ラ・バヤデール(@新国立劇場)3/2①

3/2のラ・バヤデール(@新国立劇場)に行ってきました。

冷凍イチゴケーキの衝撃は置いといて、公演の感想をメモ。

初日のラ・バヤデールは配役が豪華です。主役のニキヤは小野さん、ソロルは福岡君、ガムザッティは米沢さん、ハイ・ブラーミンは菅野さんという面子。いやがうえにも期待が高まります。実際、ニキヤ、ソロル、ガムザッティの3人がとても良くて見ごたえありました。

1幕。舞姫たちの踊りによる儀式が終わり、薄いベールを被ったニキヤが静々と登場します。ハイ・ブラーミンがベールをサッと剥ぎ取ると、小野ニキヤの全貌が露わになります。ベールが取られた瞬間のニキヤの様相は、静かな気高さ。崇高さを持った、神に仕える乙女です。

ハイ・ブラーミンはたまらず、ニキヤに求愛。菅野さん演じるハイ・ブラーミンは本来理性的な人物なのに、ニキヤに対してはどうしようもなく惹かれてしまう。聖職者としての自分の立場は分かっているけれど抑制がきかず、自分の思いを伝えずにいられない状態のように見えます。ステレオタイプの悪役ではありません。

ハイ・ブラーミンの求愛を拒絶したニキヤ。周囲に人がいなくなると、恋人の戦士ソロルと逢引きします。ソロルと二人きりの時のニキヤは、恋する乙女に変貌です。崇高な乙女の姿から、ソロルが恋しくてたまらず、愛しさがあふれ出て止まらない一人の若い女性の姿になります。小野さんのしなやかな背中が美しい。ラブラブモード全開、小野ニキヤと福岡ソロルの息の合ったパ・ド・ドゥで、1幕冒頭から満足度高し!

そんな恋するな2人ですが、ラジャーの娘のガムザッティとソロルの婚姻話が持ち上がります。ラジャーの命令に、当初は固辞するソロル。ですが、滅多に近くに寄ることも出来ない高貴なガムザッティの美貌を目にしたソロルは、ガムザッティに魅了されてしまいます。

福岡ソロルの気持ちも分からないでもない。米沢さんのガムザッティは美しかった。豪華な装いと輝かしい美貌、何者にもこびない高貴なたたずまいをそなえたガムザッティ。気位の高さもうかがわれます。手に入れたくても通常だったら手に入れられない女性が自分の妻になるとしたら、舞い上がってしまうのも頷けます。

ソロルは笑顔を見せてガムザッティと楽しいひと時を過ごしますが、一方のガムザッティは娘らしい恥じらいを見せるでもなく、表情の変化はほぼありません。なるほど、気位の高い深窓の姫君が、初対面の男性といきなり親し気な雰囲気で過ごすには無理があるというもの。高貴な方というのは、周りへの影響を考えて、感情をオープンにしないこともあります。

ハイ・ブラーミンのラジャーへの告げ口(ニキヤとソロルは恋仲という告げ口)を、陰でこっそり聞いていたガムザッティ。どんな女か値踏みし、ソロルと別れさせるため、ニキヤを呼び寄せます。ニキヤに面を上げさせてみると、その美しさに驚きます。宝石を渡して懐柔しようとするも、もらう理由はないと受け取らないニキヤ。ソロル肖像画を示し、別れを迫るも、がんとして譲らないニキヤ。なおも宝石を渡して、別れるよう命令するガムザッティ。米沢さんのガムザッティは、身分の低い女が自分の夫になる男性の心の中にいるのが我慢ならないという感じです。気位の高い姫君なので、別れるよう懇願するようなことはしない。このガムザッティは、ソロルに恋しているわけではなさそうです。

女性同士のいざこざの末、ナイフを目にしたニキヤは、そのナイフでガムザッティに襲い掛かります。召使に止められて、自分の思わぬ行動に動揺し、その場から逃げ去るニキヤ。ソロルとの熱愛ぶりからも分かりますが、神に仕える舞姫として、感受性が強いタイプの人物のようです。

ニキヤの凶行から逃れて、我に返ったガムザッティ。ニキヤへの怒り、ただではすまさないと決意を固めます。この一連の流れの米沢さんが怖かった。怒りの炎がメラメラと上がっていくのがみえました。米沢さんのガムザッティ、良い!

2幕に入ると、ガムザッティとソロルの婚約披露宴の場面になります。黄金の仏像の福田君の踊りは、いつものように身体能力の高さを見せる。ピンク・チュチュの五月女さんは小柄なのを感じさせない踊り。

2幕のガムザッティとソロルの踊りがとても良かったです。米沢さんも福岡君も技術に定評のあるダンサーですから、それぞれ素晴らしく、組んで踊るとさらに豪華になります。

米沢さんの踊りは、人間の身体ってここまで出来るんだ、こんなにコントロール出来るんだと教えてくれます。気負わないで披露する技術の高さが、ガムザッティの気位の高さとフィットしているように見えます。一方の福岡君は、米沢さんのピルエットを自然にサポート。そして自身の踊りは、後ろのカブリオール(なのかな?)で余裕を持って、空中でパタパタと足を明確に打ちつける。

 

長くなったので、続く。