サービスのいいカレー屋

脚のケガをしてリハビリ中で、ここのところ、ある下町の整形外科に通っています。整形外科から駅に向かう途中に商店街がありますが、リハビリが終わった後に商店街をぶらぶらするのが楽しみ。リハビリが終わって、商店街に着いたのは11時半過ぎで、そろそろお昼ご飯に良い時間。商店街の飲食店は店先にランチメニューを掲示しています。

そんなわけで商店街の飲食店でお昼ご飯を食べようと物色していると、カレー屋さんが目につきました。カレー屋さんが目についたのは訳があります。店から漂うカレーの香りに誘われただけでなく、無印良品の3種の唐辛子とチキンのカレーを買おうか前日に無印の店舗で迷っていたから。結局、3種の唐辛子とチキンのカレーは相当辛いらしいので買いませんでしたが、カレーのことが頭の隅にずっと残っていました。

店先でランチメニューを選んでいると、すかさず「ハイ、イラッシャイ。」と店の窓から愛想のいいインド人(らしい)店員さんが声をかけてきました。もともとカレーに傾いていたので、声掛けされたのを契機に入店してみました。

選んだランチは日替わり。チキンのカレーとサラダ、ドリンク(マンゴーラッシーにしました)、ナン(又はライス)で700円。下町だし、まあこんなものでしょう。ナン(又はライス)はおかわり自由とのこと。

グルメリポーターではないので味がどうのということは言いませんが、普通に美味しいカレーでした。辛さもほど良く、極端に辛いものは苦手なわたしでもペロリといただける味です。ナンはサクサクしたところとモチっとしたところがあって、美味しい。入店前は気づきませんでしたが、「当店のナンは炭火で焼いています。」と掲示されています。炭火だとやはり美味しさが増すのでしょうか。焼き鳥やウナギのかば焼きも炭火焼だと味が違うというし。

カレーと一緒に運ばれてきたナンを食べ終わった頃合いを見て、先ほど声をかけてきたインド人店員さんが「ナンノ、オカワリハ、イリマスカ?サイズハ、フツウ?チイサイノ?」と声をかけてきます。お代わりもらおうかな、でも忙しく働いている店員さんに声をかけづらいし、という迷いがあったのですが、良いタイミングで聞いてきてくれました。忙しく働いていても、客への目配りはしっかりしているんですね。小さいサイズのナンのお代わりをオーダーします。

ナンは注文を受けてから焼いているようで、焼きあがるのに少々時間がかかります。待ち時間があったので、店内を見ていると、さっきの店員さんが厨房でナンの生地を伸ばしています。この店員さん、呼び込みも、会計も、注文も、給仕もしていて店のマネジャーのような感じなのですが、ナンを焼く担当でもあったようです。お店にいるスタッフはすべてインド人(国籍を聞いていないので詳細は不明)のようで、給仕・注文受付のおじいさん、厨房のコックさん、そして多岐に渡る働きをするマネジャー風の店員さんの3名。必要最小限の人員で、効率よく元気に働いています。

ナンが焼けるまで店内で待っている、お持ち帰り客もいます。そんなお客さんにはマネはー風店員さんがラッシーを振舞っています。気が利いているなあ。

店内の掲示物に日本語で商品などの説明文が書かれていますが、その日本語が怪しくない。外国の人がやっている庶民的なお店の掲示物やメニューに書かれている日本語は、意味は分かるけれど怪しいものになっているのが大抵のこと。日本語が怪しくないし、文章もきちんとしているし、一体どうやってこの掲示物を作ったのか。

そして掲示物にはナンの写真もあります。このお店、ナンの種類が豊富なようで、他のお店でも見かけるチーズナンやガーリックナンだけでなく、キーマカレーが中に入ったキーマカレーナンやチョコレートが中に入ったチョコレートナンなどもあります。変わり種ナンがちょっと気になりましたが、写真の画質があまりよくなく美味しそうに見えません、残念ながら。これらの変わり種ナンは、カレーパンやチョコレートパンのようなもので、普通のパン屋さんの菓子パンのイメージで単品で楽しむもののようです。そういえば、あんこナンもあったから、やはり菓子パンのイメージなのかも。

8分ぐらい待って、おかわりのナンを持ってきてくれました。見た瞬間、デカッ!小さめのナンを頼んだはずですが、普通サイズの2/3ぐらいの大きさです。小さめというので1/2か1/4ぐらいのサイズだと想像してましたが、予想を超えてました。今あるカレーの残量(かなり少ない)で、このナンを食べきれるのか?食べきりましたよ、銀色のカレー容器がピカピカになるくらい、一滴たりともカレーを残さずにして。

お代わりナンを食べているときに、マネジャー風店員さんがラッシーを1杯サービスで持ってきてくれました。理由は、お代わりナンの提供が遅くなったからとのこと。

近くの席の常連さんらしき人にも、ラッシーの追加サービスをしています。学生時代に何度か通い社会人になってから2、3年ぶりに訪れたという人には、顔を覚えていて話しかけ、これまたラッシーのサービス。とりあえず、急いでいない人には、それぞれが喜びそうなタイミングをみてラッシーをサービスするようにしている?

それなら最初から「ランチドリンク以外に、ラッシーを1杯サービスします」とメニュー表に書いておけばいいではないか、というと、ちょっと違います。演出、サプライズが客の心を動かし、掴む。最初から1杯サービスしてもらえると分かっていたら、感激は薄れていたはず。客の心の掴み方のうまさが勉強になったカレー屋でした。