雲取山②

雲取山荘に着いたら宿泊手続きを済ませ、記念バッジをもらいました。山が描かれていて「標高年記念Y2017×2017M」と記されています。

部屋は2階の相部屋。三峯ルートから来た2人組の女性が2組と一緒で、総勢5名の部屋です。部屋には豆炭で温められたこたつが一つ。到着間もないころは身体が温まっているのでこたつは不要ですが、徐々に体が冷えてくるに伴い部屋の寒さが身に染みて、こたつの必要性を痛感します。枕が12個置いてあったので、混んでいるときは定員12人の部屋になるようです。

トイレ、流しは外にありました。流しの蛇口は押しても水が出ず、一か所水が流れ続けている管からだけ水を使えるようです。トイレは水洗で、嫌な臭いはありませんでした。乾燥室も外の別棟にあり、石油ストーブがついていて部屋より暖かく、照明も蛍光灯(だったと思う)で部屋より明るい。ベンチとテーブルもあるので、宿泊者がそこで自炊したり、コーヒーを入れたりしていました。

夕食は18時開始です。18時前から食堂前に列が出来てました。夕食の内容は、ご飯、お味噌汁、沢庵、ポテトサラダ、キャベツの千切り添えデミグラスソース味ハンバーグ、冷ややっこ、山菜の小鉢。山小屋なら普通なのかもしれません。山の鼻山荘や雨飾山荘の食事内容が良すぎたので、何だか寂しい内容に思えてしまいます。1泊2食付きの宿泊料金自体違うので、当然と言えば当然ですが。

お味噌汁の具は玉ねぎとワカメ。那須の大黒屋でもそうだったので、山小屋味噌汁の定番の具なのですかね。玉ねぎが苦手なのであまり嬉しくない・・・。なお、全員分を配膳し終わってから食堂に入れるので、既にセットされていたお味噌汁はほぼ冷めていました(ご飯はアツアツ)。

食事中に注意事項をいくつかアナウンスがあり、ご飯だけお替り可、食べ終わった食器は重ねてはいけない、こたつは朝まで温かさが持つので就寝時はこたつを活用すると暖かく眠れる、お湯は魔法瓶を持つ人だけ翌朝もらえる(魔法瓶以外は不可)、使ったふとんは元々布団が置いてあった場所にたたんで置いてはいけない(微妙にたたみ方が小屋のやり方と違うので、後で直すのが大変とのこと)、など。

夕食終わって外に出てみると、きれいな夜景が見えました。曇っていたので星空は望めないと思っていましたが、風が強く雲を吹き飛ばしてくれたようで、空に星もたくさん。夜景が見えると、そんなに高い山に登っているように思えないから不思議です。

翌朝の朝食は5時に始まります。6時頃日の出なので、まだ辺りは真っ暗。そして寒い。最低気温が氷点下というのは本当らしい。

朝食はご飯、玉ねぎとわかめのお味噌汁、生卵、焼き鮭、のり、ふりかけ、きゃらぶき(?)の佃煮など。昨日きいたお湯は、受付カウンターに何本もポットが置いてありました。ステンレスボトルにお湯を注いでいたら、出発する人、山頂でご来光を見るらしき軽装の人が次々と山荘を出ていきました。

山荘の部屋は東に向いていて、夜が明けていく薄明かりが見えます。特に急ぐ行程ではないので部屋で日の出を見ていてもよかったのですが、相部屋の人たちが全員出発してしまったので、一人部屋に居座っているのも気が引ける。結局6時には出発することにしました。

なぜ急ぐ必要がなかったかというと、バスの発車時間が微妙だったためです。鴨沢発のバスで下山時間に合いそうな発車時刻は10:15か、次の13:53.。下山には休憩時間を含めて5時間は考えておきたい。そうすると10:15発に乗るには、日の出前から歩き始めないと間に合いそうもありません。乗るとしたら13:53発になります。さらに鴨沢バス停から2つもどった留浦バス停(鴨沢から徒歩8分位)から奥多摩駅行き11:47発というのがある。鴨沢発13:53に乗るか、鴨沢から歩いて留浦まで行き留浦発11:47のバスに乗るか。留浦発にしたとしても、逆算して6:30に出発して充分間に合いそう。

6時頃に山荘を出てちょうど日の出が見えました、となるといいのですが、そうは問屋がおろさない。明るさから日の出を迎えたのは分かるのですが、雲が出ていてお日様が見えません。山荘から雲取山山頂に向かう樹林帯の中で、やっと太陽が見えました。

山頂に着くと、寒くて風も強い。昨日は雲で見えなかった富士山がくっきり見えます。台風とその後の強風で雪が吹き飛ばされ、真っ青な空を背景に、夏山のような姿を見せる富士山。「冠雪した富士山が見たかったよね。」と言っている人がいましたが、同感です。

早々に山頂を後にして、凍てつく登山道を下ります。山荘から山頂までの樹林帯の中のルートはザクザクとした霜柱が出来た道でしたが、山頂から小雲取山に続く登山道は、道自体が白く凍っています。同じ山でもルートが違うと植生が違って、道の凍り方も違い、面白い。

今日は昨日巻いた小雲取山も登っておきました。ここでも富士山が良く見えます。というか、石尾根縦走路を歩いている間、ずっと富士山が見えて気分が良い。奥多摩小屋のテント場ではいくつかテントが建てられてました。ここは昨日も風が強かったし、今日も風強くて寒そうだし、風の音が煩くないのかな。

今日は昨日の轍は踏まない、昨日登ったところは山頂を除き、巻き道を通ると決意して、巻き道を選択し続けました。ブナ坂の辺りに来ると、これから山頂に向かう登山者とちらほら行き会います。さらに巻き道を歩いていると、どんどん登山者とすれ違います。やはり巻き道を選択する人の方が多いのか。巻き道はしっかりしていますが、落ち葉がたくさん。雨の日は落ち葉で滑りやすいかもしれません。

巻き道の途中で小さな滝がありました。事前にネットで登山道に小さな滝があると見ていたのですが、その滝のようです。前日歩いているときに、(滝があるってネットで見たけど、無いな。)と思ったものでしたが、ここにあったのか。登山道の先に行くには、滝を越えて多少のしぶきを覚悟しなければなりません。出来るだけ濡れないように急いで通り過ぎたら、服に少ししぶきがついただけで済みました。

巻き道が終わり樹林帯に入ると、さらに多くの登山者とすれ違います。昨日より確実に登山者が多そうな感じ。空は青いし、広葉樹の紅葉はきれいだし、絶好の登山日和。登り優先で道をあけ、急がずに下山したら、10:20過ぎに鴨沢バス停に到着しました。実は鴨沢バス停に下る舗装道路を歩いているときに、家々の間から10:15発のバスが走り去るのが見えていました。もう少し早く山荘を出発していたら、バスに間に合ったかもしれません。

鴨沢バス停にいてもしょうがないので、とりあえず留浦バス停まで歩いていくことに。留浦バス停にはベンチがあり、近くに清潔な公衆トイレがあります。すぐ近くに奥多摩湖にかかる浮橋もあります。浮橋を渡って遊んだり、留浦バス停に到着した雲取山下山者と話したりしていたら、1時間以上もあった待ち時間もあっという間に過ぎていきました。

バスに乗って、ある所にさしかかったら、スマホで何かを撮影している人がちらほらいました。見ると、ダムが放流しています。2日続けて放流しているなんて、台風の影響で水位が相当高くなっていたんでしょうか。

バスが奥多摩駅に着いて、これで雲取山登山は終了です。雲取山鴨沢ルートは整備されていて登りやすい道でしたが、なにしろ行程が長い。日帰りしている人もいますが(石尾根縦走路を歩いているときに、行きで同じバスに乗っていた人がすごい速さで下山していくのところをすれ違った)、普通の体力の人に日帰りはちょっと無理だと思った今回の雲取山登山でした。