奥多摩10座コンプリート②

①のつづき。

鷹ノ巣山の下山は、水根沢林道を通って水根まで下りていきます。

始めは石尾根縦走路。石尾根縦走路は広くて安心、右前方に富士山が見え続けているので楽しいです。縦走路を歩いていると、一本の桜の木が生えていて、たくさんの一重のピンクの花をつけています。まだ蕾もあり、散りかけの桜というわけではありません。稲村岩尾根でも桜をみましたが、風が吹くとハラハラと散るような散りかけの桜でした。桜の種類が違うのか、環境が違うからなのか良く分かりませんが、まだまだきれいな桜をみられて得をした気分です。

石尾根縦走路の分岐で倉戸山・水根方面と表示のある方向へ。この分岐ではそのまま石尾根を進む人ばかりで、水根方面に下りていく人がいませんでした。みんな六ツ石山に行くのか、それとも奥多摩駅まで下りていくのか。

榧ノ木尾根分岐から六ツ石山分岐方面に進むと、針葉樹の林の中の道を下り続けます。道が急ではありますが、道幅があるので危なくはありません。静かな針葉樹の林を下っていると、後方から急ぎ足で下りてくる人がいます。そして前方からは熊鈴を鳴らしながら登ってくる人もいます。あまりにもひと気が無いと不安になってくるので、人の姿をみかけて一安心です。ちなみに後ろから来た人はあっという間に追い抜いていき、姿が見えなくなりました。

一時間以上休みなく歩いていたので一休憩をしようと、なだらかで広い道の途中でストックおろして、ザックもおろしました。何気なくザックを置いた場所は、登山道の山側ではなく谷側。道にザックをおろして手を離した瞬間、ゴロンゴロンゴロンとザックが谷に向かって転げ落ちていきます。ぎゃー!

谷側は崖にはなっておらず、谷の底は登山道から見えます。ただ、落ち葉がたくさん溜まっているので、見た目より深いのかもしれません。最悪、谷の底までザックが落ちたとしても拾いに行くことは出来そうですが、登ってくるのは大変そう。そんな思いが脳内を駆け巡りながら、ザックが転がるのを追って斜面を下っていきます。

ザックは転がっていくにつれ加速度が増していきます。このまま谷底まで落ちて行ってしまうのかと絶望的な気持ちでいると、大きく出っ張った木の根っこにザックが当たり、動きが止まりました。ザックを拾って斜面を登り、胸をなでおろしました。谷側に荷物を置いてはいけないと分かっていたのに、一瞬の気のゆるみで酷い目に。油断禁物です。

この後は、沢沿いの水根沢林道を下っていきます。沢沿いと言っても、登りのときにチラッとあった渓流が見える安全なルートとは違います。道が崩落しかかっている部分があったり、滑落したら命はなさそうな片側崖の道だったりして、通行注意です。

登りの稲村岩尾根の登りが延々と続いたのと同様、水根沢林道も延々と続きます。水根沢林道はなだらかな道で、そのぶんどの程度下ってきているのか感覚があいまいになってきます。

そんな延々と続く水根沢林道を歩いていると、広葉樹そばの道と針葉樹そばの道の違いに気づきます。針葉樹のそばの林道は、しっかりと踏まれて固く、崖側の崩壊、山側の土砂崩れはほぼない。一方、広葉樹のそばの林道は、山側の土砂が崩れてきて林道自体が狭くなっていたり、土砂のせいで谷側に傾斜していたり、谷側が崩壊しかかってていたりするところが結構あります。広葉樹の生えている土壌がゆるいのか、多くの落ち葉のせいで道がもろくなりやすいのか。針葉樹が生える人工林は人の手が行き届いているため、ついでに道も整備されているのか。疑問が頭に浮かびますが、結局よく分かりません。見ても歩いても楽しいのは広葉樹のそばですが、歩くには針葉樹そばの道の方が安心。

そんなことを考えながら、針葉樹そばの道を下っていると、目の前を長いものが谷側に向かって横切っていきました。谷側は傾斜の緩やかな杉林でしたが、パッと見ると先ほど横切っていったものが、林の中からこちらの様子を見ています。こっちも驚きましたが、向こうも驚いたようです。横切ったのはヘビ。側面に赤色のあるヘビでしたが、ヘビの種類は不明です。

さらに下り続け、いつか崩落するのではないかという道や、渡渉、木の橋をいくつも通っていくと、眼下に人家らしきものが見えてきました。人家らしきものが見えてくると、一気に安心感がわいてきます。思ったよりアドベンチャーな下山路でした。今度鷹ノ巣山に行くときは他の道を通ろう。地図にわさび田があると記載されてましたが、どこにあったのかまったく気づかなかったのは残念です。

林道が終わると舗装道路のおくたまむかし道に合流します。これを下れば、水根バス停です。14:06水根バス停発のバスに間に合うか、ぎりぎりの時間帯です。走らず急いで下りましたが、あとバス停まで10mもないところで、2台続いてバスが停留所に入ってくるのが目に入りました。バス停に行くには道を渡らなければならない、でもこの距離では間に合わない。

目と鼻の先でバスは増便、定刻便とも行ってしまいました。次のバスは約1時間後。落胆が半端ありません。頚椎症の痛みがなかったらもっとサクサク歩けたかも、ザックが転がり落ちなかったらバスに間に合ったかも、と。

実はこの前の週、御前山から下山してきた時も、境橋バス停で目と鼻の先で増便のバスが行ってしまいました。2週続けて、同じ目にあうとは・・・。境橋バス停では増便のバスには乗れませんでしたが、その数分後にきた定刻便には乗れたので、結果的に万事OKでした。今回はアンラッキー・・・。

次のバスが来るまで時間つぶしのため、歩いてすぐの水と緑のふれあい館へ。奥多摩湖畔の藤棚の藤の花がきれいでした。ふれあい館内の飲食店で果肉が入った硬めのイチゴソフトクリーム(350円。コーンの代わりに最中の皮が添えてある)を食べ、一休憩です。

増便のバスが奥多摩湖バス停に到着したので乗り込み、定刻便の到着を待って出発です。途中、境橋バス停に止まりましたが、そこで見たことがある人が乗ってきました。下山路の石尾根縦走路を歩いているときに、追い越していった人です。六ツ石山とトオノクボを通って、境橋バス停に下りてきたようです。登山詳細図のコースガイドによると、道標なしの熟達者向けのコースだとか。地図を確認しても変なところに迷い込んでしまうわたしには、ちょっと無理なコースかもしれません。

こんな感じで鷹ノ巣山登山は終了です。眺望の素晴らしさに感動する一方、もっと注意力を持たなきゃと反省しました。帰りの電車で昭島に寄るのは面倒でしたが(ホリデー快速おくたまは昭島に停車しないので、乗り換えが必須)、無事オリジナルピンズをもらえたのは良かったです。