夜行バスで尾瀬ハイキングへ

7月下旬になると例年の尾瀬ではニッコウキスゲが見頃になります。というわけで尾瀬ハイキングに行ってきた時のことを記録しておきます。

尾瀬に行ったのは、往復のバス代と山小屋がセットになったフリープランの旅行。横浜・新宿・池袋を経由する夜行のバスで尾瀬に向かいます。

乗り込んだのは22:20新宿発の深夜バス。22時を過ぎても新宿は蒸し暑い。横浜からやってくるバスを新宿駅そば(バスタ新宿ではない)で、しばし待ちます。

横浜から到着したバスは、思ったより小型のバスでした。マイクロバスほど小さいわけではありませんが、普通の観光バスやリクライニング出来る夜行バスと比べると、明らかに小さい。(これで尾瀬まで行くのはきついな・・・。このツアーに申し込むのは今後止めよう。)と思いました。乗り込んだバスは、次の停留所の池袋のサンシャインシティを目指します。

サンシャインシティに到着すると、ここでツアーの受付をし、池袋乗車の乗客を乗せて23時に出発。幸い、わたしが座っていたシートは、池袋についても隣席に座る人はいませんでした。ですが車内は結構ぎゅうぎゅう。小型のバスなので、男性2人で並んで座っているとたいそう窮屈そうです。あれでは、寝るに寝れないのでは。

バスは大清水に翌日4時到着予定、その後鳩待峠に5:30到着予定です。大清水に着くまでの間、2時間ごと位に1回、高速でトイレ休憩があります。

時間調整のためか経費節約のためか、池袋を出発後、バスはなかなか高速道に入らず、ひたすら一般道を走ります。社内消灯は23:15ですが、車窓のカーテンを閉めてもフロントガラスから光が入り、目を閉じていても明るさを感じてしまいます。そんなことが予想されたので、あらかじめアイマスクと耳栓をして用意していました。アイマスク、耳栓で光・音は気にならなくなりました。が、一方で、一般道を走るバスは道路の凹凸をいちいち拾ってガタガタと揺れが大きい。揺れのため寝付くのが困難です。

高速に入ればきっとこの揺れともおさらばだ、と我慢していましたが、高速に入っても揺れはちっとも収まりません。そういえば、とハタと気づきました。池袋サンシャインシティ出発前にバスがアイドリングストップしていた際、乗客が車内通路を歩くにつれ、バスは横揺れしていた、と。

一般道に凹凸が多くてバスがガタガタと揺れていたのではなく、バス自体の作りや経年劣化(か整備不良?)の問題のようです。ガタガタと乗り心地の悪い車は乗客もつらいですが、運転手さんもつらいのでは。事故は起こさないでおくれよ、と念じながら浅い眠りを繰り返して、バスは翌朝4時前に大清水に到着です。

大清水に到着すると、思ったよりも明るい。大清水で降りて燧ヶ岳を目指すらしき年配男性グループは早速、出発の準備をし始めます。鳩待峠へのゲートが5時に開くため、バスは4:30まで大清水で時間調整をします。ちなみに大清水の公衆トイレは水洗で清潔でした。

大清水で下車する人たちも、なぜか4:30まではバス車内で待機です。万が一、ツキノワグマに遭遇しないようにということでしょうか。大清水グループはノ瀬休憩所までの低公害乗り合いバス(5時から運航開始)を待っていたようなので、バス車内待機に不満はないようでした。

4:30になるのを待って、バスは鳩待峠に向けて出発。この時間になると、付近はかなり明るい。

戸倉でマイクロバスに乗り換えて鳩待峠に向かうのかと思いましたが、バスはそのまま戸倉を通過し鳩待峠へ。小型のバスだった理由がここで分かりました。普通の観光バスのサイズだと鳩待峠まで行けず、戸倉で乗り換えをすることになります。戸倉での乗り換えをしなくて済むように、最初から小型バスだったようです。

5:20過ぎには、鳩待峠の駐車場に到着。 既に戸倉からの乗合バスの第1号が到着していて、一般のハイカーや登山者がちらほらいました。

同じツアー参加者を観察していると、至仏山に登って到着日の午後のバスで帰るらしき人がいました。到着後すぐに登山を始め、鳩待峠からの往復で至仏山に登る人。1時間弱かけて山の鼻まで行き、尾瀬ヶ原側から至仏山に登り、鳩待峠に下りていく人。5:30前には鳩待峠に到着していて、午後のバスは14:30頃に集合なので、たっぷり9時間は自由時間があります。至仏山に登って下りてくるには充分。小型バスの乗り心地にこりごりでしたが、今後気が向いたらこういった使い方をしてみるのもいいかもしれないと思い直しました。

今日の予定は、鳩待峠から尾瀬ヶ原を横断して三条ノ滝を見に行き、それから見晴の山小屋に向かうというもの。今回は登山はせずハイキングだけなので、ゆっくりペースを心掛けました。

5:25には鳩待峠を出発です。山の鼻に向かっていると、もやがふわふわと浮いていたり、ほんの5mくらいの間はポツポツと雨が降っているのに、そこを抜けるとまったく雨が降っていなかったりといったところがありました。短い区間だけ雨が降っていたのは、もやが雨に変わったのでしょうか?

1時間も経たずに山の鼻に到着。山の鼻までに見かけた花は、白いレースのようなミヤマシシウド、黄色いオタカラコウ、青紫色のソバナなど。

早朝の山の鼻、至仏山荘付近ではツバメが何十羽も飛びまくっています。見ると、至仏山荘の軒下にいくつもツバメの巣があります。これだけの数のツバメに遭遇するのは初めてかもしれません。ちなみにこの日泊った見晴の山小屋でも、翌日朝にたくさんのツバメを見かけましたが、昼間は見かけませんでした。ツバメは昼間は何をしているのでしょう。

山の鼻には研究見本園があって、尾瀬で見られる花はたいてい植えられています。広大な湿原を歩くより、サクッとコンパクトに尾瀬を楽しみたい人におすすめな所ですが、今回は立ち寄らずに見送り。

6時半すぎの尾瀬ヶ原は、まだ朝もやが残っています。今年の尾瀬ニッコウキスゲの見頃はもう終わってしまったと出発前にネットの情報で見ましたが、探せどなかなかありません。終わりかけのワタスゲ、一輪だけのヒオウギアヤメコオニユリやコバギボウシ、ワレモコウ、アザミ、サラシナショウマが咲いています。すると木道から離れたところに、一輪ニッコウキスゲが咲いているのを見つけました。ニッコウキスゲはきれいで目立ちます。

牛首分岐からヨッピ吊橋方面へ。実は尾瀬は牛首分岐近辺から先に行くのは、今回が初めてです。一度、どこまでも続く木道をずっと歩き続けてみたい、腿の肉離れのリハビリ中なので、無理して登山をして悪化させたくない今が尾瀬ハイキングのチャンスだということで、今回尾瀬に来たのです。(肉離れ後、無理して登山ツアーに参加した結果、回復が遅れて大いに後悔したので。)

7時過ぎの尾瀬ヶ原を、牛首分岐から竜宮方面に向かう人はいますが、ヨッピ吊橋方面に進路を取る人はわたしだけ。カムイ外伝の「忍びのテーマ」を心の中で歌いながら、熊鈴鳴らして一人進んでいきます。

こっちの方面は来る人が少ないのか、木道付近の草の丈が牛首分岐までの木道付近のそれに比べて高く、ボーボーと生えまくっています。朝露をたっぷり含んだ草で、ズボンの膝から下や靴がかなり濡れてきます。牛首分岐まで1輪しか見られなかったニッコウキスゲですが、こちら方面では木道のすぐそばや草むらの中などに、チラホラと見えます。その他にもミヤマキンバイ、キンコウカも咲いていて、咲いている花の種類が多い。

ヨッピ吊橋に到着すると、「定員10名」と書いてあります。管理が行き届いた感じの橋で、危なっかしい様子は見えません。安心して渡れるヨッピ吊橋ですが、そうはいっても吊橋らしく、渡っている最中は揺れます。小学生くらいの男の子だったら、喜んで揺らしそうです。

木道を歩いていると、木道上に落ちている動物のフンは見かけますが、動物本体は見かけません。オコジョに遭遇しないだろうかと内心、わくわくしながら歩いていると・・・。

遭遇したのは、ヨッピ吊橋と東電小屋の間の木道上でマムシ一匹。さらに東電小屋から温泉小屋までの間の木道がない普通の登山道っぽいところで、またもマムシ一匹。その他、トンボたくさん。虫よけスプレーをしていたので刺されはしなかったけれど、ブンブンと周囲をうるさく飛び回るアブ。これは!というような動物には遭遇しませんでした。

この後、温泉小屋前を通って滝を見に行きます。続く。