雪いっぱいの西穂高・丸山

4月上旬に初心者向け1泊2日の雪山登山ツアーに行ってきたので、メモ。

今回の行き先は西穂高・丸山です。松本駅からバスで新穂高ロープウェイ新穂高温泉駅まで行き、ロープウェイに乗って西穂高口駅まで行きます。

ロープウェイの中からは青空を背景に、雪化粧をした北アルプスの山々が見えてきれいです。ロープウェイは登山者だけではなく普通の観光客も結構います。山頂駅(西穂高口駅)展望台ではその日の気温が書かれたプレートを持って記念撮影をする人、山頂駅近辺の雪の回廊を歩く人など。

さて、山頂駅で雪山登山の準備をして出発です。まずは西穂山荘を目指します。山頂駅から西穂山荘までは1時間30分の行程です。西穂高口駅からは最初はなだらかな雪道を歩いていきます。4月といっても雪はたっぷり。ですが踏み跡がしっかりついているので、軽アイゼンをつけた靴が雪に埋まるようなことはありませんでした。

そのうち急な上りが何回か出てきます。とはいっても道はやはりしっかりしていて、ルートを外れなければ危険を感じる所はありません。

西穂山荘までは樹林帯の中の道、そして天気のいい日だったので風の影響はなく、登り続けていくと暑くなってきます。西穂高・丸山に来るのは今回が初めてなので、雪が無い時期はどんななのか分かりませんが、この急坂の雪の下はグリーンシーズンは階段になっているのだろうか、それともただの坂道なのだろうかと思いながら登って行きました。

樹林帯を抜けると、西穂山荘はすぐ。西穂山荘前は平らに開けた場所で、雲一つない青空が広がり、陽の光が眩しい。雪に覆われた稜線が間近に見えます。テント場には雪の上に、いくつかテントが張ってあります。真っ白な雪の上で、色鮮やかなテントが映えます。

本来の行程では、1日目は西穂山荘までで終了、2日目に丸山に登ってから下山ということでした。が、2日目の天気が悪そうなので、1日目のうちに丸山まで登ることになりました。

西穂山荘から丸山までは片道30分ほど。そこからさらに1時間行くと独標に着きますが、ツアーでは丸山まで。独標までならそれほど難しくないと行ったことのある人に事前に聞いていましたが、行程が長くなるし、地図を見ると独標までの間に岩々したところがあるので万一のことを考えて、ツアーでは丸山までになっているのかもしれません。

「ここからの稜線歩きは風が強いのでフードを被って」というツアースタッフの方の言葉に従い、フードを被って西穂山荘前から丸山に向けて出発です。

山荘前は少し風が吹いているかなという程度でした。ですが、丸山までの稜線は、風が強い、冷たい。びゅうびゅうと風が吹きつけてきます。空は相変わらずの青空ですが、樹林帯の中や山荘前の穏やかさと全然違います。

これはネックゲーターをつけて鼻の辺りまで覆った方が良かったかもと後悔しますが、ネックゲーターは山荘前に置いていったザックの中。この強い風の中、独標までの行程だったとしたら辛すぎます。初心者には丸山まででちょうど良いと、納得しました。

丸山に到着すると、稜線ほど風は強くありませんでした。それでも充分寒いので、一通り記念写真を撮り、山頂にいたのは5分強ぐらいだったでしょうか。

山荘から丸山までの間に、眼下に上高地の帝国ホテルの赤い屋根が見えました。山荘で出会った独標まで行ってきた登山者の話では、独標まで行くと槍ヶ岳奥穂高岳上高地全体を見渡すことが出来るそうです。ここまで来て独標まで行かないのはもったいない、とのこと。

丸山から戻り、山荘に入ると、山荘内は暗い。外は雪明りで明るいので、照明を落とした(節電?)山荘内が一層暗く感じます。

泊った部屋は2階の奥まったところ。6人で一部屋でした。

部屋の中に暖房はないので、部屋内は寒いです。廊下は至るところにストーブが置いてあるので、部屋内より廊下の方が暖か。部屋の扉を開けて、廊下の暖かな空気を取り込もうとしましたが、ちっとも暖気が流入してきているようには思えません。室内にいると、ビューっという風の音が聞こえてくるので、外気が吹きつける部屋は暖かくなりようが無いのかもしれません。部屋の天井にビニールシートが張られていましたが、寒さ対策?

一人に一組の布団セット(敷布団1枚、掛布団1枚、毛布2枚、枕)が使えて、布団はけっこうふんわりしていて清潔です。暖房が無く寒い部屋内ですが、敷布団の上に毛布を敷き、もう一枚の毛布と掛布団を掛ければ、部屋の寒さは気にならず暖かく寝られます。

この日の夕食は、ご飯、味噌汁、春雨サラダ、千切りキャベツ・ブロッコリー・ケチャップスパゲティ・カニカマ添えのハンバーグとクリームコロッケ。ご飯と味噌汁はお代わり自由です。

雪の季節なので人は少ないかと思いきや、山荘内はけっこうな人。到着時には他の部屋は空いていましたが、いつの間にやら埋まり、談話室として使えるレストハウスもたくさんの人。ここで食べられる西穂らーめんが人気なようですが、今回は時間が合わず、食べること能わず。

2日目。予報通り、朝から雪です。といっても大雪というわけではなく、下山に難儀するというほどではありません。どんよりとした空の下、前日見えた胸がすくような景色ではなく、荒涼とした感じです。

歩行訓練をしてから、下山開始です。前日に登った急坂は、今度は急な下りになります。雪が無くても急な下りは苦手なので、慎重に一歩一歩下りていきます。急な下りは本当に怖い。自分が転げ落ちて人に追突してしまったらとか、後ろの人が滑って追突されたらとか、色々余計なことを考えてしまうのがいけないのかもしれません。

無事、西穂高口駅に到着して、ロープウェイに乗りこみます。前日ロープウェイ内からきれいに見えた景色は、この日は見えません。下りのロープウェイと上りのロープウェイが途中ですれ違いますが、上りのロープウェイはガラガラかと思いきや、定員みっちり乗車している感じです。雪山好きの人は、ロープウェイが運航できる程度の荒天は、まったく気にしないらしい。

下山後は、平湯温泉のひらゆの森に立ち寄り、温泉で温まり、飛騨牛の朴葉みそ焼きの昼食をとりました。飛騨牛の朴葉みそ焼きより、この地方でよく食べられているという、すが立ったような見ための豆腐が、予想に反して美味しかったです。

ひらゆの森は、玄関前に雪吊が設置されている、風情のある和風建築です。外国人が好きそうな建物ですが、実際、外国人旅行者が吸い寄せられるように入っていきます。

肝心の温泉は、内湯だけでなく、温度違い、濁り具合違いのいくつもの露天風呂があります。入浴後は広々とした湯上り処で休むもよし、お食事処で食事をするのもよし、です。湯上りにはやはりフルーツ牛乳だよね、ということで、湯上り処でパイン味のフルーツ牛乳をごくり。

入浴料は安くとも1000円はするんじゃないかと踏んだのですが、HPによると500円。お風呂で世間話をした愛知から来たという観光客や、外国人旅行者が続々と来るわけです。

こんな感じで、雪いっぱいで寒かった西穂高・丸山の初心者向け雪山登山は終了です。