雪で寒かった川苔山

土曜日に川苔山に行ってきました。

今回の目的は2つ。1.百尋の滝経由で川苔山に登り、古里駅に下りる、2.山頂でジェットボイルでお湯を沸かし、カップヌードルを食べる、です。

百尋の滝経由で川苔山に行くには、奥多摩駅から西東京バスで東日原方面行きのバスに乗り、川乗橋バス停まで行く必要があります。

この日は金曜日までの暖かな気候とは変わり、寒気が日本列島を覆っていたため、朝から曇りで肌寒い。3時間ごとの天気予報の15時頃は雪のマークもついていたし、登山者は少ないかなと思っていたら、予想に反して奥多摩駅には、結構な登山者の姿があります。そんなわけで、東日原方面行きのバスの列に並んでいると、川乗橋バス亭までの臨時便のバスが出ることに。川乗橋バス停までの臨時便は、全座席が埋まり、立ち客もいて、乗客は30名はゆうに超えていました。

奥多摩駅から川乗橋バス停までは15分くらいです。バスを降りると「川苔山登山口」という標識がありますが、登山道に行くまで舗装された林道を延々と歩きます。持って行った地図によるとバス停から登山道までの登りのルートタイムは1時間。1時間はかからなかったと思いますが、「まだ登山道に着かないの?」と思うくらいは歩きます。

林道の入り口はゲートがあり、一般の車は基本的に通れないようになっています。以前、奥多摩でキャニオニングをした時に、ワゴン車でここのゲートをくぐった覚えがあります。7月の暑い日で、林道を歩いている登山者の姿を車内から目にし、アスファルトの照り返しで暑そうだなと思ったものです。

土曜日は曇りの寒い日だったのでアスファルトの照り返しはないものの、坂道を歩き続けていると暑くなってきます。暑ーいと思っていると、林業関係者とわさび農家の人の車が追い抜いていきます。この林道の先にわさび田があるのでしょうか。おろしたわさびにかつお節をまぜ、醤油を垂らしたものをアツアツのご飯にのせると美味しい。本わさびを買って帰ろうかと、帰りのことを考えてうきうきしてきます。

やっと登山道に着くと、周囲には閉鎖中のバイオトイレ、稼働していない水力発電の小さな小屋、ベンチなどがあります。登山道に入る前に、ここでカッパの上衣だけを身につけます。というのは、林道を歩いている途中から、あられが降ってきたからです。

天気予報では15時に雪表示だったので、急いで行動すれば雪に降られないで済むかも、という期待は破れ去りました・・・。まだ9時過ぎなのに、もう雪が降っています。進むか、撤退するか迷いましたが、そのうち止むかもと楽観的に考え、雨具を身に着け進むことに。結果から言うと、粉雪だったり、ちょっと強くなったり、あられだったりしましたが、登山中ほぼずっと雪が降っていました。

百尋の滝までは、林道や沢沿いの登山道を歩き続けます。地図のルートタイムでは、登山道の始めから百尋の滝までは50分。地図のルートタイムは多めに見積もっているようで、バス停から休憩込みで1時間30分から35分くらいで着きました。

百尋の滝に到着するまでは、大小合わせて木製の橋を14くらい渡ります。丸太だけで出来ているもの、上面は木製で下部は金属で作っているもの、渓流の上にかかっているもの、登山道と登山道を繋ぐためのもの、いろいろですが、作りはしっかりしていて安心して渡れます。といっても渡渉もあり、岩を越えたりするので、ハイキング気分で来るところではないと思います。

肝心の百尋の滝は、スーッと上から下に流れています。ドドーッと迫力がある感じの滝ではありませんが、きれいな滝です。滝も見たし、雪の心配もあるしで、ここで引き返そうかなとも思いました。が、なぜか百尋の滝のそばでは雪が止んでおり、きっともう雪は降らないんだ!とまたも楽観視し、川苔山を目指すことに。

しばらく行くと分岐があり、足毛岩の肩経由で山頂を目指す登山道、足毛岩の肩を経由しない登山道に分かれます。標識には足毛岩の肩経由が山頂まで1.9km、経由しない方が1.2kmとあります。ですが、持っている地図のルートタイムは、足毛岩の肩経由は70分、経由しない方は65分となっています。距離が700m違うのに、時間は5分の違いということは、単純に考えて、経由しない方がキツい行程なのでは?結局、早く着く(はず)の経由しない方のルートを取ることにしました。

予想をしていましたが、やはり足毛岩の肩を経由しないルートはキツかった・・・。皆さん足毛岩の肩経由で登りたいらしく、振り返っても経由しない方のルートを登ってくる人は見えません。前を歩いていた健脚の女性の姿も見えなくなり、雪の中、一人ぽっちで登り続けます。

歩いては休み、歩いては休みを繰り返して、船井戸方面からの登山道と合流する平坦な地点にやっとたどり着きました。昼食の準備をしているグループがいて、やっと人がいるところまでやって来れました。ここから山頂まではなだらかな道を登って、すぐ。

人の姿をみて安心したのと、山頂が近いことの喜びで、一気に足取りが軽くなり、山頂へ。川乗橋バス停から3時間10分かけて、山頂に到着しました。

山頂も、雪がチラホラ降っていました。そして、風が冷たい。日本列島全体に寒気が来ているとはいえ、3月の奥多摩の山はまだまだ春にはほど遠いです。

さぁ、ジェットボイルでお湯を沸かすぞと思いましたが、ジェットボイルを使うのはこの日が初めてです。事前に説明書を読み、セッティングをしたことがありますが、実際使うのは初めて。慣れていないので、持って行った説明書を見ながらセッティングをしますが、素手でセッティングをしていると、指先がかじかんでうまく扱えません。ガスカートリッジの表面はすっかり冷えてて、持つと指先の体温が奪われます。もたもたとセッティングをしていると、どんどん身体は冷えてきます。気は急くのに、セッティングは遅々として進みません。

そして、ジェットボイルでお湯を沸かすことを諦めました。何とかお湯を沸かしたとしても、冷たい風が吹く中、カップラーメンが出来上がる3分間待つのは、正直きつい。それならもうサクッとパンを食べて、冷たい風が吹きつけ、雪も降る山頂はさっさと後にした方が良いのではないかという気持ちになりました。

というわけで古里駅を目指して下山するぞと、山頂を後にしました。山頂にいた時間は、10分にも満たない。

下山路は、やたらと急坂でした。以前通ったときは、こんな感じじゃなかった気がするものの、自分を納得させて下っていきました。急坂を下っていった先で、崩落のため通行止めになっている登山道に出合い、変だなと思っていると足毛岩の肩方面を示す道標がありました。

下りる方向、間違えました・・・。川苔山山頂に到着する前、舟井戸方面からの登山道と合流する地点で「古里まで6km」という道標を見て、こっちに下りるんだなと思ったはずなんですが・・・。慌てて行動すると、ろくなことになりません。

山頂にもう一度戻ることも考えましたが、足毛岩の肩経由のルートも行っておきたいので、そのまま下山することにしました。足毛岩の肩経由ルートは、山頂近くはけっこうきつい急坂が続きますが、それ以外はトラバース気味の道が続き、多少のアップダウンはあるもののきつい登りがひたすら続くルートではありませんでした。途中、外国人女性2人組や、東南アジア系外国人グループに遭遇しましたが、意外に国際色豊かな川苔山です。

道なりに下り、足毛岩の肩経由と経由しないルートの分岐に到着し、百尋の滝を横目で見て、そのまま川乗橋バス停へ。

こんな感じで川苔山登山は終了しましたが、それにしても川苔山は寒かったです。そしてスギ花粉が舞っていて、くしゃみ、鼻水、咳に悩まされました。3月下旬でも奥多摩の山は花粉症もちには鬼門です。今回の山行の目的については、百尋の滝を見ることは達成したものの、古里駅には下りられず、ジェットボイルでのお湯沸かしも出来ずで、なんだか不完全燃焼です。ジェットボイルの練習は、高尾山ですることにしよう。