リーズの結婚

今更の感もありますが、5月のバーミンガムロイヤルバレエの「リーズの結婚(@東京文化会館)」を観たので、だいぶ内容を忘れてしまいましたが、ちょっとメモ。

主役のリーズは平田桃子さん、相手役コーラスはゲストでパリオペラ座エトワールのマチアス・エイマンです。

リーズの結婚を観るのは今回が初めてです。英国ロイヤルバレエ来日時に上演されたり、国内のバレエ団のレパートリーにも入ってたりしますが、タイミングが合わず見逃していました。初見のリーズの結婚ですが、明るくて楽しいバレエでした。

平田さんはとてもスレンダーなダンサー。細いけれど弱々しさはなく、明るく元気、かわいくて茶目っ気のあるリーズでした。ハマっている役柄で、テクニックにも不足がなかったので、リーズって平田さんの当たり役なのでしょうか。

複数名の女性ダンサーがリボンをそれぞれ持って、時計周りに移動していく。その真ん中ですべてのリボンを持って、アティチュードプロムナードでバランスを取り続けるリーズ。眠りのローズアダージオの変形判みたいなものですが、バランスを取るのが大変そうです。平田さんはちっともグラリともせず、笑顔でこなしていましたが。

一方のマチアス・エイマン。雑なところがなくて観ていて気持ちのいい踊り。踊りやスタイルは洗練されているけれど、顔立ちが庶民的なので、ちょっとカッコいい村人という感じです。

リーズの結婚と言えば、リボンを使った踊り。画像でよく見かけていましたが、実際の舞台を観ると、あっという間に対角線状のバッテンマークをリボンで作り上げたり、くるくるとリボンを身体に巻き付けたりほどいたり、よく絡まないものです。ダンサーは簡単そうに見せていますが、普通に踊るより小道具(リボン)を使いながら踊るのは大変なはず。

平田さんとマチアス・エイマンは違うバレエ団ですが、パドドゥは危なげなく、リフトもスムーズで、入念にリハーサルを重ねていた感じを受けました。

にわとりの踊り。全身着ぐるみで踊られる、にわとりの踊り。動き出しは頭からとか、脚の動きとか、よく見るとちゃんとにわとりを観察して作られているのが分かる踊りでした。イギリスのバレエ団って、全身着ぐるみの動物役を出演させるのが好きなのかな。動物ではないけれど、ビントレー版パゴダの王子にも全身着ぐるみの謎の生物(キャスト表によるとパゴダ人らしい)が出ていたし。

にわとりの踊りで演出なのか、アクシデントだったのか不明な点が一つありました。

2幕の冒頭だったか、にわとりが一列になって踊っていて、趾をかたどったダンスシューズが一足、脱げて舞台上に落ちていました。舞台上のにわとりダンサーズはシューズが脱げても慌てず、踊り続けています。その舞台上に転がったダンスシューズが気になり、どうなるのだろうと興味深くジッと観察していました。

にわとりダンサーズが舞台下手にはける段になってもダンスシューズは転がっています。すると、そのうちの一羽のにわとりダンサーが、転がっていたダンスシューズを勢いよくスコーンと蹴りました。そのままの勢いでダンスシューズは舞台下手袖に入っていきました。アドリブのように見えたのですが、蹴る勢いとコントロールが絶妙で、アドリブだったらあそこまでうまくいくものだろうか、いやこういう演出なのだろうか?アドリブでも元々の演出でも、蹴ったダンサーの絶妙さは良い味を出していました。

木靴の踊り。牧歌的な音楽にのせて、タップダンスのように木靴をならす踊り。足さばきが見事で、楽しい踊りでした。シモーヌ母さんの後ろで踊る、木靴ダンサーズが何だがかわいい。

舞台の最後。リーズとコーラスの結婚式が終わってめでたし、めでたし。誰もいないリーズの実家にそっと侵入するバカ息子アラン。置き忘れていた赤い傘を見つけて大喜び!リーズと結婚しそこなったことより、傘の方が大事なんだね、不法侵入しても。憎めないキャラクターです。

舞台にあまり関係ありませんが、農夫男性陣がそろって着ていた水色の上着。幼稚園生や保育園生が着用するスモックに似ています。上演中、あれはスモック?と疑問に思っていて、帰宅後検索。ウィキを見て、納得です。

「農業従事者に使用されていたもの」とあるので、農夫役ダンサーが着用していたものはスモックで間違いなさそうです。バレエ見て、スモックの歴史(といってもウィキをみただけ)を知ることになるとは、思いもよりませんでした。