縄文

赤岳登山ツアーで茅野駅を利用した際に、土偶のポスターがいたるところに貼ってありました。確か、土偶のパネルもあったような気がします。

(なんで、こんなに土偶のポスターが貼ってあるのだろう。土偶ねぇ。)とちょっと土偶が気になります。トーハクで縄文の特別展やってたなと思って、「縄文-1万年の美の鼓動」に行ってきました。

残念なことに、茅野市が誇る国宝土偶縄文のビーナス仮面の女神)は7/31からの展示で見られませんでした。というか、茅野市でポスターになっている土偶が国宝だということも知らなかったので、特別展で注意書きを見てやっと、茅野駅で見たポスターの意味が分かった次第です。そりゃ、国宝の土偶を2体も持っていれば、茅野市としてはあちこちポスター貼って宣伝せずにはいられないでしょう。

特別展では国宝の土偶が全部そろっていない時期だったので、それほど混雑もしておらずゆっくり見られたのは良かったです。きっと7/31以降はもっと混むはず。

特別展に行っての感想は、子供のころ感じた火焔型土器や遮光器土偶を見たときの衝撃を思い出しました。土器や土偶から発せられるエネルギーと造形のカッコよさ。

子供のころ教科書で見た時分は、火焔型土器はまだ国宝に指定されていませんでした。教科書に載っている国宝指定されているものは古臭く見え、「こんなかっこいいもの(火焔型土器)がなぜ国宝じゃないのだろう。」と疑問に思ったものです。学術的な価値や美術的価値など難しいことは子供には分からないので、ただただ自分が良いと思うものが国宝指定されていない不思議に納得のいかない思いでした。

当時の学校の授業では、縄文土器はもろくて意味不明な装飾が付いた原始的なもの、弥生土器は丈夫で繰り返し使えて実用的で優れているといった取り上げ方でした。歴史が進むにつれ文化は進化していくもの、縄文時代弥生時代より古いので、新しい時代の弥生時代のものの方が良いものであるはず、といった考え方で教えられていました。ですが、子供心にはどう見ても弥生土器や埴輪より、縄文土器土偶の方が素晴らしく思えたのですが、先生が言っているのだから先生の意見の方が正しいのだろうと、縄文土器より弥生土器の方が良いものと無理やり思い込んだ覚えがあります。

そんな押さえつけられた思いを解放してもいいんだ、思う存分縄文土器の素晴らしさを堪能していいんだ、というのが今回のトーハクの特別展です。

土器も火焔型土器だけでなく、複雑な文様を盛り込んだものがたくさん。時期によって、過剰な装飾を廃し洗練された装飾の土器もあったりして、縄文土器はあふれ出るエネルギーの装飾性だけでないことも分かります。

顔がふたつついた土器があったのですが、「この顔は亀だ!」と思ったら、母親が子供を出産している様子を表現したものらしいとあり、亀でないことが分かったり・・・。

重文や国宝指定されていない火焔型土器をたくさん集め、ライトで照らしだしてカッコよさを演出。トーハクの特別展を見ているといつも、演出って大切だなぁと思います。普通の蛍光灯の下、ガラスケースの中に無造作に陳列して置いてあったら、フーンで終わってしまって、おおっ!とはならないはず。

展示されていた国宝の土偶の中では、「縄文の女神」が美しいです。八頭身美人だそうですが、稚拙さはなく、無駄をそぎ落とした感じで現代アートみたいです。

土偶と言ったら遮光器土偶を思い浮かべますが、7/31以降は国宝土偶勢ぞろいなので、縄文人の創造性に瞠目せよという感じになるのでしょうか。

そういえば、あれだけ有名な遮光器土偶はいまだに国宝ではないのが驚きです。いつの間にか火焔型土器が国宝になっていたので、遮光器土偶も国宝になっているのかと思っていたら違い、重文でした。

複雑な文様の耳飾りは、(これ本当に縄文人が身に着けていたの?おしゃれすぎる。)

と驚き。ウリ坊の土製品は大人のイノシシの土製品より小さく作られ、横線で縞模様を表しています。かわいいです。ねこ(?)の土製品はちょっと怖い。他にもとても小さな発掘物も展示されていて、よくまあ見つけたなという感じです。

 縄文時代と比較して、同時代の世界の土器も比較として展示されています。世界の他の地域は農耕・牧畜社会に移行しているので、土器は模様が描かれていているけれど形としてはシンプル。農耕社会のものと、狩猟採集生活をしていた縄文人の創造性の豊かさとの対比が面白い。

展示会場のところどころに、縄文人の暮らしを再現したとても小さなフィギュアが展示されていたのも楽しい。よく出来ているなとジーっと見つめていました。あまり見ている人がいなかったのは、もったいない。

他にもいろいろ展示されてましたが、縄文人の創造性や精神に触れるいい機会だと思います。中高年の来場者ばかりかと思いきや、20代ぐらいのきれいな女の子たちも来場していました。結構、縄文時代に興味を持っている世代は多岐に渡るようです。