループの有明荘へ。有明荘の温泉で汗を流して、昼食をとり、帰りのバスを待ちます。有明荘食堂ではスイスワインが置いてあり、ワイン好きの人にはお勧めなのだとか。敷地入り口に植えられた有明もみじは、部分的に赤く色づいていてきれいでした。

ところで有明荘の立ち寄り温泉は半額で入浴することが出来ました。

遡ること前日の燕山荘、有明荘の入浴割引券をもらおうと、フロント辺りでうろついていましたが、どこにも割引券が置いてありませんでした。スタッフの人に有明荘の入浴割引券をもらおうと声をかけると、すかさず「クラブ燕山荘に入会すると、入浴料が半額になって割引券を使うよりお得ですよ。」

ポイント10個ためると1泊無料になるとか、有効期限は10年だとか、会費はかからないとか聞いてしまうと、つい心が動いてしまい、その場でクラブ燕山荘に入会してしまいました。去年宿泊した時も思いましたが、燕山荘のスタッフって営業熱心、かつ、客の心を機微を良く分かっています。

帰りのバスは八ヶ岳の美濃戸口を経由して、新宿へ。祝日だったので高速は混み、一般道に下りたり、また高速に入ったりで、19:30過ぎに新宿に到着しました。バスの途中休憩を除いて、6時間以上バスに乗っていたので疲れました。来年、表銀座縦走する(予定)時は電車で移動しようと決意して、今回の燕岳登山は終了です。

燕岳①

10月の3連休は燕岳に行ってきました。燕山荘のケーキフェアでケーキを食べ、ブロッケン現象と流れ星を見ることが出来ました。

今回の登山で利用したのは、毎日あるぺん号で土曜深夜に竹橋を出発し、翌日早朝に中房温泉の燕岳登山口に到着、燕山荘で1泊して、バスで新宿まで帰ってくるというプランです。深夜出発のバスは7月に行った尾瀬バスツアーで懲りたはずですが、毎日あるぺん号はどんなものかと性懲りもなく乗車です。

出発の23時の15分前から受付開始ということで、22:30頃には竹橋に到着。毎日新聞社ビルB1は閑散としていましたが、受付の1Fに行ってみると、いるわいるわ、登山の格好をした人々が。

3連休は台風25号の影響がどの程度になるのだろうかと、何日も前からやきもきしていて天気予報をチェックし続けていました。が、登山することになる日曜日はそれほど悪影響がなさそう。内心台風が不安になりつつ竹橋に到着したわけですが、同じく台風は大丈夫そうと判断した人たちがわんさかここにいるようです。

出発時間になり、バスに乗車。今回のバスは中型バスです。尾瀬の時は小型バスで前後左右の間隔が狭く、道路の凹凸をいちいち拾ってガタガタと眠れたものじゃありませんでした。中型バスならもう少し快適かもと期待していると、前後左右は小型バスより広く、ガタガタと振動がひどいということもありませんでした。そうはいってもやはり普通の観光バスなので、眠りが浅くなります。

バスは翌日4:30頃に常念岳の登山口にあたる一ノ沢林道に到着しました。夏ならこの時間帯ならうっすら明るいものですが、秋のこの時期、辺りは真っ暗です。駐車場にはわりと自動車が停車しているように見受けられます。狭い道路を通行して一ノ沢林道終点で下車する乗客を降ろし、ここを抜けて次の目的地、有明荘前に出発です。

ですが狭い道路の幅いっぱいの中型バスは、駐車場に自動車がけっこう駐車していることもあり、方向転換が出来ません。そしてバックして狭い道を抜けようとするにも、辺りが暗くてスムーズにバックできません。そんなわけでバスが一ノ沢林道終点から抜け出るのに一苦労したため、燕岳登山口に到着したのは予定よりやや遅れた5:45頃となりました。

燕岳登山口に到着すると、思ったよりも人がいます。同じバスで来た人だけでなく、グループや単独の個人登山客が既に20名以上はいたでしょうか。朝食をとって、登山案内所(?)に登山届を提出し、6時過ぎに登山開始です。ところで登山案内所(?)のような小さな建物(6時前には係員の方が出勤していました)はいつの間に出来たのでしょう。去年来たときは気づきませんでしたが、去年もあったっけ?

燕岳への道は登山開始直後から急登が始まります。燕岳までの道で難しいところが無いのは、去年参加した燕岳登山ツアーでチェック済み。ですが、深夜発のバスでよく眠れなかったため、身体が重いです。紅葉している木もあり、楽しそうに写真を撮っている登山グループもいましたが、紅葉を楽しむ余裕もなくバテバテ。やたらと疲れながら、すでに西瓜の販売は終わった合戦小屋まで登っていきました。来年は、表銀座を縦走したいと思っていますが、毎日あるぺん号で中房温泉登山口まで来るのはやめとこう・・・(安さに負けて毎日あるぺん号にしてしまうかもしれないけれど)。

ところで台風の影響ですが、道中雨は降られず。そして稜線に出るまでは木々がブロックしてくれて風の影響もなし。稜線に出たら風が吹いていましたが、登山に支障をきたすような風速でもなし。空は多くの雲が出てて合間から青空が見えている、寒くも暑くもない天気です。そんなわけで、寝不足でバテてはいるものの、10時には燕山荘に到着しました。

燕山荘に到着したら、チェックインしてザックを置かせてもらってから、アタックザックで身軽に燕岳まで行こう。というわけにはいきませんでした。宿泊の受付は出来るものの、11時過ぎにならないと部屋の案内は出来ないといいます。しかも今受付をしてしまうと、夕食は一番早い4:30の回になってしまうと。いま受付を済ませるべきか、迷う・・・。3連休の中日で天気も悪くなく、多数の宿泊者が見込まれ、受付が遅れて去年泊ったような大部屋に案内されるのも嫌だし・・・。

受付は保留しておいて燕山荘の外に出ると、ベンチ近くにいくつもザックが置かれています。どうやら最少の荷物で燕岳に行っている人たちがデポしているザックのようです。それでは自分もと、アタックザックに貴重品と飲み物を入れて宿泊受付は後回しにして、燕岳に向かうことに。

白い花崗岩のさらさらとした道を歩く。雲の間から漏れてくる陽の光が白い花崗岩に反射して、まぶしい。風雪に侵食された奇岩は、堅い岩石のずっしりとした重量感、人を寄せ付けない雰囲気のものに比べてどこかユーモラスです。

もう少し晴天だったら、青空、白い花崗岩、緑のハイマツのコントラストで見ごたえあっただろうなと思いながらハイキング気分で歩いていると、あっという間に燕岳に到着です。山頂には標識は立っておらず、表面が平らな石の上に「燕岳頂上2763m」と刻まれています。ちょうどその石の隣で皆さん記念写真を撮るらしく、座るのにちょうどいい感じに山頂部が平らになっています。

山頂からは晴れていれば360度の展望があるのですが、雲が多い日だったので遠くの山々は全く見えません。燕岳のごく近くの北燕岳は良く見えます。北燕岳頂上に立っている人が見えます。ちょっと足を延ばして北燕岳まで行こうかという気にもなりましたが、コマクサが咲いている季節でもないので止めておきました。夏だったら北燕岳に行くまでの間に白いコマクサが咲いているというので、白コマクサ見たさに足を延ばしたかも。

一人で歩いていると、同じく単独行の人と自然に話しをし始めます。他の人のプランを聞くのが楽しい。

山頂で出会った若い女性は、これから大天井岳まで行き、翌日に槍ヶ岳に登る予定とのこと。すごいなぁ。単独行の年配男性は、自家用車で埼玉の自宅から夜に出発し、5:30に到着して登りはじめ、この後燕岳登山口まで下山して埼玉の自宅に日帰りするといいます。燕岳って埼玉から日帰りで登りに来る山なんだ!と驚きました。

燕山荘に戻ると11時を過ぎているので、受付を済ますと部屋に入れます。受付のスタッフさんに顔を覚えられていて、「今からの受付だと、まだ4:30の夕飯なんです。」と申し訳なさそうに言われましたが、夕飯4:30でいいやと受付を済ませます。

通された部屋は山小屋によくある2段式のもの。1階部分のスペースを割り当てられ、3畳に布団が3枚敷いてあります。混雑が予想されるので一人半畳になることもありますと案内役のスタッフさんに言われましたが、最終的には4人で使用できました。きつきつで寝ることにならなくて良かった!

割り当てられた部屋はどうやら女性専用に仕切ったブロックだったようで、隣や上、向かいのスペースに男性が宿泊していることはありませんでした。窓からは正面に燕岳が見えます。向かいの部屋の窓からは天気が良かったら、もしかしたら槍ヶ岳等が見えるのかも。到着順に部屋を案内してくれるので、良い立地の部屋を案内してくれたのかもしれません。食堂からは少し遠いですが、窓から燕岳を見られるのは素敵です。

さて、燕山荘のHPには10/3までと載っていたケーキフェア。10時過ぎに受付に行ったときに、「本日ケーキフェア開催」のお知らせを見逃しませんでした。燕岳に登っている時も、燕山荘に戻ったらケーキを食べるんだと心に決めていました。というわけで、部屋にザックを置いたら、さっそく喫茶サンルームに向かいます。

つづく。

 

 

3日目に奥穂高岳登頂、4日目上高地へ。

奥穂高岳登山ツアー3日目。

前日の予想では、雨。だったのが、早朝外に出てみると、曇り!晴れは望まない、小雨でもいい、せっかくここまで来たのだからとにかく奥穂高岳に登りたいという前日からの願いがかないそうです。

5時半過ぎには、ほぼ雲で隠れていた山の斜面が、一部だけ雲が切れてオレンジ色に染まり、ほんの少しモルゲンロートが見られました。もっとピンク色系の赤い色を想像していましたが、思った以上に朱色で、写真に撮ると山火事のように見えます。(撮り方の問題?)

3日目は山小屋で朝食をとってからゆっくりと登り、奥穂高岳に登って下りてきてから穂高岳山荘で長めの休憩(昼食)。昼食後、またゆっくりと下り、涸沢小屋の前を通って涸沢ヒュッテに戻る行程です。

ザックは涸沢ヒュッテに置いておき、アタックザックに必要最低限のものを入れて出発。空模様はいつ雨が降ってきてもおかしくないような怪しい感じですが、出発時はとりあえず曇り。雨が降っておらず、背負ったアタックザックも軽いときて、軽快です。前日の雨中のザイテングラート手前までの行程のつらさと段違い。重たいザックを背負わずザイテングラートを通れたのが、かえって良かったような気までしてきます。

といっても出発時は曇りでしたが、奥穂高岳までは常に雨が降ったり止んだりの繰り返し。ザイテングラートでも雨が降り、前日の雨の影響もあって岩が乾いておらず。それでも、朝イチでまだまだ疲れ知らずで気力体力が充実していたので、ツアー参加者は結構難なく通過できました。大きな茶色いナメクジが、のんきにザイテングラートの岩の上を這っていたので、緊張が緩和されたかも。

ザイテングラートを抜けても、雲は厚く、穂高岳山荘はまったく見えません。穂高岳山荘に到着した時も雨が降っていました。ここで登頂前に一休憩ということで、コーヒーを頼んだり、ホットココアやおしるこを頼んだり。わたしはおしるこ(お茶付きで600円だったような?)を注文しました。おしるこに入っているのはお餅ではなく、白玉。お茶は粉茶をお湯で溶いたもののようで、濃厚です。

休憩を取ったら、いよいよ奥穂高へ。山荘の外は濃いガスで覆われています。濃いガスの中、このまま奥穂高岳に向かっていって大丈夫だろうかと、アタックを思いとどまる人たちもいたようでした。なにしろ山荘そばの登りの鉄梯子が、通常なら山荘からよく見えるのですが、ガスが濃くて全く見えません。2~3m位登った人の姿もガスでかき消されているような状態です。

そんな中、ガイドさんがいるツアー参加者は心強いものです。自分では登っても大丈夫か判断できないところでも、ガイドがついているので進むべきか撤退すべきかの判断をお任せできるのですから。というわけで濃いガスの中を突き進んでいきました。ツアー一行の後を個人登山者のグループもついてきます。

事前に奥穂高岳登頂の行程で、注意すべき箇所を教わっていました。山の斜面の出っ張ったところが難所だと。その出っ張ったところの下の方に滑落防止のためのネットがはってあると聞いたのですが、下から登っていく途中や、出っ張ったところに通過する前は、件のネットは見えません。出っ張ったところをほぼ通過し終わる地点に差し掛かると、下方にネットが見えました。(ああ、ここが難所だったのか。)と通過し終わるときに分かったくらいです。かえって通過する前に見えなかったから、変に構えなくて良かったのでしょうか。わたしも含めツアー参加者は怖くて足がすくんで通過できないということはありませんでした。それにしても、滑落防止用のネットと聞いていたので、もっと目が細かいものを想像していたのですが、ずいぶんと目の粗いネットがかかっていました。あれでは落ちた人がひっかかったとしても、荷重に耐えられなくて切れるのではないかと疑問に思います。頼りなさそうに見えても山の設備は結構しっかりしているので、大丈夫なんでしょうね、おそらく。

山頂が近づいてくると、空が少しだけ晴れてきました。ガスが少し晴れて、ジャンダルムも見えてきます。ジャンダルム、ああ、怖そう。さすがに濃いガスの中、ジャンダルム方面から登ってくる人はいませんでした。

山頂の祠の前で、一人づつ記念撮影。順番が回ってくるまで、じっと登山道で待ちます。ツアー参加者の中には、雲のある青空をバックに記念撮影が出来た人、曇天のしたの撮影になった人など、それぞれ。わたしは風が結構吹いているガスが出ている中での撮影になりました。祠前での撮影が終わったら、方位盤があるところに行ってみましたが、ガスのため見事に何も見えませんでした。

下山は慎重に。奥穂高岳から穂高岳山荘までの岩は乾いているので、濡れている石に足をとられることはありません。穂高岳山荘から奥穂高岳の往復は、あまり雨に降られませんでした。下りは登りの時よりガスは若干薄くなっているものの、穂高岳山荘にかなり近くなるまであの赤い屋根はやはり見えませんでした。

穂高岳山荘に戻り、昼食。行きはまだ準備が出来ていなかった食事メニューが提供されていました。味噌ラーメン(1000円)を注文しましたが、登頂してほっとした後のラーメンは美味しい。

2日目に泊るはずで泊れなかった穂高岳山荘ですが、休憩時にチラッと見ただけでも、涸沢ヒュッテより良さそうな雰囲気です。入り口近くの談話スペースは、リスの模様が打ち出されたストーブが置いてあって、ゆったり出来そう。宿泊していれば売店で売っていたタオル(300円位?)を貰えたはずだし。HPを見ると、流しに鏡がついた洗面スペースではなく、洗面台がズラッと設置してあって使いやすそうだし。きっと奥穂高岳には再び登頂しないだろうから、穂高岳山荘にも泊ることはないと思われます。1度泊ってみたかった・・・。

穂高岳山荘を出てからの下りは、けっこうな数の登山者とすれ違いました。すでに午後になっていたので、朝早く横尾あたりから登ってきた人たちでしょうか。

ザイテングラートを抜けると、遠方の景色をみる余裕も出てきます。あれだけ濃かったガスが少しづつ晴れ、遠方の山々が見えてきます。

当初の予定通り、帰りは涸沢小屋に寄りました。ここのソフトクリームは美味しいと評判だそうですが、それ程ソフトクリームにそそられないわたしは食べず。食べた人の感想によると、徳澤園のソフトクリームより濃厚だったそうです。てぬぐいをチェックしようと思っていたのがすっかり忘れ、チェックしそびれたのが心残り。下山時に止んだと思われた雨が涸沢小屋に到着したら、再び降り出してきました。そしてこの雨はその後、夜になっても止まず。

涸沢ヒュッテ2泊目の夕食。夕食は毎日同じメニューと怖いことを言っていた人もいましたが、ちゃんと前日とは違うメニューでした。内容は、白米、お味噌汁、里芋の煮っころがし、鶏の照り焼き、アジフライ、カボチャのてんぷら、千切りキャベツ、ポテトサラダ、漬物。この日も長野県警の山岳救助隊員の方が、安全登山の啓発スピーチを夕食中にしていました。土日祝日だけなのか、平日もやっているのか不明ですが、前日とは違う隊員さんがスピーチしていました。前日は槍ヶ岳近辺で山岳救助に従事していたそうで、傘をさして槍ヶ岳山荘までの登山道を登っていてケガをした人の救助をしたのだとか。傘をさして登山しないようにという注意喚起もありましたが、傘をさして登山なんてしませんって。ですが、確かに8月槍ヶ岳に行ったときに、ザックの横のポケットに長傘を収納して下山している人を2人位見かけて、(なぜ長傘を持ち歩いている?)と不思議に思った記憶があります。あの人たちも雨天時は、傘をさしながら登っていたのでしょうか?

ツアー2日目にあれだけ混んでいた涸沢ヒュッテですが、3日目の混みはそれほどではありませんでした。昨日泊った人たちは、奥穂に行って下山時は涸沢小屋に泊ったり、いっそのこと横尾や上高地まで下りていったりしたのでしょう。それほど混んでいない涸沢ヒュッテは、この日は2部屋借りてめでたく男女別の相部屋に泊れることになりました。一人一布団で寝られます。

ツアー最終日の朝は前日から引き続きの雨。1日目を除き、毎日雨具を身に着けています。(今日も雨か・・・)としょんぼりしながら下山をしていると、涸沢ヒュッテを出発して30分もしないうちに雨が止んできました。この後は、一切雨具いらずで上高地まで下山できました。2日目がこうだったら、どんなにこの登山ツアーが楽だったことかと思わずにいられません。天気がぐっと良くなったので、下から登ってくる人(個人グループ、ツアーの人)が多いツアー4日目でありました。屏風岩もきれいに見えたな・・・。

こんなかんじで、奥穂高岳登山ツアーは終了です。

 

涸沢ヒュッテ

奥穂高岳登山ツアー2日目は、雨のため当初の予定の穂高岳山荘まで行くことはできず、涸沢ヒュッテで足止め。

酷い雨で徳澤園の出発時間を遅らせましたが、雨は弱まらず涸沢ヒュッテに到着です。涸沢ヒュッテで雨の様子を見ながら休憩。冷えた身体におでん(700円)の温かさが染みわたります。個人的には城山茶屋(小仏城山)のおでんより美味しいかと。

山の天気予報では11時過ぎから雨が止むとのことで、涸沢ヒュッテで30分くらい休憩を取ったら再出発です。3日目の方が2日目のこの日より天気が悪いという予報で、2日目のうちに穂高岳山荘まで行き、奥穂高岳にも登ってしまおうということです。

出発して間もなくは、まだ元気。ですが降り続く雨の中、すぐに体力が消耗していきます。

この日は準備万端、立山の時とは違ってスパッツをつけていたので、靴の中に雨水が入ってぐちゃぐちゃにはなりませんでした。ただし、ひどい雨のなか何時間も歩き続けていると、靴に雨水が浸み込んできます。

雨用手袋として使っていたテムレスは、雨が浸透してきます。立山の時もテムレスを使っていて雨が入り込んでた経験があり、今回はきっちり防御するようにつけていましたが、やはり雨が入ってきます。今回の経験で、つけ方の問題ではなく、テムレスは雨が浸透してくるものだということが分かりました。テムレスは弱い雨なら効果があるのかもしれませんが、強い雨には効果がないようです。

そしてテムレス内にたまった雨水が、腕を上げたはずみに肘、脇の下まで流れ込んできて、ウェアが濡れてしまいました。冷たい!雨具のボトムから雨が浸透したのか、汗のせいなのか、ズボンも濡れています。

雨はやむ気配がなく、雨中の行程は通常より体力消耗が激しいです。つらい・・・。ザイテングラートの手前まで行きましたが、予定の11時を過ぎているのに雨足は弱まらず。結局、雨でぬれたザイテングラートは危ないという判断で、涸沢ヒュッテに戻って急遽泊ることになりました。

素人目線でもこの雨は止まないだろうと思いましたが、涸沢ヒュッテに戻る途中も、その後も、強まりはするものの止むことはありませんでした。山の天気予報は当たらない・・・。そんな雨の中でも、徳澤園で一緒だった他の登山ツアーの人たちや2~3名位の個人グループは、ザイテングラートを登っていきました。ガッツあるなぁ。

急遽泊ることになった涸沢ヒュッテ。本来なら3日目朝に奥穂高岳に登り、ゆっくりペースで涸沢ヒュッテまで下りてきて3日目の宿泊地になるはずでした。予定変更したため、2日目涸沢ヒュッテ泊、3日目涸沢ヒュッテから奥穂高岳に行き、戻ってきてまた涸沢ヒュッテに泊ることとなりました。

紅葉の涸沢の画像を見て、憧れていた涸沢ヒュッテ。ですが、憧れは消え去りました。部屋はまだいいとして、トイレの臭いがつらい・・・。ツアー参加者が「これでもきれいになったのよ。前はもっと汚かったんだから。」と言ってましたが、そうなのか・・・。槍ヶ岳山荘のように小屋内にひどい臭いのトイレがあるのではなく、外にあるのでまだいいと思うことにします。ちなみに、トイレの隣が乾燥室になっていますが、トイレの入り口扉をきっちり閉めているので、隣の乾燥室にトイレの臭いは漂ってきません、おおむね。臭い対策には扉をしっかり閉めることが重要なのが、ここでも証明されました。

談話室は居心地良いです。ですが、雨で行き場のない登山者がストーブがあり温かい談話室に集合し、談話室はみっちみち。

泊った部屋は別館の大部屋。男女同室の相部屋で、ツアー参加者スタッフも含めて同じ部屋です。部屋内にカーテンの仕切りがないのがつらいところ。(外のトイレのそばに更衣室があり、そこで着替えはOK。更衣室は一人用らしく、狭いです。)そして、一人一布団ではありません。あらかじめ敷かれた布団一枚につき、枕が互い違いに2つ置いてあり、2人で一つの布団を使う仕様になっています。紅葉シーズンの涸沢だとこれが普通なのだとか。ツアー人数はそれより少なかったので、もう少し余裕はありましたが、一人一布団でふかふかと清潔だった前日の徳澤園との落差が厳しい。夕方の宿泊締め切り時に余裕があれば、もう1部屋使えるということでしたが・・・。

館内探検であちこち行ったり、別館入り口そばの乾燥スペースでウェアを乾かしていると、次から次への登山者がやってくるのを目にしました。この日、上高地に到着してから涸沢ヒュッテまで登ってきた人たちのようです。16時を過ぎてもやって来ます。17時になってもやって来ます。みんなずぶ濡れ。余分な部屋はなくなったようで、結局ツアー参加者は一つの部屋に雑魚寝です。

どの宿泊者もずぶ濡れでやって来ますので、乾燥室、乾燥スペースに空きスペースはほぼなし。きっちきちに隙間は僅少に、ウェアを吊るしています。そのため自分のウェアが乾きつつあっても、新たにかけられたポタポタとしずくがしたたる雨具により、元の木阿弥に。というわけで、乾燥スペースに置いてあるストーブの前に陣取り、ストーブの熱気にあてて地道にウェアを乾かすことにしました。みっちりと隙間なく吊るされた状態より、気長にストーブの前で乾かす方が断然早く乾きます。

夕食メニューは、白米、お味噌汁。がんもどき、ちくわの磯部揚げ、ハンバーグ、ブリの照り焼き、トマト1切れ、千切りキャベツ、漬物。涸沢ヒュッテの食堂では、長野県警の2山岳救助隊員による、安全登山のための啓蒙スピーチを聞きながらの夕食です。2日目に撮った写真は、この夕飯のみ。館内の写真は1枚も撮っていなかったことに、今更気づきました。立山登山ツアーで大雨に降られた時も、写真を撮ったのは夕飯だけだった気がする・・・。雨中の行動で精神的・肉体的に消耗すると、写真を撮る余裕がなくなります。

そんなこんなで、9月中旬奥穂高登山ツアー2日目のメモ、終了。

 

 

 

徳澤園

9月中旬に参加した奥穂高岳登山ツアーで泊った徳澤園についてメモ。

1日目の行程は徳澤園まで。途中危ないところはない道ですが、8月上旬に通れた林道が、その後の台風20号の影響で崩壊した部分が出たようです。そのため林道は閉鎖され、砂利で出来た新たなルートを通りました。新たな道は日影の無い直射日光が当たる道で、暑い・・・。

雨に降られないうちに、ほどほどのペースで歩き、徳澤園へ。ツアー4日間中、雨に降られなかった日はありませんでしたが、初日の行程中は降られずセーフです。

氷壁の宿として有名な徳澤園。小説「氷壁」は読んだことがないので、徳澤園に何の思い入れもありませんが、「徳澤園は山小屋ではなくホテルだ」と聞いていたので、宿泊するのを楽しみにしていました。

確かに、普通の山小屋基準だとホテルです。外観も館内も落ち着いていて、雰囲気があります。生花のフラワーアレンジメントが飾られ、アール・ヌーヴォー調のガレランプが優しく灯をともす。2Fの談話スペース近辺の天井壁紙はウィリアム・モリスでしょうか。ラウンジやエントランスのストーブの火は、見ていて飽きません。1F談話室(?)もビロード生地のソファがあったりして雰囲気があり、登山ウェアで座っていいのかとしばし悩みます。お風呂はシャワー付きの蛇口が設置してあります。そんな徳澤園ですが、やはり山小屋である証拠は乾燥室があること。乾燥室は普通の山小屋より明るいですが、特に特徴はありませんでした。

泊った部屋は相部屋で、2段式のものです。と言っても山小屋によくある1段に何枚も布団が敷いてある2段式のものではなく、1Fは1人用、2Fは2人用の、入り口が六角形なっているのボックスが並んでいる相部屋です。ですから、ボックス入り口のカーテンを閉めるとそれぞれのボックスはプライベートな空間になります。ボックス内は清潔な布団一式、歯ブラシ・タオルが置いてあり、室内灯も設置されています。コンセントもあったので、充電も出来ました。難点と言えば、出入りの時に六角形の端に足をぶつけないように気をつけなければならないこと。急いでボックスから出ようとして、毎度、端に身体をぶつけていました、やれやれ・・・。

徳澤園の相部屋は、どの部屋も入り口が六角形のボックスタイプなのだと思っていたら、どうやら違うタイプの部屋もあるようです。館内で出会った他の登山ツアーの人たちの部屋は、六角形の入り口タイプのものではないと言います。充電スペースが近くにあるので便利だとは言っていましたが。どうせ泊るなら、HPにも載っている六角形のボックスタイプの部屋がいいですよね、という意見には同意します。

徳澤園に到着したのが14時過ぎだったので、荷物の整理もそこそこに、みちくさ食堂へ。もしかしたらプリンがあるかもと期待して行ってみましたが、プリンはありませんでした。ソフトクリームはそれほど食べたい気にならず、ブルーベリーチーズケーキ(確か600円)があったので注文です。

テラス席で待っていると、ケーキが運ばれてきました。チェック模様のお皿に、チーズケーキが盛られ、ケーキのそばにブルーベリーソースが点、点、点とデコレーションされてます。タルト生地の上にチーズフィリング、ブルーベリージャムらしきものがのっており、側面から見ると、チーズの層よりブルーベリージャムの層の方が厚い。テラス席で優雅にケーキを食べる図を想像していましたが、今にも雨が降り出しそうな曇天の下、気が気じゃなくて急いで頬張り、あっという間に完食です・・・。ちなみにお味はブルーベリージャムがたっぷりのせいか、甘いです。

気になる徳澤園の夕食。ステーキが出ると聞いていたので、食堂の開店前に早速並びます。看板にメニューが書き出されていて、相部屋の人(相部屋と個室では食事内容が若干違う)は、主皿:信州牛のサーロインステーキ、焼き魚:岩魚の塩焼き、大鉢:畑の中の宝石箱、小鉢:豆腐~手作り唐辛子味噌をのせて~、汁椀:山菜そば。「畑の中の宝石箱」が謎でしたが、インゲンやプチトマト、鶏肉、その他野菜の洋風煮物でした。名称は忘れましたが、オレンジ色のこりこりした野菜のスライスの小皿もあり。サーロインステーキは柔らかくて美味しく、レタスサラダとデザートとおぼしき一切れのりんごが添えられていました。あぁ、美味しかった。

夕食後も、外は雨が止む気配なく降り続く。翌日の天気が心配でしたが、ボックスタイプの相部屋は眠りやすく、サッサと就寝です。

徳澤園のメモ終了!