高御座と御帳台

東京国立博物館で特別公開されている「高御座と御帳台」を見に行ってきました。

最初は三が日に行ってみたのです。1/2の11時過ぎに現地に到着したところ、入り口に90分待ちの表示。構わず博物館敷地内に入ると、冬の寒空の下、長蛇の列が出来ていて、90分待ちの表示は伊達ではありません。うーん、これはちょっと・・・、ということでその日は見るのを諦めました。

そんなこんなで、日中より比較的人出が少ない金・土の夜間開館時に行くことにしました。

夜間開館中は、待ち時間ゼロ!スムーズに入れました。しかも見学者が少ないので、混雑時にスタッフの方から言われがちな(今回言ってるかどうか不明ですが)「立ち止まらず歩きながら観覧してください。」なんてことも言われず、ゆっくりと好きなだけ観覧できます。

さて、高御座と御帳台ですが、実物を目にし、言葉が出ません。ただ、ただすごいのです。日本工芸の粋が集まった、本物の持つ迫力に圧倒されました。

高御座は上皇陛下の天皇即位時に、テレビを通して目にした記憶がうっすらあります。が、テレビを通して見るのと、実物をガラス越しとはいえ目の当たりにするのでは、迫力が違います。多くの人が並んでも見たくなる気持ちが分かります。

入館時にもらえるカラーの冊子によると、「大正天皇即位に際して製作された」とありますが、全然古びていません。朱や黒の漆はつやつやとし、鳳凰の像や数多く付けられた飾り金具はきらきらとしています。絵や彩色ははっきり。全面に有職文様が入った紫色のとばりは、さすがに大正時代のものではないでしょうが、高貴な紫色ってこれなんだねと思わせてくれます。パーツごとに各職人のかたの匠の技が散りばめられていて、この高御座・御帳台の制作に携わったすべての職人の方に敬意を感じます。

ガラス越しですが、ぐるーっと高御座・御帳台を前から横から斜めから、後ろから見られます。どの角度から見ても、美しくてすごいのです。仏像等も背面も見たい性分なので、後ろから見られるのは嬉しい。ちなみに後ろは黒漆の階になっていて、階の上に緋毛氈ならぬ、朱色に白い丸模様(真円ではない白丸の中心にさらに色付きの丸がある)の毛氈らしきものが敷かれていました。あの毛氈(?)に描かれた模様は、何かの吉祥文様なのでしょうか?

高御座・御帳台の隣の展示室には、即位礼に使われる伝統的な装束や威儀物という道具類も展示されていました。装束等はガラス越しの展示ではなく、かなり接近して見られるものまた嬉し。装束の織りが美しいです。

空いていたのでもう一度と、結局二周して高御座・御帳台を見てきましたが、本物のすごさは言葉に尽くせません。展示物をより良く見せるトーハクのライティングの技が、ここでも遺憾なく発揮されているということもあるとは思いますが、一度見ておいて損はない特別公開展でした。