名に負う雨飾山②

山頂で15分ぐらい過ごして、下山開始し始めたら、また雨が強くなってきました。下山ルートは長野県の雨飾高原キャンプ場に下りていくコースです。登りより下りの方が苦手なので、下山が心配です。

山頂からの岩場を下っていたら、我々ツアーより人数の多い団体さんが登ってくるのが見えました。山頂休憩時に出会った年配のご夫婦に「長野県側ルートから団体さんが登ってくるよ。」と教えてもらっていましたが、その団体のようです。こんな雨の日でも登ってくる人は登ってくるんですね、我々のツアーもですが。山頂直下のこんな狭い急坂の岩場ですれ違いは嫌だ、安全な笹平で待っていてくれないものかという願いは空しく、続々と登ってきます。登り優先ですが、先方のツアーの方が人数が多かったためか、下りの我々ツアーを先に行かせてくれました。ありがとうございます。

長野県側ルートは新潟県側ルートほどではありませんが、岩まじりの急坂多く、木の梯子もいくつかありました。

笹平分岐からしばらくは歩きやすい道で、ハイキング気分で楽しく歩けます。そんななか、列の前方から「ナメクジも紅葉するのかしら?」という声が聞こえてきます。えっ、なになに?と下を見ながら歩いていると、道端に黄色いナメクジがいました。体長3~4センチ。帰宅後ググってみるとバナナスラッグという黄色いナメクジがいると知りました。雨飾山で見かけたものよりもっと大きいらしいので、同じ種類のものか不明です。出会ったのは成長過程のバナナスラッグだったのでしょうか?

道が険しくないところでは、列の後方から紅葉トンネルを下っていくツアー仲間の後姿を見る余裕もありました。雨は降り続いていますが、色鮮やかなカッパとザックカバーが緑や紅葉した葉と共演しているようで、きれい。

下っていくと段々とゴーッという音が聞こえてきます。なんでも途中で川を渡るところがあるとのこと。さらに下ると眼下に川が見えてきました。荒菅沢です。思っていたより大きく、流れも速い川です。下流に向かう水量と流れの速さに巻き込まれたら、ひとたまりもなさそう。

川を渡る前に小休憩。 この辺りの紅葉がとてもきれいでした。鮮やかに見える紅葉と雨に煙った景色が幻想的です。緑、黄緑、黄色、明るいオレンジ、朱色、赤に山肌が彩られています。すかさず写真を撮りました。

休憩が終わり、川の流れがあまりない、連なる大きな岩を渡っていきます。雨で濡れた岩で滑らないかと心配しましたが、結構平気でした。ツアー仲間もすいすい渡っていました。

川を渡って、さらにどんどん登山道を下っていくと、ブナの林に入っていきます。この辺りにくると、もう後は厳しいところはなくなるとのことで、一安心です。雨が降っているとはいえ、黄色く染まったブナの林を歩くのは気持ちが良い。

長野県側ルートのいいところはスタートから山頂までの400メートルごとに標識があって、行程の目安になることです。歩いているとどこら辺まで来ているのか分かって、あとひと踏ん張り、二踏ん張りと自分を奮い立たせることが出来ます。新潟県側ルートは「山頂まで180分」の標識と「山頂まで120分」までの標識の間が長く、「山頂まで120分」と「山頂まで60分」までの間が短くて、どういう基準なのか少々戸惑いを誘いました。素朴さとツッコミどころがあって、そんなところは新潟県側ルートの面白いところかも。

気力で歩き続けて14時になる前に雨飾高原キャンプ場に到着。靴はドロドロ、お手洗い前の靴洗いスペースで泥を落とします。面倒くさがらずにスパッツつけとけば良かったです。あとは雨飾荘で温泉に入って、長野駅から新幹線に乗って帰路につきます。

雨飾荘は現代的な和モダンの建物で、温泉は源泉かけ流し。帰りの新幹線の出発時間の関係で、ゆっくりできなかったのが残念。

長野駅の駅ビル2階では、お土産を物色。沢屋や小布施堂のお店も入っていて充実しています。みすず飴本舗では美味しいと噂のジャムも売ってました。

雨飾山は雨乞い祈願の山とのことですが、今回の登山はその威力をいかんなく発揮して、ほぼ雨で終始しました。雨飾とはよく言ったものです。思った以上に厳しい行程でしたが、雨のせいで厳しさが何割も増しました。紅葉の季節の長野県側ルートは大渋滞が発生すると事前に聞いていましたが、山頂直下の岩場での団体さんとのすれ違いを除き、ほとんど行き会うこともなく渋滞に巻き込まれることがなかったのは、雨のおかげですね。