蛇紋岩滑る谷川岳

7月中旬の3連休の初日に谷川岳に行ってきました。

今回が初・谷川岳です。ずっと天気をてんくらでチェックし続けていて、3連休の初日がちょうど天気が良さそうだということで、前日に急遽、新幹線の切符を取りました。

新幹線で上毛高原駅まで、関越交通で往復の路線バス代とロープウェー代がセットになった得々乗車券(3,950円)を使ってロープウェー乗り場に行き、天神平~オキノ耳までの往復登山という行程です。

上毛高原駅に着いたのは朝の7:53。乗っていた車両はガラガラだったのですが、他の車両から下車する人は多く、思ったより多くの人が下車します。中には団体旅行のハイカーらしき人たちもいます。

人が多いな、とのんびりしている暇はありません。8:04の路線バスに乗る前に、駅舎の一角にある得々乗車券販売所(駅舎からバス停に行く出入り口のそばにある)で得々乗車券を買わなくては。

得々乗車券を買い、発車数分前に谷川岳ロープウェー乗り場行きバスに飛び乗ったら、座席は既に満席、数人立って乗車している人も。上毛高原駅で降りた人たちのうち、6割ぐらいは尾瀬に行くバスに乗ったようです。といっても、出発時間までに客が乗り込み続け、そこそこ満員になって、バスは定刻通り出発です。

途中、JRの水上駅土合駅にバスは停車し、水上駅では数人のグループも乗ってきました。今回は往復新幹線にしましたが、時間に余裕があったら下山後は水上の辺りで降りて温泉に入り、水上駅からローカル線に揺られて帰るのも良さそうです。

9時前にロープウェー駅に到着し、すぐさま天神平駅へ。ロープウェーの中から見える景色は、どんよりと曇っています。画像でよく見るような青い空とくっきりとした稜線の谷川岳ではありません。でもいいんです、雨が降っていない、それだけでありがたいのですから。

ロープウェーの駅には、デカデカとした「熱中症注意」の注意喚起が所々、目立つように掲げられています。乗車駅でも降車駅にも。(分かってますよー。)と内心思い、準備運動をしたら登山開始です。

天神尾根の木道の上をサクサクと進む。しばらく行くと木道は終わり、鎖がかけられた岩場が見えてきます。この最初の岩場で既に渋滞が発生していました。年配女性だけの登山ツアーの団体さんが、難儀しながら岩場を登っています。

ここら辺は、リフトの頂上駅からぐるっとロープウェーの天神平駅まで周回するウォーキングコースなので、鎖を使わなくても登れる箇所です。ウォーキングコースなのでスニーカーで来てしまう人もいるため、念のため鎖が設置されているのでしょうか。岩もまだ蛇紋岩ではなさそうですが、岩場経験の少ない登山者にとっては、ファイトー!いっぱーつ!という感じかもしれません。

ですが、ここは序の口。この後も岩場は続く。登山道の岩場近辺に到着するたびに、渋滞は発生。上毛高原駅発の路線バスで谷川岳ロープウェー駅まで行く一番早い便に乗ってきましたが、先行者が多いことに驚きます。登山ツアーの人たちだけでなく、ファミリー、若者グループ、中高年グループ、私と同じく単独行の人と、谷川岳ってこんなに人が来るの?

登山の楽しみ、肝心の展望ですが、登山開始前に懸念したように良くありません。天狗のトマリ場で岩の上に立ち、周囲の景色を撮ってみましたが、ガスに覆われ、クリアに写っているのは足元近くの岩場のみ。晴れてたらどんな景色が広がっていたのでしょうか。その後は、雲の合間に青空がチラッと見える数分間もありましたが、肩の小屋につくまでに青空はかき消されました。

渋滞続きでノロノロと進みますが、それにしても暑い。曇りでそれ程気温の高くなかったこの日でも、ムシムシして風もなく、暑いです。途中に水場もないし、好天でもっと気温が高い日だったらさらに厳しそうです。ロープウェー駅で目立つように「熱中症注意」と掲示されているのも分からないでもないです。

肩の小屋が近づいてくると、階段状になった登山道を登って小屋まで行くことになりますが、残雪が溶けた雪解け水が登山道の端を流れています。端を勢いよく流れる雪解け水が涼し気で、思わず手を伸ばすと冷たくて気持ちいい!飲むことはできませんが、手をつけるだけでひんやりとして、その一瞬だけ暑さを忘れます。

さて、肩の小屋は見えますが、陽を遮るものが一切ない肩の小屋までの階段状の登山道は、地味にきつい。スイスイとは進めませんが、一歩ずつ確実に足を運べば、その先は肩の小屋前の広場です。

肩の小屋前も結構な人出です。みんな一体、どこから来たんでしょう?昼食取るため座るに良い場所は・・・と見まわし、朽ちた細い丸太の端に座ります。おにぎりを頬張りながら稜線を見て思うことは、ガスが消えないねぇ・・・。

かなりのんびり肩の小屋前で昼食を取ったら、トマノ耳、オキノ耳を向けて出発です。肩の小屋から山頂まではハクサンチドリやヨツバシオガマがたくさん咲いていて、気分があがります。ウスユキソウも咲いていたらしいのですが、気づきませんでした。トマノ耳まで少しの登り、また下って再度登ってオキノ耳に到着しますが、登山道が狭いのと岩(蛇紋岩?)が滑り易いのが相まって、安心安全な場所に目立つように生えている花以外、目に入れる余裕がありませんでした。

トマノ耳、オキノ耳でもガスが広がり、青空は見えません。オキノ耳まで到着したら、後はサッサと降りるだけ。肩の小屋に下りるまでに、晴れそう、と思わせておいてほんの少しだけ青空を見せ、また曇天が広がる小憎らしい谷川岳

実は下山時の方が、蛇紋岩のやっかいさは身に沁みます。乾いてても滑る蛇紋岩。濡れていたらもっと滑る蛇紋岩。ほぼ岩は乾いていましたが、所により濡れている箇所もあり。

蛇紋岩の岩場の下りが続きます。岩は乾いているけれど、滑り易い。後ろを歩く人のズルッと滑る音が聞こえてきます。自分が滑らなくとも、他の人の滑っている姿、滑った音を聞くとヒヤッとします。

蛇紋岩の岩場で、どこに足を置こうかなと上から見て、ちょっと遠いけどここに置こうと決めた箇所に右足のつま先をのせ、体重をかけたら・・・。

右脚の内転筋がつりました。

ええっ?内転筋ってつるの?と焦りましたが、体重は掛けられそう。なので、そのまま右脚に体重をかけ、また少し遠いけど次の足場に左足つま先を置いたら・・・。

今度は左脚の内転筋がつりました。

内転筋がつるのが初めてで、しかも両脚?とかなり焦りましたが、岩場の下まで来て、両脚をブルブル震わせてたら、大丈夫そうな状態になりました。

これがもっと危険な岩場だったらと思うとゾッとします。思うに、登山前の準備運動が少なすぎた、渋滞に遭遇した遅れを取り戻そうとペースをあげた、不安定な姿勢の大きな一歩で体重をかけた、辺りが原因ではないかと。

その後は問題なく下山できました。晴れそうな期待を持たせながら、結局厚い雲に覆われ続けた谷川岳登山でしたが、いい経験になりました。

天神平に到着して、ニッコウキスゲを見て、写真を撮り、天神平駅そばの靴洗い場で靴を洗ったら、初めての谷川岳登山は終了です。それにしても、暑かったなぁ。