3日目に奥穂高岳登頂、4日目上高地へ。

奥穂高岳登山ツアー3日目。

前日の予想では、雨。だったのが、早朝外に出てみると、曇り!晴れは望まない、小雨でもいい、せっかくここまで来たのだからとにかく奥穂高岳に登りたいという前日からの願いがかないそうです。

5時半過ぎには、ほぼ雲で隠れていた山の斜面が、一部だけ雲が切れてオレンジ色に染まり、ほんの少しモルゲンロートが見られました。もっとピンク色系の赤い色を想像していましたが、思った以上に朱色で、写真に撮ると山火事のように見えます。(撮り方の問題?)

3日目は山小屋で朝食をとってからゆっくりと登り、奥穂高岳に登って下りてきてから穂高岳山荘で長めの休憩(昼食)。昼食後、またゆっくりと下り、涸沢小屋の前を通って涸沢ヒュッテに戻る行程です。

ザックは涸沢ヒュッテに置いておき、アタックザックに必要最低限のものを入れて出発。空模様はいつ雨が降ってきてもおかしくないような怪しい感じですが、出発時はとりあえず曇り。雨が降っておらず、背負ったアタックザックも軽いときて、軽快です。前日の雨中のザイテングラート手前までの行程のつらさと段違い。重たいザックを背負わずザイテングラートを通れたのが、かえって良かったような気までしてきます。

といっても出発時は曇りでしたが、奥穂高岳までは常に雨が降ったり止んだりの繰り返し。ザイテングラートでも雨が降り、前日の雨の影響もあって岩が乾いておらず。それでも、朝イチでまだまだ疲れ知らずで気力体力が充実していたので、ツアー参加者は結構難なく通過できました。大きな茶色いナメクジが、のんきにザイテングラートの岩の上を這っていたので、緊張が緩和されたかも。

ザイテングラートを抜けても、雲は厚く、穂高岳山荘はまったく見えません。穂高岳山荘に到着した時も雨が降っていました。ここで登頂前に一休憩ということで、コーヒーを頼んだり、ホットココアやおしるこを頼んだり。わたしはおしるこ(お茶付きで600円だったような?)を注文しました。おしるこに入っているのはお餅ではなく、白玉。お茶は粉茶をお湯で溶いたもののようで、濃厚です。

休憩を取ったら、いよいよ奥穂高へ。山荘の外は濃いガスで覆われています。濃いガスの中、このまま奥穂高岳に向かっていって大丈夫だろうかと、アタックを思いとどまる人たちもいたようでした。なにしろ山荘そばの登りの鉄梯子が、通常なら山荘からよく見えるのですが、ガスが濃くて全く見えません。2~3m位登った人の姿もガスでかき消されているような状態です。

そんな中、ガイドさんがいるツアー参加者は心強いものです。自分では登っても大丈夫か判断できないところでも、ガイドがついているので進むべきか撤退すべきかの判断をお任せできるのですから。というわけで濃いガスの中を突き進んでいきました。ツアー一行の後を個人登山者のグループもついてきます。

事前に奥穂高岳登頂の行程で、注意すべき箇所を教わっていました。山の斜面の出っ張ったところが難所だと。その出っ張ったところの下の方に滑落防止のためのネットがはってあると聞いたのですが、下から登っていく途中や、出っ張ったところに通過する前は、件のネットは見えません。出っ張ったところをほぼ通過し終わる地点に差し掛かると、下方にネットが見えました。(ああ、ここが難所だったのか。)と通過し終わるときに分かったくらいです。かえって通過する前に見えなかったから、変に構えなくて良かったのでしょうか。わたしも含めツアー参加者は怖くて足がすくんで通過できないということはありませんでした。それにしても、滑落防止用のネットと聞いていたので、もっと目が細かいものを想像していたのですが、ずいぶんと目の粗いネットがかかっていました。あれでは落ちた人がひっかかったとしても、荷重に耐えられなくて切れるのではないかと疑問に思います。頼りなさそうに見えても山の設備は結構しっかりしているので、大丈夫なんでしょうね、おそらく。

山頂が近づいてくると、空が少しだけ晴れてきました。ガスが少し晴れて、ジャンダルムも見えてきます。ジャンダルム、ああ、怖そう。さすがに濃いガスの中、ジャンダルム方面から登ってくる人はいませんでした。

山頂の祠の前で、一人づつ記念撮影。順番が回ってくるまで、じっと登山道で待ちます。ツアー参加者の中には、雲のある青空をバックに記念撮影が出来た人、曇天のしたの撮影になった人など、それぞれ。わたしは風が結構吹いているガスが出ている中での撮影になりました。祠前での撮影が終わったら、方位盤があるところに行ってみましたが、ガスのため見事に何も見えませんでした。

下山は慎重に。奥穂高岳から穂高岳山荘までの岩は乾いているので、濡れている石に足をとられることはありません。穂高岳山荘から奥穂高岳の往復は、あまり雨に降られませんでした。下りは登りの時よりガスは若干薄くなっているものの、穂高岳山荘にかなり近くなるまであの赤い屋根はやはり見えませんでした。

穂高岳山荘に戻り、昼食。行きはまだ準備が出来ていなかった食事メニューが提供されていました。味噌ラーメン(1000円)を注文しましたが、登頂してほっとした後のラーメンは美味しい。

2日目に泊るはずで泊れなかった穂高岳山荘ですが、休憩時にチラッと見ただけでも、涸沢ヒュッテより良さそうな雰囲気です。入り口近くの談話スペースは、リスの模様が打ち出されたストーブが置いてあって、ゆったり出来そう。宿泊していれば売店で売っていたタオル(300円位?)を貰えたはずだし。HPを見ると、流しに鏡がついた洗面スペースではなく、洗面台がズラッと設置してあって使いやすそうだし。きっと奥穂高岳には再び登頂しないだろうから、穂高岳山荘にも泊ることはないと思われます。1度泊ってみたかった・・・。

穂高岳山荘を出てからの下りは、けっこうな数の登山者とすれ違いました。すでに午後になっていたので、朝早く横尾あたりから登ってきた人たちでしょうか。

ザイテングラートを抜けると、遠方の景色をみる余裕も出てきます。あれだけ濃かったガスが少しづつ晴れ、遠方の山々が見えてきます。

当初の予定通り、帰りは涸沢小屋に寄りました。ここのソフトクリームは美味しいと評判だそうですが、それ程ソフトクリームにそそられないわたしは食べず。食べた人の感想によると、徳澤園のソフトクリームより濃厚だったそうです。てぬぐいをチェックしようと思っていたのがすっかり忘れ、チェックしそびれたのが心残り。下山時に止んだと思われた雨が涸沢小屋に到着したら、再び降り出してきました。そしてこの雨はその後、夜になっても止まず。

涸沢ヒュッテ2泊目の夕食。夕食は毎日同じメニューと怖いことを言っていた人もいましたが、ちゃんと前日とは違うメニューでした。内容は、白米、お味噌汁、里芋の煮っころがし、鶏の照り焼き、アジフライ、カボチャのてんぷら、千切りキャベツ、ポテトサラダ、漬物。この日も長野県警の山岳救助隊員の方が、安全登山の啓発スピーチを夕食中にしていました。土日祝日だけなのか、平日もやっているのか不明ですが、前日とは違う隊員さんがスピーチしていました。前日は槍ヶ岳近辺で山岳救助に従事していたそうで、傘をさして槍ヶ岳山荘までの登山道を登っていてケガをした人の救助をしたのだとか。傘をさして登山しないようにという注意喚起もありましたが、傘をさして登山なんてしませんって。ですが、確かに8月槍ヶ岳に行ったときに、ザックの横のポケットに長傘を収納して下山している人を2人位見かけて、(なぜ長傘を持ち歩いている?)と不思議に思った記憶があります。あの人たちも雨天時は、傘をさしながら登っていたのでしょうか?

ツアー2日目にあれだけ混んでいた涸沢ヒュッテですが、3日目の混みはそれほどではありませんでした。昨日泊った人たちは、奥穂に行って下山時は涸沢小屋に泊ったり、いっそのこと横尾や上高地まで下りていったりしたのでしょう。それほど混んでいない涸沢ヒュッテは、この日は2部屋借りてめでたく男女別の相部屋に泊れることになりました。一人一布団で寝られます。

ツアー最終日の朝は前日から引き続きの雨。1日目を除き、毎日雨具を身に着けています。(今日も雨か・・・)としょんぼりしながら下山をしていると、涸沢ヒュッテを出発して30分もしないうちに雨が止んできました。この後は、一切雨具いらずで上高地まで下山できました。2日目がこうだったら、どんなにこの登山ツアーが楽だったことかと思わずにいられません。天気がぐっと良くなったので、下から登ってくる人(個人グループ、ツアーの人)が多いツアー4日目でありました。屏風岩もきれいに見えたな・・・。

こんなかんじで、奥穂高岳登山ツアーは終了です。