12/23(ソワレ)シンデレラ(@新国立劇場)

もうだいぶ経ってしまったので今更書いてもな、と思いますが、とりあえず記録のため短く。

12/23ソワレのシンデレラ(@新国立劇場)木村・中家組を観ました。

木村さんは今回がシンデレラ初主演、昨年のシンデレラでは仙女を演じていました。過去に新国立劇場でシンデレラと仙女の両方を踊ったことがあるのは、確か、本島さんだけです。主演ダンサー陣で年齢的には木村さんがシンデレラをやるのが一番ふさわしいですが、最初に仙女役をやったのでこのまま仙女役で固定かと思っていました。華のある若手ダンサー木村さんのシンデレラデビューとあっては行かないわけにいきません。

1幕、義理の姉たちと父が舞踏会用の豪華な衣装に着替えても、連れて行ってもらえないシンデレラは相変わらずの灰かぶりの服のまま。

父がさあ出かけるぞ、という段になり、舞踏会に行きたい木村シンデレラは、少しでも見苦しくないようにと掃除で汚れくすんだ服をパンパンとはたきます。舞踏会に行ったら浮くであろうみすぼらしい格好でも、木村シンデレラは行く気満々。そして父の腕を組んで颯爽と舞踏会に出かけようとしたものの、とがめられ、結局舞踏会には行けないことに。(そりゃそうだよね、この格好じゃね。)と自分の服を見て、舞踏会行きを諦める木村シンデレラ。切り替えが早く、悲嘆にくれたりしません。一人留守番中、(それでもやっぱり行きたい!)と舞踏会を夢見て踊る姿が、かわいい。

仙女はこの日も細田さん。冷たい美しさのミルタ(@ジゼル)の時とうって変わり、優しさを備えた美しさ。

四季の精は、夏の精の渡辺さんの腕の使い方が、夏の精にしては勢いがいいと感じた部分がありました。今回のシンデレラでは観に行った2日とも渡辺さんだったので、他の夏の精と比べたわけではありませんが、自分の記憶では夏の精は登場の初っ端だけでなく、終始気だるげな腕使いをするものだと思っていました。記憶なんてけっこう曖昧なことがあるので、今までの夏の精も渡辺さんと同じような感じだったのかもしれませんが。

2幕になって道化が登場。井澤諒君です。Kバレエ時代の井澤(兄)君は観たことがなく、今回が初見です。道化にキャスティングされるくらいだからしっかりしたテクニックを持つダンサーに違いないと見当をつけていましたが、テクニックがあって明るいキャラの道化でした。この日は王子の友人役で井澤駿君が出演していて、兄弟そろっての舞台。兄弟でも、見た目も違えば個性も違うんですね、当たり前ですが。

王子の中家君が登場。登場の瞬間が颯爽ときまっています。ティボルト役(@ロメオとジュリエット)が似合っていたので、新国立劇場バレエではアンチヒーロー的な役柄でキャスティングされていくのかと思っていました。ですが白い衣装の王子役も似合っていて少し驚き。中家王子は嫌味がなく肩に力の入っていないきれいな踊り。長身のダンサーは動きにシャープさがなく、伸びたゴムのような感じの踊りで観ていて面白くないこともあるのですが、中家王子はそんなことはありませんでした。恐らく運動神経がいいのでしょう。

美しく変身した木村シンデレラが登場。階段をポワントで降りる場面の真顔が、若干怖い。顔立ちのはっきりした美人が真顔になっていると周りから「怒っているの?」と言われることがありますが、それと同じかもしれません。階段を下り終え、夢見るように舞踏会場を眺める姿が美しい。微笑めばパッと花が咲くよう。

シンデレラと王子の踊りが始まり、王子によるシンデレラのリフトが軽くて高い!長身の中家王子と並ぶと、木村シンデレラは小柄なダンサーなのかと錯覚してしまいます。

シンデレラのピケターンによる舞台一周。音に遅れるんじゃないか、息切れせず最後まで回り続けられるか、息を飲みつつ木村シンデレラの踊りを見守ります。そんな中、一観客の余計な心配など吹き飛ばし、難なく踊り終える木村シンデレラ。思うに、木村さんはバレエ教室でレッスンメイトにやっかまれても、その踊りで周囲を納得させてきたタイプのダンサーではないかという気がします。

木村・中家組のパドドゥは、小野・福岡組ほどのスムーズさはありませんでした。ペアを組んでいる年輪が違うのだから当然ですが。木村さんの相手役は今のところ渡邊君がベストだと思いますが、中家君も悪くありません。

2幕が終わって、3幕が始まり。幕の前を横断して舞踏会帰りの客が人間模様を繰り広げます。幸せそうだったり、怒っていたり、振られたり。実はこの人間模様の場面を観るのを楽しみにしているのですが、以前より演技が薄くなったような気がします。幸せなカップルの天にも昇るような浮き浮きした感じや、喧嘩したカップルのプリプリ怒っているけど何かかわいい女性、仲良し女性2人組のかしましさ、振られる男性の置いてけぼり感。昨年のシンデレラは今回と同じような感じで、(あれ、こんなだったけ?)と思ったのは覚えています。前々回(2014年公演)かその前(2012年)あたりと、前回・今回ではダンサーが違うのか、品よく演技は控えめにということにしたのか、謎です。

というわけで、2017年のバレエ鑑賞は木村さんのシンデレラで見納めです。次は来年のニューイヤー・バレエです。関係ないけど、12/26キエフ・バレエの150周年バレエ・ガラを観に行っておけばよかったと少々後悔・・・。