燕岳②

燕山荘でケーキフェア。喫茶サンルームでケーキセット950円(飲み物1杯、ケーキ1個)を注文すると、おかわりのケーキが200円/個でいただける。注文をするときに、喫茶室内以外で食べるのはダメとか、喫茶室を一度出たらそこで終了とかの注意事項を説明されます。

飲み物は紅茶にして、最初のケーキはりんごのキャラメルケーキを選んでみました。思ったより甘くて、一つ食べ終わったらちょっともう、追加のケーキはいいかなという気分になりました。ですが周りの人が食べているモンブランやニューヨークチーズケーキを見ると、やはりもう一つぐらい食べてみたいという気になります。

食べ終わったケーキの皿を受付に持っていって、追加の200円を支払います。追加はニューヨークチーズケーキ。早速食べてみると、こっちも町中で売ってるものより甘めな気がします。体内の塩分濃度が低くなっているから、余計甘く感じているのか、元々甘めのケーキなのか?しょっぱいものが欲しい・・・。

結局ケーキは2個でギブアップしました、3個目に抹茶のロールケーキを食べておいた方が良かったかもという多少の後悔を残して。

食後は、腹ごなしと野生動物探しを兼ねて、燕山荘の周りをウロウロ。燕岳に行く途中、雷鳥に遭遇しないかと期待していましたが、期待は空振り。燕山荘のそばを歩いていても、雷鳥には巡りあえませんでした。そのかわり、ホシガラスが1羽いました。すぐそばに人がいるのに、餌を探しているのか熱心に地面を嘴で掘っているホシガラス。都会にいるハシブトガラスと違って、可愛くみえます。

部屋に戻り一人で過ごしていると、向かいのスペースの人たちの話が聞こえてきました。「ブロッケン見たの初めて!感激!」なに?ブロッケン現象が見えるって?それは行かなくては!と思い、テラスに出てみると、雲が広がった先にブロッケン現象が現れていました。

燕山荘テラスから見えたブロッケン現象は、剱御前小屋で見たものよりも、大きな環に見えます。その虹色に輝く輪の真ん中に、後光が射したような自分の影が映っています。ブロッケン現象って、何度見ても神秘的です。

そばにいた単独行の女性の話によると、その女性はこの日、燕岳頂上、北燕岳頂上、戻ってきて燕山荘テラスの合計3か所でブロッケン現象を見たのだとか。午後になると山の天気は崩れるので、早めに山小屋に入ることにしておいたのですが、もう少し遅い時間に行っていれば、山頂でブロッケン現象が見られたかもしれません。まぁ、いいか。

ブロッケン現象を楽しんでいると、あっという間に夕飯の時間、4:30近くになりました。急いで食堂に行こうとすると、1階の階段から2階の廊下にかけて行列が出来ています。これは、食堂開店を待つ人々の行列?と思ったら、当たり。みんなやることないので食事の時間が待ち遠しいらしい。

この日の夕飯メニューは、白米、赤みその味噌汁、とろとろチーズ入りハンバーグ、煮魚、ポテサラ、プチトマト・スライスきゅうり添え千切りキャベツ、海藻サラダ、玉ねぎ入りキャロット・ラペ(?)、デザートの杏仁豆腐。ちょうどチーズ INハンバーグ(@ガスト)を食べたいと思っていたら、燕山荘の夕食にチーズ入りハンバーグが出ました!夕食時はおなじみ、オーナーのお話しとアルプホルンの演奏(ついでに燕山荘オリジナル饅頭の宣伝)を聞いて終了です。

夕飯後は雲海と夕日の鑑賞の時間です。夕暮れ時には槍ヶ岳側の雲はすっきりと無くなり、夕焼けを背景にシルエットになった槍ヶ岳がくっきりと見えました。槍ヶ岳って、シルエットになってもかっこいい。

夕日がすっかり沈んで、辺りが闇に包まれたら、今度は星空の出番です。夕飯時に同じテーブルの人に聞いていたのです、今日は流星が見られるはずだと。というわけで、星空を一通り眺めたらすぐさま部屋に戻ることはせず、寒い中、しばらく夜空を眺めていました。

すると、ヒュッと短く、星が流れていきました。あっという間に流れて消えて、あの短さでは3回も願い事を唱える暇はない。その後20分位、流れ星を待っていましたが、見られず。

翌朝、ご来光を見るために4時過ぎにテラスに行ったら、流れ星が1回見られました。そして前夜のようにしばらく次の流星を待っていましたが、その後も見られず。流星のピークはその日の午前9時と聞きましたが、他の時間帯ではジャンジャン流れ星が見られるわけではないようです。といっても流れ星を見るのは初めて、しかも2日連続で見られたのだから良いのかも。

夏場ではないので、さすがに4時過ぎでは辺りは夜の気配が濃厚です。星空は前夜よりよく見えましたが、8月中旬に五色が原で見た時より、星が遠くに見えます。降るような星空という感じではありませんでした。季節の移り変わりのためなのか、場所が違うからなのか?

いったん部屋に戻り、5時過ぎに再びテラスに出ると、すでに結構な数の人がご来光見学のために集まっています。目の前には雲海が広がり、濃い藍色からグラデーションになって徐々に曙色に変わっていく空に浮かぶ下弦の月がきれいです。絵になる景色。

そしてこの日はきれいな日の出を見られました。眼前に広がるもくもくとした白い雲海、反対側の槍ヶ岳は朝日を浴びてうっすらと赤くなっていました。

下山時も天気が良く、槍ヶ岳は青空を背景にしてきれいに見え続けました。この日、表銀座を縦走した人たちは、きっと気持ちが良かったことでしょう。

下山で高度を下げていくと、槍ヶ岳も雲海も見えなくなり、特別な空間から日常の世界に戻ってくる感覚が強くなってきます。天気がいい日だったので続々と登ってくる登山者とすれ違います。日常に戻っていく自分と比べ、これから素晴らしい景色に遭遇する人たちが羨ましくなります。

下山後は燕山荘グループの有明荘へ。有明荘の温泉で汗を流して、昼食をとり、帰りのバスを待ちます。有明荘食堂ではスイスワインが置いてあり、ワイン好きの人にはお勧めなのだとか。敷地入り口に植えられた有明もみじは、部分的に赤く色づいていてきれいでした。

ところで有明荘の立ち寄り温泉は半額で入浴することが出来ました。

遡ること前日の燕山荘、有明荘の入浴割引券をもらおうと、フロント辺りでうろついていましたが、どこにも割引券が置いてありませんでした。スタッフの人に有明荘の入浴割引券をもらおうと声をかけると、すかさず「クラブ燕山荘に入会すると、入浴料が半額になって割引券を使うよりお得ですよ。」

ポイント10個ためると1泊無料になるとか、有効期限は10年だとか、会費はかからないとか聞いてしまうと、つい心が動いてしまい、その場でクラブ燕山荘に入会してしまいました。去年宿泊した時も思いましたが、燕山荘のスタッフって営業熱心、かつ、客の心を機微を良く分かっています。

帰りのバスは八ヶ岳の美濃戸口を経由して、新宿へ。祝日だったので高速は混み、一般道に下りたり、また高速に入ったりで、19:30過ぎに新宿に到着しました。バスの途中休憩を除いて、6時間以上バスに乗っていたので疲れました。来年、表銀座縦走する(予定)時は電車で移動しようと決意して、今回の燕岳登山は終了です。