東京の秘湯をいく

タイトルがぶらり温泉一人旅のような感じですが、何のことはない、成人の日に奥多摩の浅間嶺の下山後、温泉に寄ったメモです。

温泉の名は蛇の湯温泉(たから荘)。東京で唯一の秘湯です。奥多摩周遊道路につながる檜原街道沿いにあります。

浅間嶺の登山口(下山口)は檜原街道沿いにいくつかありますが、当日は持っていく地図を間違えてしまったため、なじみのある浅間尾根登山口バス停の方に下りていきました。

バス停から檜原都民の森方面に向けて徒歩で20~30分。檜原温泉センター数馬の湯を過ぎてさらに進むと、進行方向右手にバーンと「蛇の湯温泉たから荘」という大きな看板が見えてきました。

「こんなの秘湯じゃない・・・。」

バイクでツーリングしている人やサイクリングしている人が、元気よく街道を走り抜けていくし、近くの公衆トイレ付近では工事をしているし、いくつも民家があるし、登山口もあるし。

さらに行くと、かやぶき屋根の古民家に到着しました。右手に見えた大きな看板は、宿の駐車場のためのものだったようです。たから荘はその向かい側の古民家。趣のある古民家は秘湯というに相応しいです。 軒先に「日本秘湯を守る会」と書かれた提灯が下がっています。

玄関を入るとすぐに、宿のご主人(?)が出てきました。内部は古民家らしく少々暗いものの、年季が入ってつやつやとした木材が良い感じです。何も言わないでも温泉入浴に立ち寄ったと察してくれて、案内をしてくれました。ザックを持って入っていいものかと思いましたが、特に注意は無かったのでそのまま持ち込ませてもらいました。

料金は1000円。脱衣所に貴重品入れ等は無いので、受付で貴重品を預かってくれます。受付で渡された紙の券に名前を書いて、氏名部分が空欄の半券をもらいます。帰るときにこの半券に氏名を記入し、預けた貴重品につけた半券の氏名と照合して、貴重品を返還してもらうシステムです。温浴センターなどでプラスチック製の番号札で荷物を預かってもらうのとシステムは同じですが、プラスチック製の番号札じゃないところが古民家の雰囲気に合っていて良いです。

浴室は母屋と階段でつながったはなれにありました。結構階段を下りるので、足の不自由な人は一人で浴室まで下るのは大変かもしれません。母屋は古民家といっても現代的に暖房がしっかり効いていましたが、浴室へと下る階段は暖房が効いていません。寒い・・・。そして脱衣場も暖房が多少は入っていたのかもしれませんが、ほぼ効いていませんでした。さ・・・、寒い!

脱衣場には温泉の成分表や、秘湯への思いが綴られた説明書き(?)が掲示されていました。色々な意見がある中で、守り続けてきた温泉なんですね。たから荘に向かう途中、明るく開放的な数馬の湯の前を通りましたが、気軽に入れる数馬の湯のような温浴施設も良いと思う一方、たから荘のような雰囲気のいい古民家に設置された温泉も無くして欲しくない。

寒い寒いと思って浴室に入ると、浴室内には誰もいませんでした。脱衣場は使った跡がありましたが荷物は置いてなかったので、温泉ひとりじめかなと思っていましたが、案の定。時刻は13:45過ぎ。秘湯の温泉ひとりじめは贅沢な気分です。

浴室は普通の旅館やホテルの大浴場と同じような感じです。露天風呂はありません。内湯が一つに、シャワー付きの洗い場が3つくらい(うろ覚え)。泉質は秘湯の会に加入している温泉なのでおそらく良いのでしょうが、泉質の違いが分かる人間ではないので、どうなのかよく分かりませんでした。硫黄の香りがしないので、硫黄泉じゃないことだけは確かです。浴室の窓からは下を流れる渓流が見えます。

浴室内にボディソープ、シャンプー、リンスの設置あり。その名も「秘湯ボディソープくまざさ、秘湯シャンプーくまざさ、秘湯リンスくまざさ」。これらは日本秘湯を守る会会員になっている温泉にしか卸していないもののようで、たから荘受付でも買えるらしいです。

湯上り後に食事をする登山者もいるようですが、どこで注文するのか分からず、預けていた荷物を受け取ったら、たから荘を後にしました。食事はどんな感じのものがあったんでしょうね。気になります。

その後は帰りのバスの時間まで、まだ間があったので徒歩で数馬の湯まで行ってみることに。数馬の湯は下山者や近隣の家族連れで賑わっていました。パンやこんにゃく、漬物、はちみつ、お菓子、野菜など檜原の特産品が売っていて、お食事処もあります。食べてみたかったじゃがいもアイスもここで食べることができました。じゃがいもアイスと普通のバニラアイスとの違いは・・・あまり分かりません。なめらかな食感で、じゃがいもが入っていると言われないと分からない感じです。

東京の秘湯メモは、これにて終わりです。