オーレン小屋

6月の下旬に八ヶ岳ツアーでオーレン小屋に泊ったときのことを、メモ。といってもだいぶ前のことなのでうろ覚え・・・。

天候不良のため行程変更で、急遽、宿泊することになったオーレン小屋。赤岩ノ頭から硫黄岳には行かず、てくてく、黙々と登山道を下っていきます、雨の中、オーレン小屋が見えたときは、ホッとしました。

到着したのは朝の9時半ごろだったでしょうか。前日の宿泊者が朝に出発して、部屋の掃除等々が終わり、小屋のスタッフの方々は一仕事終わった、ちょっと休憩でもしましょうかという頃合いだったと思います。

そこへ現れたのは、ずぶ濡れの登山ツアー一行。迎え入れてもらうにも大人数なため準備が必要で、しばしの時間がかかりました。もしかして泊めてもらえない?そんなことはないよね?と若干不安になりながら、小屋の外で待ちます。準備が出来ました!とのことで、着用していた雨具等を脱いで、大人数でお邪魔します。

まずは部屋に入る前に、ずぶ濡れの雨具やザックをどうにかしなくては。オーレン小屋には乾燥室がありません。玄関を入ると、薪ストーブのあるホールの脇に針金がめぐらされていて、床にビニールシートを敷き、乾燥室の代わりになっていました。ツアー一行がハンガーにかけた雨具等からは、ポタポタとしずくが落ち、ビニールシートにはすぐに水たまりができました。

薪ストーブに火をいれると、ホールの温度も上がって、徐々に雨具等も乾いてきます。宿泊者もストーブの周りで温まれて、一石二鳥です。

火を落としていた薪ストーブは、急な訪問者のために、火を入れることに。まず割りばしで火をつけます。割りばしは火がつきやすいとのことで、割りばしについた火から薪へ。ストーブの上にはやかんが乗っていましたが、夕刻には大きなお鍋も乗っていました。翌日の仕込みでしょうか?

ホールや談話室、食堂の壁には写真パネルが飾られています。オコジョが可愛い。ちなみに受付では、オコジョが描かれた山小屋バッジも売っています。ついでに言うと、可愛いのか判断に迷うけれど、ネタにはなるかもしれないフェルト(?)で作られたオコジョキーホルダー、カモシカキーホルダーも売っていました。時間帯によっては手作りケーキも販売していて、この日は寒天入りのチョコレートチーズケーキが売られていました。お味は甘さ控えめな、さっぱりしたチョコレートチーズケーキ。

飛び込みでの宿泊だったツアー一行ですが、他の宿泊予定者が少なかったためか、個室に入れてもらえました。入ったのは4人部屋。畳敷きの部屋でした。1階部分がない2階部分だけの1人用ベッドがあり、そこに1名。ベッドの下の1階部分のスペースも使って畳の上に三枚布団を敷き、そこに3名。一人につき一組の布団セットと二枚の毛布があり、きつきつではなく、ゆったり寝られます。

トイレは水洗で清潔、お風呂もあります。湯船は檜を使っていて、芳香がします。雨の中を歩き続けて疲れた身体を湯船にゆだねると、生き返る心地がします。この日は当初は黒百合ヒュッテに宿泊の予定で、お風呂には入れないと覚悟していましたが、思いもよらずオーレン小屋に泊ることになり、お風呂に入れて極楽、極楽。

夕食は、オーレン小屋といえば「桜鍋」。この日、雨の中、歩荷さんが食材を運んできてくれたそうです。一人に一つの鉄鍋。味付けは濃い目の割り下で、すき焼きの肉が牛肉ではなく馬肉になったという感じです。馬肉は煮込み過ぎると固くなるので、色が変わったらすぐに食べるのが良いと教わります。あっつあつの桜鍋。はふはふと食べます。味濃いけど、美味しいです。天ぷらやひじきの煮物などの副菜、ついでに紫いも餡の水まんじゅうがデザートも出ました。

実はオーレン小屋に泊ることになった時に、小屋の管理人のおじさんからツアー一行の女性の人数を聞かれました。何のために聞かれたか分からず、女性陣は「もしかしたら女性にだけ夕飯にデザートが出るのかな?」とわくわくしていました。が、夕飯の席では、女性・男性関係なく、すべての人のお皿にデザートが載っています。

はて?デザートじゃないとしたら、何のために女性の人数を聞かれたのだろう?「きっと、歩荷さんが食材持ってきてくれたから、当初は女性分だけしかなかったデザートが男性にも振舞われたんだよ。」と無理に納得する女性陣。

その理由は、翌朝判明しました。前日の強い雨はすっかりやみ、曇天ではあるものの登山するには充分な天気。この日は前日消化できなかった天狗岳に登り、にゅうにも登って、白駒池入り口まで下山するという行程をこなせそうです。さぁ、出発するぞという段になって、小屋の方から女性陣にだけプレゼントがあるといいます。

これです!これが前日、女性陣の人数を聞いていた理由だったのです。何をいただいたのかは敢えて書きませんが、旅の安全を祈るもので、前々からずっと女性にだけプレゼントしているといいます。

思わぬプレゼントをいただき、楽しく嬉しい気持ちになったところで、今度こそ本当に出発です。ありがとう、ありがとうオーレン小屋(のスタッフの方々)!プレゼントをもらったから持ち上げているのではなく、濡れそぼって意気の下がった登山者には、温かく受け入れてもらえて、とても嬉しかったのです。