氷の花を御岳山で見る

御岳山で氷の花を見たい。というわけで、氷の花を見に御岳山に行ってきました。

高尾山でシモバシラ氷の花を見たくて見つけることが出来ず、いつも残念な思いをしていました。御岳山では、高尾山のシモバシラとは違う植物に氷の花ができるという情報を耳にしました。そして御岳ビジターセンターで氷の花の場所を教えてもらえるとのこと。ケーブルカーで御岳山駅に到着したら、御岳ビジターセンターに直行です。

ビジターセンターの受付でおずおずと「あのぅ、氷の花を見たいのですが。」と切り出してみると、スタッフの方がイラストマップを使い、気持ちよく応対してくれました。

御岳山で氷の花を見られる場所はいくつかあり、それぞれの場所はビジターセンターお手製のイラストマップに描かれています。最もビジターセンターに近いのは、馬場家御師住宅そばのスポットです。スタッフの方がそこまで連れて行ってくれるとのこと。そんなわけでスタッフの方に連れられ、かわいいイラストのドキュメントレポート「冬に咲く氷の花 氷の花 見にいこMap」を持って出発です。

ビジターセンターから馬場家御師住宅は、すぐ近く。馬場家御師住宅は、茅葺き屋根の東京都有形文化財です。11月に紅葉狩りに来た時は、茅葺き屋根はほぼ完成という感じでしたが、住宅の周りに木の枠組みが築かれていました。今回は木の枠組みもなく、住宅の外観がよく見えます。ビジターセンターの方の話では、今は内部の工事をしているそう。茅葺き屋根というと、こげ茶色の渋い外観を思い浮かべますが、まだ出来て間もない屋根は麦色。あっという間にこげ茶色に変色してしまうそうですが、そう言えば、11月に見た時より濃い麦色になっているような気がします。

馬場家御師住宅そばの氷の花スポットは、12月上旬に降った雪がチラホラと残っていました。残雪があるだけのように見え、どこに氷の花があるのか分かりません。氷の花、氷の花と目を皿のようにして探していると、「ここに氷の花があります。」とビジターセンターの方の声が。

見てみると、枯れかかった茎の地面近く、巻き付くように白いものが存在しています。パッと見は、枯れた茎にティッシュが巻き付いているか、雪が残っているかのよう。今まで一度も氷の花を生で見たことがなかったので、スタッフの方に教わらなかったら見過ごしてしまったと思います。氷の花を見たことがない人は、知っている人と一緒に行くのがお勧めですね。

スタッフの方に氷の花を教わったら、次々と自分でも見つけられるようになりました。知らないときは見過ごしてしまうものも、一度分かるとアンテナがたつようです。

自分で氷の花を見つけられるようになったら、スタッフの方と別れ、次の氷の花スポットへ。次は御嶽神社の階段を昇って、長尾平に向かうルートの途中にあります。そこは御嶽神社の階段のすぐ近くの土手。陽が当たりにくい場所で、残雪も少々あり。先ほどの馬場家御師住宅そばのスポットより、多くの氷の花がありました。

まだまだ氷の花スポットはあります。この日最後に寄る氷の花スポットは、神苑の森のルート沿いです。ビジターセンタースタッフの方の話では、ここは多く氷の花が見られるスポットだそう。

神苑の森は御嶽神社のすぐ下を通る裏ルートです。ここは一方通行で、入口は天狗の腰掛け杉の近く、奥の院・鍋割山との分岐のところ。ルートは御嶽神社下の公衆トイレそばに通じています。ビジターセンターでもらえる御岳山イラストマップには小さく「一方通行」と書いてありますが、入口にも出口にも「一方通行」の表示がなかったような。一方通行と知らない人は、出口から入って行ってしまうかもしれません。ちなみに神苑の森は山道です。

神苑の森入口に着いたものの、行ったことのない御嶽神社奥の院が気になってしまい、つい寄ってしまいました。分岐から奥の院までは途中鎖場ありの結構な山道で、登山してるなーという気分になれました。が、これで1時間ロスです。神苑の森に入っていったのは11時を回っていました。

11時過ぎなので氷の花は溶けてしまっているかもしれない、との思いを抱えて道を急ぎます。キョロキョロと氷の花を探しますが、あまりキョロキョロするのも足元が危ない。ビジターセンターで聞いたところによると、神苑の森の氷の花スポットは出口に近い部分とのこと。

すると、日当たりが悪く、ひんやりとする場所にさしかかりました。2分もあれば出口まで着くような場所です。そんな場所で枯れかかった茎の根本付近に白いかたまりが見えました。

(あ、あれは!)と思って近づくと、お目当ての氷の花でした。さっきの御嶽神社近くの土手より、もっと多くの氷の花があります。大きいものや、出来始めの小さいものまで、大きさも形も色々です。氷の花を知らない人は踏んでしまいそうな、道のすぐ脇にまであります。くるりんとしていたり、ビヨーンとしていたり、よくもまあ、色々な形状になるものだと見飽きません。ちなみに神苑の森コースは20分くらいの行程です。

この後は日の出山に登ってから、御岳集落まで戻ってきて、表参道を下山しました。日の出山へのルートは、植林された杉林から流れてくる冷気で寒い。この寒さなら氷の花があってもおかしくなさそうですが、このルート近辺には一切なし。御岳山と近いと言っても、植生も環境も違うようです。

今回の目的、「御岳山で氷の花を見る」は無事完了しました。といっても、ビジターセンターの方のお世話無くしては見られなかったと思います。ビジターセンターで無料でもらえる季節の花シートは使い勝手がいいし、スタッフの方は親切だし、トイレはキレイ。入口近くに越冬しているテントウ虫の巣箱(?)があったのも、季節感を感じさせて面白い。御岳の自然情報を得るには、御岳ビジターセンターに寄るべし、と心に刻んだ1日でした。