那須塩原ハイキング

5月上旬に那須塩原にハイキングに行ってきたので、メモ。総勢80名くらいで2台のバスに分乗して行ってきました。

行き先は那須塩原の富士山です。読み方は「ふじさん」ではなく、「ふじやま」。本家の富士山と区別するため、新湯富士と言われることが多いようです。

今回は、塩原自然研究路の大沼までの周遊コースです。

ハイキングを始める前に、まずは準備。登山口に行く前に公衆トイレに寄りましたが、ここのそばには噴火跡があります。石碑が設置してあり、「双子火山式に属する新湯爆裂噴火跡」と書かれています。噴火口には近づけないようになっていますが、下からは、岩肌から白い噴煙が上がっているのが見えます。噴火跡はそんなに大きくないようですが、ここら辺は塩原温泉郷の一地域で、噴煙があがっているのは温泉郷のすぐそば。この噴火跡に来る途中にも噴煙が上がっているところがありましたが、あたりには硫黄のにおいが漂っています。

さてハイキングの開始。最初のスポットは新湯温泉神社です。神社は登山口からとても近くにあります。登山口の階段を登った先にある、祠だけの小さな神社です。石の階段は段数は多くありませんが、一段一段の奥行きが短く、急いで昇り降りするとツルっとしそうです。

ちゃちゃっと神社に参拝をしたら、すぐにハイキングコースを先に進みます。なにしろ、各班8~9名ほどの総勢80名の団体ですから、次々に移動しないと後ろの班がつまってしまうのです。

温泉神社からすぐそばに、噴煙展望所があります。出発前に下から見上げた噴煙あがる噴火跡が、今度は上から見下ろすことができます。噴火跡は荒涼とした岩肌を見せていますが、その下の距離にして1kmもないんじゃないかと思われるところには温泉郷の建物群が見えます。そして温泉郷の満開の桜も。荒涼とした噴火跡と穏やかな人の暮らしが近接していて、何だか不思議なところです。噴火跡からホテル、旅館までの実際の距離はどの位なんでしょうね。

山頂までは神社の登山口から1時間くらいでした。道は整備されていますが、倒木があったり、少々急な所もあったりで、小さな子供がいるファミリーでも楽しめるハイキングコースです。ハイキングコースの途中の、ポコッと高くなっているところが山頂で、辺りに木が生えているので眺めは良くないです。苔むす木と石ででこぼこした山頂は狭く、お弁当を広げるのに適した場所ではありません。というわけで、記念写真を撮ったら、程なくして次の班に山頂を譲ります。

ちなみに新湯富士は標高1180m。日光国立公園の標識は1180mと書いてありましたが、他のハイキングマップや地図をみると1184mと書いてあります。4mの違いは何でしょうね。

次のスポットは大沼です。新湯富士山頂から下り、車道を横断した先にある沼です。山頂から大沼に行くまでの下りの方が、登りより急なところが多いです。といってもファミリー向きのハイキングコースなので、手を使って下らなければならないようなところはありません。前日に丹沢の大室山に登ったため、この日は筋肉痛がひどくて、個人的に下りは地味につらかった・・・。

新湯富士の下りが終わり、車道を横断すると、大沼公園駐車場に到着します。駐車場にはトイレ(いわゆる山のトイレではなく、普通のトイレです。)、雨風をしのげるちょっとした休憩所があります。大沼だけに行きたいなら何も新湯富士経由じゃなくとも、車道を通って駐車場まで来れます。

大沼の前が明るく平らな広場になっていて、ここで昼食休憩です。大島桜かと思われる白くて大きな桜がまだ咲いていました。ここら辺は標高が高いから、まだ咲いているのかも。

広場には、木のテーブルやベンチ、ベンチが設置されたあずま屋風の建物があります。あずま屋は沼に面していますが、目の前の沼は背の高いヨシが茂っていて、きれいな風景を楽しめるという感じではありません。あずま屋で昼食を取っていると、目の前はヨシが広がるばかりで、何となく寂しい。そして、沼からヨシの間を通って渡ってくる風が冷たい。というわけで、余程暑い日でない限り、大沼に面したあずま屋で休憩を取ることはおすすめできません。

この大沼の辺りは湿原になっていて、木道が敷設されています。湿原というと、湿原の植物がみられるのかと期待しますが、あまり種類はないようです。尾瀬のように花がたくさんの湿原ではなく、雰囲気的には戦場ヶ原のような寂しい感じの湿原です。この寂しさは、花が咲いていないからというだけでなく、ヨシばかり生えていることが原因のような気がします。

広場の脇の方にミズバショウが生えていましたが、白い苞はついておらず緑の葉っぱだけ。5月上旬のこの頃にはもう終わっちゃったんでしょうか。そして大沼ではない近くの湿原にはワタスゲが咲くらしいのですが、まだ花期ではないので当然見られません。今時分の7月からワタスゲのシーズンになりますかね。ミズバショウワタスゲも見られませんでしたが、広場で桜とフデリンドウミツバツツジが見られたので良しとしましょう。

木道は、広場からぐるっと大沼の周りを周遊するように設けられています。静かな湿原の木道を歩き、振り返ると午前中に登った新湯富士が見えます。大沼から見る新湯富士は山の形が三角に見えます。三角形に見える山だから富士山と言っているのかもしれません。国立公園の標識には大沼の標高は980mとありますが、遠目からにはここから標高差200mしかない山には見えず、もっと高く見えます。この静かさも悪くありません。

帰路は新湯富士の山頂を踏まず、山頂を巻くように作られた平坦な道を進みます。ヨシ沼の周りに設けられた木道を歩いて沼の周囲を半周し、木道が終わったらほぼ平坦な登山道。ほぼ平坦な道なのですいすい進めます、道の脇から水が湧き出ているところもありますが。出発時の温泉神社に到着したら、那須塩原ハイキングは終了です。

新湯富士ハイキングは、行動中、我々一行の他のハイカーは数組ぐらいでした。陽気の良い日曜日だったのですが、落ち着いた場所でした。ファミリー向け、のんびりハイクをしたい人にお勧めです。

なお、温泉郷を歩いていて気になった共同浴場。町の道端に、共同浴場を見かけました。温泉郷内に何か所かあるらしいですが、草津共同浴場のようなもののようです。洗い場はなく、湯船のみ。入浴料は300円。団体で来ているのじゃなかったら、共同浴場(混浴もあるらしい・・・)に入ってみたかったのですね。