6/10眠れる森の美女(@新国立劇場)

「眠れる森の美女」(6/9@新国立劇場)を観ました。

この日の主役のオーロラ姫とデジレ王子は、小野さん、福岡君。簡単な感想は「やはり小野さんはいい!」(←毎度感想はこればっか)です。1幕から3幕を通して、踊り方が違いました。

1幕、オーロラ姫の16歳の誕生日。王・王妃や姫の求婚者などが主要な人物が待ちわびている中に、オーロラ姫が登場します。

舞台袖から登場した瞬間、小野さん演じるオーロラ姫は「あ!」と発するように大きく口を開け、笑顔を見せます。舞台を観ている観客に向けての笑顔というのではなく、オーロラを待っている王・王妃他大好きな人たちの姿を遠方から見つけたことによる嬉しさにから自然に出てきた動作という感じです。舞台袖から登場したほんの短い時間の演技なのですが、出てきた瞬間から小野さんのオーロラ姫の演技は始まっているようです。そして大好きな人たちの元に早く駆け付けたくて小走りになり、舞台中央に登場という流れ。

演技や踊りから、1幕の小野オーロラ姫は両親の愛情をいっぱい受けて、明朗で快活、そして愛らしさを持つ人物に見えます。ローズアダージオは大抵のバレリーナは緊張するようですが、小野さんの場合も慎重にしている感じを受けました。アティテュードプロムナードの連続で、早く支え手をつかみたいのに、優雅さを失わずキープしながら一人の求婚者から次の求婚者の手をそっと取らなければならないなんて、酷な場面です。

2幕、幻影の場。幻影のオーロラ姫がデジレ王子と邂逅する。この場面の小野オーロラ姫は1幕の踊りとは様子が違い、現実感がありません。眠っているんだろうな、オーロラ姫はデジレ王子と出会った夢を見ている、夢うつつなんだろうなという感じです。

目覚めのパドドゥ。ロメオとジュリエットのバルコニーのシーンのようで別に無くてもいいんじゃないかと個人的には思いますが、オーロラ姫の恋心の芽生えを描く場面として必要なのかも。激しく恋心を燃え上がらせるのではなく、デジレ王子に少しづつ心を寄せていくオーロラ姫。

3幕の小野オーロラ姫も1、2幕とは踊りの質が違います。両親に庇護されている娘っぽさがなくなり、自覚を持った大人の女性を感じさせる踊り。そして足先、指先だけでなく全身で音楽を奏でているような踊りです。きらきらとした姫オーラと幸せオーラが満載。

福岡君のデジレ王子はノーブルで、包容力がある感じです。マネージュは若々しさと健康、力強さを表していました。

グラン・パ・ド・ドゥのアダージュでフィッシュダイブ(?)が3回ありますが、3回目で盛大な拍手が沸き起こりました。フィッシュダイブで拍手したことがありませんが、した方が良いのでしょうか。

他のダンサーについても少し。6人の妖精について。6人の妖精の感想は6/9の初日のものです。(最初、6/9の感想を書いていて、6/10に書き直してたときに、6人の妖精の部分だけ、6/9のものを残してしまっていました。)

寛容の精の飯野さん。このダンサー、良いなと思うといつも飯野さん。言い方は失礼かもしれませんが、名バイプレイヤーです。

喜びの精の五月女さんは、いつも確かなテクニックで安心して観れます。

勇敢の精の奥田さん。勇敢の精、個人的に指差し確認の精と呼んでますが、ピシッと決まるパが観ていて気持ちが良い。良いダンサーです。

気品の精の寺井さんは、顔立ちは大人っぽいですが、女性らしい踊り。

式典長の菅野さんは気の小ささが随所に見られる演技。カラボスに対する動揺ぶりや、編み針を庶民女性から取り上げたものの、王様から問い詰められるとすぐ白状してしまう際の演技に、小心者のキャラをのぞかせていました。

カラボスの本島さんは存在感、演技が抜群。踊りもかっこいい。本島さんの演技からは台詞が聞こえてくるようでした。「それじゃあひとつ、わたしからも贈り物をしてやろうかねぇ。」と。重苦しい場の空気を一身に受けて、観客の注目を決してそらさせない存在感が光ります。

フロリナ王女の米沢さんはとても可愛らしく、青い鳥の渡邊君は力を入れない軽やかで高いジャンプが目を引きました。