赤岳鉱泉②

赤岳鉱泉に泊った日の夕食メニューは、ステーキ、ポトフ、コールスローサラダ、ご飯、しば漬けでした。ステーキが名物らしいのですが、ステーキ以外にもビーフシチューともう一つ牛肉を使ったメニューになることもあるようで、メニューの看板を見たツアー仲間が「やった~、ステーキだ!」と喜んでいました。

予めカットされた厚さ1センチ位のステーキが、一人前用の鉄板の上に載せられてます。小屋のスタッフさんが固形燃料に火をつけて、自分の好みの焼き上がりでアツアツを食べるスタイルです。ステーキに添えられた野菜は、ピーマン、ナス、シメジ。その日によって付け合わせは変わるようです。このステーキに別のお皿に注がれたタレをつけていただきます。ステーキは年に1度食べるかどうかなので、細かな味の違いは分かりませんが、美味しい。

コールスローサラダはマヨネーズ系の味というよりゴマの風味がして、これまた美味しい。カットされたトマト、オレンジ、パイナップルが同じお皿に盛られていました。添えられていたトマト、オレンジ、パイナップルも日によって他のものになるようです。

ポトフ。野菜ゴロゴロのコンソメスープかと思っていきや、ポトフ。大きくカットされた人参、ズッキーニ、キャベツ、鶏肉などが入っていました。他の人はソーセージが入っていたと言っていましたが、わたしの分には入っていなかったので、ソーセージの有無は不明。

夕飯食べたら、やることないので、明日に備えて早めに就寝です。乾燥室に干しておいた雨具や手ぬぐい、ウェアなどは就寝前にはすっかり乾いていました。山小屋スタッフの方がストーブをたいて乾燥室の温度を上げてくれたおかげです。(たまに翌日になってもウェアがしっかり乾ききっていない山小屋もある。)

泊った個室についてもう少し書いておくと、ステンドグラス風の笠がかかった電球が部屋の中央に一つ、しっかりした作りの木の大きめの座卓が一つ。床はカーペットが敷いてあり、暖房器具が窓際に設置されています。そして窓は寒さ対策なのか、二重窓です。ふかふかな布団、毛布は押入れの中に入っています。8名定員の部屋らしいですが、6人で使用したのでキツキツではなくゆったりと寝れました。

夜半になると豪雨の音が聞こえてきて、目を覚ましてしまうほど。雨が弱くなったり、強くなったり、一定した感じがしません。同じ部屋の人たちも雨音で何度も夜中に目が覚めたと言っていました。

翌日は5時出発予定で、朝食は前日の夕飯時に翌日の朝食分としてもらっておいたお弁当。4時に起床して身支度整え、まだ消灯している食堂で食べますが、外の雨の勢いは弱まりません。ちなみに朝食のお弁当は、高菜ごはん(?)の上にさんま(?)のかば焼き、つけものでした。今日の赤岳登頂はどうなるんだろう、雨はやはり天気予報通り豪雨のままなのだろうか、止んでほしいと思いながら食べていたので、お弁当の味はあまり覚えていません。ですが、まずかったら食べられないはず。外の天気を心配しつつもペロリと平らげたので、美味しかったということなんでしょう。

朝食食べて個室で準備していたら、5時前に6時までいったん出発延期になったお知らせが。

ですが、6時になっても雨風の勢いはものすごく、赤岳登頂は断念することになりました。もともと稜線での風が強いところなので、強風に煽られて危険ということもあります。というか、この雨の勢いで赤岳鉱泉からふもとまで無事下山できるのか、ここに着くまで渡った10以上もある橋は大丈夫なのだろうか、という心配の方が大きい。

11時にカレーの昼食を食べ、その後ふもとまで下山することに。昼食の時間までは急遽、登山に必要な講習会を同行していた登山講師の方々が開いてくれました。ミレーの商品が置いてある談話室で、ミレーのザックについての解説、靴について、ツェルトの使い方、ロープの結び方を何種類も、便利なグッズなどなど。ツェルトは暖かいと聞いていましたが、ツェルトの中に入るとほんとに暖かくてビックリです。いつも登山ツアーでしている簡易チェストハーネスでぶら下がった場合、どの程度の痛みなのかといった実地の実験でもありました。ぶら下がってみると、命は助かるけど相当痛い、というかこれで全体重を支えるのは苦痛以外の何物でもなく、骨折するのではないかという感じです。簡易チェストハーネスに頼り切っちゃだめだよということを、教えてくれるための実験でした。

昼食のカレー。ビーフカレーだったのかな。福神漬け、らっきょうは取り放題、ご飯は大・中・小選べますが、ルーはお玉一杯のみです。欲張って大盛りを頼むと、ご飯だけが残ることになります。

さあ、昼食も食べたので、大雨の中を下山です。小雨でもテンション下がるのに、豪雨でテンション下がりまくりです。滑らないように登りの時より慎重に歩を進めますが、全体的にペースが速い。みんな健脚なのか、バランス感覚に優れているのか。わたしの場合は、置いていかれないようにせっせと歩き続けたという感じです。幸い往きに渡った橋は、ゴウゴウと轟音をたてて凄まじい勢いで下る濁流に流されることもなく、すべてしっかりとしていました。往きに見えた赤茶色の岩石は、水量を増した濁流に覆われて全く見えません。見えるのは、激しい流れの黄土色に濁った濁流のみ。水たまり程度だった渡渉部分も、すっかり水没しています。

沢沿いの登山道を歩いているときは、気を抜けば大変なことになると気を張り詰めていました。下っていくと、往きと同様、林道に出合います。

林道に入ると、もうこれで危険なことはないと一安心です。往きはつまらなくてしょうがなかった林道ですが、こんなときは嬉しいものです。前日の登りの時はさほど登っている感はなかったのですが、下りになると結構な坂道だったのだと気づきます。道理で1日目のダラダラした林道歩きが疲れたわけです。

途中何回か休憩を取り、登山口の八ヶ岳山荘に14:30頃到着。赤岳鉱泉を出発した時よりは雨も弱くなっていました。八ヶ岳山荘で迎えのタクシーを待つ間、テレビを見ていると各地の豪雨の状況を流していました。どこも大変・・・。

この後は、温浴施設に立ち寄って汗を流し、特急駅の茅野駅へ。こんな感じで、赤岳登山ツアー改め、赤岳鉱泉ハイキングツアーは無事終了です。