12/21ソワレくるみ割り人形

12/21(土)ソワレ、木村渡邊ペアが主役のくるみ割り人形(@新国立劇場)に行ってきたので、メモ。

今回新国立劇場くるみ割り人形は、12/14ソワレのみ観に行くつもりでした。が、1階席では雪の国のコールドバレエの美を堪能しつくせなかったので、急遽追加して見やすいとは言えない席での観劇です。

シュタルバウム家のパーティーで注目してしまうのは、やはりルイーズとその崇拝者との関係です。この日は青年役の速水さんがルイーズにべた惚れという感じで、他の2人を押しのけて情熱的に迫っていたのが印象的でした。ルイーズ役の池田さんは、リフトされている時のポーズがきれいだったかな。

ねずみたちとの戦いの場面では、井澤さんのねずみの王様が弾けていました。ねずみの被り物を被って顔が隠れていると、よりいつもとは違うキャラを演じやすいのかもしれません。

木村さんのクララは乙女。ねずみたちを怖がっているようで、自分が積極的にやっつけてやろうというようには見えません。でも自分側が劣勢に立っているとみるや、自分も何かしなくては!と勇気を持って加勢するという感じでしょうか。

 雪の国の場面。この日は上の方の階から観たので、コールドバレエのフォーメーションの美しさにうっとり。その美しさの裏で、それぞれ個性のあるダンサーが、個性を抑えて全体の美を追求するには、どれほどのリハーサルを積み重ねたのでしょうか。

雪の国の美しさに感動して、1幕は幕を閉じます。

この日は1幕が下りた後の、客席からの拍手がもの凄かった!ソワレ公演は終演が遅いせいもあり、子供連れの客はマチネ公演よりぐっと少なめです。その分、ある程度の年齢がいった若い人や大人の観客が多く、拍手にも「いいもの観たー!」といった熱が入っていたのかもしれません。

そのさまは、拍手の音とその反響音がすごくて、劇場を揺るがすというか、それが圧となって下りている幕を動かすんじゃないかと思ったほどです。(実際は動かない)14日ソワレ(小野・福岡ペア)終演後のスタンディングオベーションもすごかったですが、21日ソワレ1幕終了後の拍手の方が大音量でした。休憩中は、初めて雪の国の群舞を観たらしき若い人たちが、興奮して感動を話している姿もあちこちに。

2幕のディベルティスマンは、アラビアの踊りの本島さんがダントツ。嫣然とした笑みで、その存在感は女王のよう。衣装は古代エジプト風ではないけれど、もしかしてクレオパトラって、こんな感じ?中国の踊りの奥田さんも良いです。奥田さんは、その役に求められるものを、過不足なく表現できるダンサーだと思います。

ディベルティスマンに続く、花のワルツの女性メインダンサーは、飯野さんと柴山さんです。飯野さんの音の取り方が好きなので、飯野さんばかり観ていました。思ったことは12/14ソワレの感想を訂正というか、飯野さんは音楽に合わせているレベルではない。飯野さんの内側には音楽が流れていて、踊りで音楽を表現しています。回転のしかたやポーズを決めるまでの所作を音楽の調子を表現しています。オケの音が聞こえなかったとしても踊りからどんな音が演奏されているのか分かる感じ、と言いましょうか。

木村さん演じる金平糖の精と渡邊さん演じる王子のグラン・パ・ド・ドゥ。

見ためはバッチリの二人ですが、一時は渡邊さんにはもう少し小柄なダンサーの方が合うのではないかとも思っていました(長身の女性ダンサーは、リフトするの大変そうですし)。どんどん進化する2人にそんな懸念は払しょくされていきましたが、もう完全にバランスの良いペアです。

渡邊さんの良さは、軽やかなジャンプなどのテクニック面、クラシックバレエの男性主役を演ずるに適した容姿といったところがパッと浮かびます。ですがそれらに加えて最大の魅力は、女性ダンサーと共に物語の世界を作っていこうとするところだと、個人的に思っています。物語の世界観を考えて演じることが好きそうな木村さんと、そういった面でも相性が良いと感じています。

女性バリエーションは、木村さんの長い手足が映え、可愛らしさと美しさ、輝きがあります。輝きだけでなく、音を捉えてくるくると正確に破綻なく踊ります。

コーダは多幸感に溢れています。細かなポジションチェンジで、うまくフィニッシュできるのかとどのペアを観てもハラハラするのですが、うまい具合にフィニッシュです。

こんな感じで、12/21ソワレくるみ割り人形の観劇メモは終了です。