ヌカザス尾根から三頭山西峰へ

11月3連休の初日に三頭山に行ってきました。

三頭山には今年の3月に檜原都民の森の森林館からの周回コースで行ったので、今度は違うルートにしよう。ということで、大変だよと聞いていたヌカザス尾根から登ってみることにしました。

急登とは言いますが、ヌカザス尾根から登った結論、稲村岩尾根や大ブナ尾根の方が大変・・・かな?稲村岩尾根と大ブナ尾根は4月に登って暑かったというのもありますが、アップダウンがあるというよりひたすら登っていたイメージ。ヌカザス尾根は急坂を登ると、またすぐに同じくらいの急坂を下る、アップダウンがあるコースというイメージです。

ヌカザス尾根の三頭山登山口までは、奥多摩駅から西東京バスで小河内神社バス停まで行きます。3連休の初日、天気は良いという予報でホリデー快速おくたま3号はなかなかの入り。皆さん早くから並んでいるので発車時間まぢかに乗車したのでは、座れません。電車の到着10分前から並んでいたので、無事座れ、9:17に奥多摩駅に到着。

奥多摩駅の改札を出ると、道路をはさんだ向かいの停留所には結構な人が並んでいます。これは増発便が出るかなと思ったら、やはり出ました。増発便が出るといっても車内は混雑しています。3連休の初日で泊りで山登りをする人が多いのか、テントでも入れているらしき大きなザックを持つ人が多い。スペースがあるように見えて、足元に大きなザックを置いているので、思ったより乗客が入りません。大きなザックをよけて変な姿勢になって立ち、カーブの多い道を揺られながら乗車するのは、正直疲れます。早く目的地に着いてくれないかと願い続け、奥多摩駅から30分ほどでバスは小河内神社バス停に到着しました。

小河内神社バス停の目の前には、奥多摩湖が広がっています。そして目前の奥多摩湖には、浮橋が対岸まで渡っています。浮橋を渡りたくて、この近辺を散策する観光客もいます。ちなみに浮橋は時期によって渡れないこともあり、この日は奥多摩駅停留所に留浦の浮橋は渡れないと掲示がありました。うっかり小河内の浮橋を渡れるか否か調べてこなかったので、渡れる日に当たって良かったです。

浮橋を渡って散策コース(?)を抜けると車道に出ます。車道のわきを道なりにしばらく歩くと登山口が左手に見えてきます。小河内バス停から登山口までおよそ20分ぐらいでしょうか。持って行った登山地図にはイヨ山までのコースタイムは書いてありますが、小河内神社バス停から登山口までの所要時間は書いてありませんでした。そのため車道のわきを歩いていると、だんだんと道を間違えているのではないだろうかと不安になってきます。地図を出して何度も確かめてやはりこっちで正しいはずと歩いていると、前方に登山者が見えてきました。そして登山口が見えて、一安心です。

ヌカザス尾根は登り始めから急登です。針葉樹の生えた林の中を登り続けます。良い景色が望めないので景色を楽しむことも出来ず、頭の中で数字を数えて登っていました。あの木のところまで100歩で行けるかな、100歩で行けなかった・・・などと考えて。もくもくと急登を登っていると、修行のような気になってきます。

すると前方から目立つオレンジ色のベストを身に着け、犬を連れている人がやって来ました。手には猟銃を持っていて、連れている犬は筋肉質でしまった身体の猟犬です。

猟師さんだ!山に登っていて猟師さんに遭遇したのは、この日が初めてです。こりゃ、お花摘みのために人目のつかないところに行ってガサゴソしていたら、野生動物と間違われて撃たれてしまうかもしれません。おちおちお花摘みもしていられなさそうです。猟師さんとすれ違うかなと思いましたが、猟師さんは登山者が歩く登山道を外れて、林の中の道なき道を下りていきました。猟師さんにとっては勝手知ったる山で、登山道を外れても迷わないようです。

何度かアップダウンを繰り返して、イヨ山過ぎてヌカザス山へ。アップダウンを繰り返していると登っている途中で「今見えている先に道が見えないということは、あそこまで登ったら今度は下りになるんだな。」と予想がついてきます。予想がつくのはいいのですが、「何のためにこの急坂を登っているのか?」と虚しさもちょっぴり。ヌカザス山に着く手前で疲れてしまい、下山してくる登山者が道を譲ってくれても、先に登る気になりません。そんな姿をみた下山者の「あと5分も行けば山頂ですよ。」の一言がうれしい。その言葉でまた頑張る気になります。

5分よりももう少し時間がかかって、ヌカザス山に到着しました。正午も過ぎていい時間なので、ここで昼食をとることに。

ヌカザス山は至るところ枯れ葉で覆われています。先日ジェットボイルを購入したので持って来るか迷いましたが、こんな枯れ葉だらけのところで万一枯れ葉に引火してしまったら大変。操作に慣れていないジェットボイルを持ってこなくて正解です。奥多摩駅で登山者に向けて山火事の注意喚起をしている人たちがいましたが、注意喚起したくなる気持ちが分かります。

というわけで、山専ボトルに熱湯を入れてきました。この日のお昼は山専ボトルから注いだお湯で作るカップヌードルです。3分待ってアツアツのカップヌードルの出来上がり!

出来上がったカップヌードルをハフハフと食べますが、若干、麺が固いような・・・。前の週に山梨の扇山~百蔵山の登山をしたときは、フォーのカップ麺を山専ボトルのお湯で戻しましたが、この時も麺が若干固かった。待ち時間が短かったのかとその時は思ったので、今回はしっかり待ち時間を計っておきましたが、やはり微妙に固い。麺の固さはもどすお湯の温度が低いゆえのようです。保温力が通常の保温ボトルよりも高いと言われている山専ボトルですが、6時間以上もたつとさすがに100℃を保っているのは難しい。カップ麺を美味しく食べるには、熱湯じゃないとダメということがよく分かりました。

カップヌードルを食べていると、さっきとは違う猟師さん2人組が登山道を歩いてきました。2人組の猟師さんもオレンジ色のベストを着て、しまったボディの猟犬を連れています。目立つオレンジ色(消防士のオレンジ色の制服より赤みが強くて、ちょっと蛍光色っぽい)のベストは猟師さんのトレードマーク?今まで山で遭遇したことのない猟師さんに、この日だけで3人も遭遇してしまいました。

ヌカザス山から三頭山の間には、オツネノ泣坂という急坂があると聞いていました。ヌカザス山からすぐに結構な急坂を登って下るところがありましたが、泣坂というほどのところではない。こんなあっけない坂がオツネノ泣坂のわけがないと思っていたら、見えてきました、前方に長く続く急坂が。

オツネノ泣坂は、この日一番の長い急坂でした。といっても大ブナ尾根の方が大変だった気がします。個人的には急坂は登りよりも下りの方が怖いので、三頭山側から下りてくるより気分は楽です。

そんなつらい急登を終えると 待っていたものは、明るく広い尾根道でした。広々とした道は両側に広葉樹が生え、落葉した木々の枝の間から青空が見えます。優しい陽の光が降り注いでポカポカと暖かい。吐く息は白くて気温はさほど高くないのですが、吹く風は穏やかで、気持ちのいい陽だまりハイクの気分になります。

静かで、かといって明るい道で寂しくはありません。静かな尾根道を歩いていると、コンコンコンとキツツキが木をつつく音が聞こえてきます。あの急坂の先に、明るく広く開けた平坦な尾根道が待っているとは、想像していませんでした。この広々とした道は三頭山の魅力の一つかもしれません。

広々とした尾根道を過ぎると、三頭山西峰まであとひと登り。広々とした尾根道ではあまり標高をかせがなかったので、最後のひと登りで標高をかせぎます。

そして三頭山西峰に到着です。予定通り、14時ちょっと前に到着しました。山頂からは天気の良い日は富士山が見えますが、この日の富士山は雲に隠れている部分があるものの、冠雪した山頂はしっかり見えました。

山頂でフリーズドライのお味噌汁を飲んで人心地ついたら(寒い時期は温かいものを飲食すると元気が出てくるな)、沢沿いのブナの路を森林館に向かって下山しました。こんな感じでヌカザス尾根からの三頭山登山は終了です。