水量多い三条ノ滝(ついでに山小屋)

尾瀬の温泉小屋、元湯山荘前を通って、三条ノ滝へ。

元湯山荘そばの無料休憩所(尾瀬ヶ原温泉休憩所)では、荷物を無料で預かりますと掲示があります。ザックを置いていくか迷いましたが、トレーニングのためにも背負っていくことにしました。無料休憩所のそばには公衆トイレがあり、水洗で清潔。山のトイレはチップ制が普通ですが、尾瀬のトイレは、他の山のトイレに比べて断然きれいで清潔です。同じチップ制でも、なぜこんなに違うのでしょうか?

三条ノ滝に行くまでには、平滑ノ滝という滝もあります。無料休憩所から平滑ノ滝に行くまでは、途中までは木道が敷かれた道を歩いていきます。ですがそのうち、普通の登山道の様相を呈してきて、平滑ノ滝展望台に近くなってくると、岩々っとした道になります。

平滑ノ滝は、幅広の川にゆるやかな傾斜がついたようなもの(一枚岩の上を流れているらしい)。岩でできた展望台の木々の間から、眼下の滝を眺めるような感じで観察します。岩々したところが平滑ノ滝の展望台と気づかず、「あれ、そういえば平滑ノ滝を見なかった。」ということもあるようです(見晴の山小屋で出会った人がそうでした)。

平滑ノ滝から先は、結構しっかりとした登山道です。三条ノ滝まで行程もある程度あるのですが、小さな沢を渡ったり、水が沁みだしていて雨が降った後でもないのに常にぬかるんでいる道を通ったりします。さらに大岩を越え、トラロープや鉄の鎖がかかった階段のような梯子のような木製ステップや、鉄梯子を下ったり登ったり。三条ノ滝まではおおむね下りで、たまに登りもありますが、思っていたより大変です。

ゴーッという滝の音を聞きながら歩き続けていると、三条ノ滝展望台に到着です。平滑ノ滝から45分位かかりました。登山道はほぼ一本道で、他の方面に繋がる道には道標が建てられていて迷うことはありません。

三条ノ滝展望台は、梯子を下った先にあります。平滑ノ滝展望台とは違い、ベンチも設置されたウッドデッキのような展望台で、豪快に流れ落ちる三条ノ滝を下から眺めるようになっています。

水量が多いと聞いていた三条ノ滝ですが、轟音をたてながら大量の水が流れ落ちてきます。大したことないだろうと高をくくっていましたが、想像を超えていました。展望台のベンチでゆっくりできるし、滝好きの人は一度見に行った方がいい滝です。無料休憩所から、休憩込みで2時間あれば行って帰ってこれます。

三条ノ滝、平滑ノ滝から帰ってきて、無料休憩所で一休み。思ったより行程がサクサク進み、あとは見晴の山小屋を目指すだけ。無料休憩所はさびれた感じがしますが、外に多くのベンチがあって、ここでもゆっくりできます。滝見物から帰ってきたら、ネクター(350g缶)を飲むんだと決めていたので、さっそく購入します(300円)。ふだん清涼飲料水はあまり飲みませんが、ひと汗かいた後の甘いジュースは美味しい。

無料休憩所で長めの休憩を取った後、あたりをブラブラしながら13時過ぎに見晴の山小屋へ。

この日泊る山小屋は、旅行会社が選んだ見晴地区お任せプランの相部屋です。自分で選べるプランもありましたが、どの山小屋が良いか分からなかったので、旅行会社任せにしておきました。自分で選ぶプランより1000円安くて、お得ですし。

お任せプランの山小屋は、桧枝岐小屋でした。往きのバスで一緒だった、山小屋お任せプランを選んだ人たちは、それぞれグループごとに他の山小屋に割り振られていたそうです。

到着した桧枝岐小屋では、窓からふとんが天日干しされていました。前日に泊ったお客さんが使った布団を干しているのでしょうか。山小屋にありがちなペラッペラの薄い敷布団ではなく普通のしっかりした布団なので、干すのも取り込むのも大変そうですが、天日干しされてふかふかになった布団に寝られるのは、宿泊者には嬉しいサービスです。

受付を済ませて通された部屋は、4畳の個室。宿泊者が少ない日だったため、相部屋ではなく4畳の個室を一人で使わせてくれました。嬉しいことです。

部屋に押し入れはなく、布団一式が3組、部屋の端の方に置いてあります。建物正面側に窓が一つ。(夕方になるとこの窓から西日が射してきて暑いのですが、窓ガラスを開けておくと涼しい風が入ってきました。)窓からは、尾瀬沼方面や他の山小屋に向かう人々の姿が見えます。ちなみに部屋ではWi-Fiが使えるので(館内にWi-Fiのパスワードが掲示されています)、スマホで通信できます。

部屋は畳敷きで、畳縁には「尾瀬」という漢字と「水芭蕉」の絵柄が織り込まれています。畳縁にまでこだわりがあるんですね。桧枝岐小屋オリジナル商品で、この畳縁を使ったストラップやキーホルダーが売られています。水芭蕉の絵柄がかわいいので、キーホルダーを一つ購入。

尾瀬の山小屋にはお風呂があるのが特徴の一つです。この日の桧枝岐小屋のお風呂の時間は、16:30から。(終了の時間は、18時だったか18:30だったかうろ覚えです。)お風呂が沸くと館内アナウンスでお知らせが流れてきました。16:30まで待たずとも16時過ぎにはアナウンスがあり、さっそくお風呂に向かいます。

お風呂は普通の銭湯のように、脱衣所と風呂場が扉で完全に分かれています。中に入ると、5人は楽に入れる大きさの浴槽と、水やお湯が出る蛇口、シャワーも設置されてました。山奥の山小屋のお風呂だと、蛇口やシャワーは設置されておらず浴槽から桶でお湯を汲む方式なので、「あっ、蛇口とシャワーがついてる!」と驚いてしまいます。見晴地区の他の山小屋もシャワーがついているらしく、尾瀬の山小屋はやはり他のところとちょっと違います。もちろん山小屋なので、石鹸やシャンプーなどは使えません。お風呂で出会った人とはニコニコ顔で、「山小屋でお風呂に入れるっていいですねぇ。」と話がはずみます。

17:30には夕食です。夕食も用意が出来ると館内アナウンスがあります。メニューは、白米、冷や麦、バター炒めコーンと人参・千切りキャベツ添え串揚げ2種(海老とかまぼこ、厚切りハムと玉ねぎ)、きゅうりとクラゲのピリ辛和え物、じゃがいもとさやいんげんの煮物、ナスの生姜風味煮びたし、漬物2種、杏仁豆腐という内容でした。どれも美味しい。ペロリと平らげました。同じテーブルだったお孫さん連れの人には、お孫さん用にピリ辛和え物に代えて、他のものが用意されていました。

同じテーブルの方の話によると、夜になると小屋のそばの湿原で蛍が見られるとのこと。これは行かなくては。19時過ぎに湿原で夕焼けを見て、まだ明るいので一度小屋に戻り、20時過ぎにヘッドランプを持って再び湿原へ向かいます。

晴れている日だったので、星空もさぞきれいだろうと見上げると、月の光が強くて夜空の星は思ったほど見えません。そして肝心の蛍ですが、数匹いました。

自分ではなかなか見つけられず、夕食時に同じテーブルだった方たちに、「ほら、あそこに蛍いますよ。」と教わってやっと見つけられました。そういえば、野生の蛍を見るのはこれが初めてです。蛍の居場所を教えてくれた人は、何年も前に見晴地区の山小屋近くの湿原で多量の蛍が乱舞する様を見て感動し、これをぜひ孫にも見せたいと思って来たと言います。今回は蛍の量が少なくて、自分が感動した光景を見せることは出来なかったと言ってましたが、一匹の蛍がお孫さんの手に飛んできて、いつまでもいつまでも止まっていて、お孫さんにはいい思い出になったようです。

 消灯は21時です。往きの深夜バスであまり眠れませんでしたが、山小屋のふかふかの布団で21時前には寝入り、朝までぐっすりでした。

5時前には起きだして、朝もや立ち込める湿原見学に行きます。この日は朝もやをばっちり見られ、湿原には幻想的な風景が広がっていました。前日が晴れていて、翌朝10度以下になると放射冷却で朝もやが立ち込める条件を満たすとのこと。日によっては朝もやだけでなく、白虹も見られるそうですが、白虹は次回にお預けです。

朝もや見学をしている中に、昨夜、蛍の居場所を教えてくれた人たちがいました。モーニングコーヒーのお誘いを受け、お言葉に甘えてご一緒させていただきます。湿原に一番近い弥四郎小屋の前の休憩スペースで、弥四郎清水から汲んだ水を沸かし入れてもらったコーヒーを飲みながら、消えゆく朝もやを眺める。弥四郎清水で冷やした、冷蔵庫で冷やしたように冷たくなっているプチゼリーのお茶うけまでいただいて。なんか、贅沢です。わたしもバーナーかジェットボイルを買おうかと悩みます・・・。

朝食は6時。白米、お味噌汁、焼き鮭、千切りキャベツ、オレンジ一切れ、フキの佃煮、切り干し大根の煮物、冷ややっこ、糠漬けきゅうり、納豆、目玉焼き、花豆の甘煮。少量ずつですが、朝食も美味しく残さずいただきました。

8時には山小屋を出なければなりません。帰りのバスに乗るには、15時に大清水に到着していればいいので、8時に山小屋を出ても充分間に合います。ギリギリまでゆっくりしていようかと思いましたが、6時半には朝食を食べ終え、出発の準備が終わると暇を持て余す事態に。暇持て余すより、ゆっくりハイキングしようかということで、7時過ぎに桧枝岐小屋を後にします。目指すは尾瀬沼方面を抜けて、大清水です。まだ続く。