嵩山でカラビナかけ替え練習

登山ツアーで群馬の嵩山に行ってきました。

今回は継続した登山ツアーの第2回目。ヘルメットを被り、カラビナ、スリングを使って岩場を登る練習です。第1回目は都合により参加できなかったので、今回からの参加になりましたが、いやあ、いい練習になりました。

嵩山は道の駅たけやまのそばに登山口があり、当日のルートは、表登山道~小天狗~天狗の広場~中天狗~大天狗を登り、東登山道を下りていくというもの。嵩山は気持ちのよいハイキングコースになっており、近所の保育園生がちょっとしたお出かけでお弁当を持って遊びに来るようなところのようです(当日も保育園生の集団が楽しくハイキングをしていました)。ちょうど紅葉も良い時期でした。

一応岩場の練習ということで身構えて登山を開始したのですが、大天狗を登るちょっと前の御城の平まではごくごく普通のハイキングコースでした。最初に登る峰、小天狗はちょっとした岩場ですが、特に鎖が設置されているわけでもなく、普通に登れます。登ると視界が開けて気持ちいい。

中天狗はあっという間に通り過ぎ、どこで岩場の訓練をするのかと思っていると、あずまやのある開けた場所に着きました。ここで登山講師が木と木の間にロープを張り、平地でのカラビナ・スリングを使った歩行訓練を開始。細めのスリングの両端にカラビナをつけ、太めのスリングを身体に巻き付けて、張られたロープに沿って順番にカラビナのかけ替えを練習していきます。いい歳をした大人がロープに何かをつけて歩き続けているさまは、何も知らない人がはたから見ると、「あの人たち何?」と奇異に映るだろうな。平地でのかけ替え訓練なので今一つ緊張感がない。右手で片方のカラビナをかけ替え、左手でもう片方のカラビナをかけ替えようとすると、「実際に岩場でカラビナをかけ替えるときは片手は岩をつかみ、もう片方の手だけでカラビナをかけ替えることになります。両方の手でかけ替えをしないように。」と注意されました。

平地でのかけ替え訓練を何往復かすると、次は大天狗でのかけ替え訓練です。参加者が昼食をとっている間に、登山講師が単身、岩場にロープを張りに行きました。先生って大変だな。ロープを張り終えた先生が戻ってきて、みんなで大天狗に向かいました。

大天狗を前にして、「ちょっと待って。本当にここで練習するの?」というのが正直な感想です。一体何メートルあるんだ。先生は「第1回は登りのかけ替え訓練だけでしたが、今回は下りも行います。」とのこと。

次々と参加者が登っていって、自分の番です。岩をつかんで、いい足場を見つけて登り、2~3mごとぐらいに作られたロープの結び目の部分でカラビナをかけ替えます。「片手は岩をつかみ、もう片方の手でカラビナをかけ替える」と心の中で唱えながら、ひたすら集中。足場がしっかりしていて滑らない岩なので登りやすいと言われましたが、確かに足場はしっかりしていて岩は滑りませんでした。ですが、足をかけたい部分に松の葉が積もっていて、それが滑りを誘発します。集中し続けて、何とか岩場を登り終えました。なお、大天狗にはもともと鎖がつけられていて、それを使って登ることが出来るようです。といっても、けっこう長い鎖場なので自分一人だったら鎖頼りに登りはしないかな。

登り終えると標高が書かれた標識が立っていました。標高789m。さらに鎖がつけられた数メートルの岩があり、その上に祠がありました。この山はピークには祠を立てることにしているのだろうか。小天狗でもそうでしたが、この嵩山は標高のわりに展望がききます。周囲に視界を遮るものがなく、360°の展望です。雪に染まった谷川岳が遠くに見える。

全員登り終わったら、今度は下りです。下りは登りより足場を見つけにくくて大変。足場を見つけようとロープの右に行ったり、左に行ったりして下っていたので、ロープとスリングが絡まってしまい、カラビナをかけ替える段になり、かけ替えようとしてもかけ替えられない。あせってカラビナを二つともロープから外してしまい、ここが足場の悪い所だったらかなり危ないことになっていたかもしれません。つまらないミスですが、足場のしっかりした岩場で経験しておいて良かった。そして、登りの時は感じなかったロープ結び目配置の巧みさが、下りになると良くわかりました。ちょうどいい足場に立った時に、ちょうどかけ替えをしやすい位置に結び目がきていました。先生ってやっぱりすごい。

大天狗を下り終えたら、下山です。嵩山はコース途中に奇岩があるようですが、今回は奇岩巡りはなし。下山途中に大きな岩が見え、岩の壁面に仏像が一体安置されていました。さらに行くと、同じ岩に穴が穿たれた、弥勒穴(穴の中に弥勒菩薩像が置かれているらしい)が見えました。鎖が張ってあって弥勒穴まで行けるようになっているようです。岩場好きな人は行ってみるのもいいかも(わたしは行こうと思いませんが)。

今回のツアーはカラビナかけ替えの良い練習になりました。翌日腕や背中が筋肉痛になったので、けっこう腕の力を使って登っていたようです。ふう、次回の第3回目も頑張ろう。

くるみ雑記

11/4もくるみ割り人形(@新国立劇場、木村・渡邊組)を観ました。

複数回観ると、前回不明だった部分も少し分かったので、メモとして書いておきます。

今回は事前に公演リーフレットのあらすじを読んでおいたので、人物関係が分かってきました。

クララにはルイーズという年長の姉がいて、パーティではその姉目当ての男性が出てきます。それが、詩人、青年、老人。老人はキルトを着ている人で、詩人と青年に比べて、まったくルイーズに相手にされていません。

人形の代わりにルイーズ、詩人、青年、老人が、ドロッセルマイヤーの演出で子供たちのために余興として仮面をつけて踊るという筋のようです。青年がまずソロで踊り、その次にルイーズと詩人が組んで踊る。ルイーズを巡る恋の戦いは、青年より詩人の方に分があるのかな。最後がキルトを着た老人の踊り。この日の老人役は福田君でしたが、踊りがキレキレ。あんなキレキレの踊りをする老人は、現実にはいない、たぶん。オケもこの部分は楽しんで演奏しているようで、金管がノリノリで吹いてました。

ねずみとの戦いは今回はコントではありませんでした。10/28にコント風に見えてしまったのは、コメディエンヌ小野さんと大阪人奥村君のなせるわざだったのか。砲弾をねずみの王様に持っていかれて、木村クララは本当に困っている感じ。ギャグ要素無し。

続く木村さんと渡邊君のパドドゥは、二人で何度もリハーサルを重ねたんだろうなという出来でした。若いダンサー同士なので、難しい振付でもっとぎこちないかと勝手に想像していましたが、杞憂で終わりました。

2幕の個々の踊りははしょりますが、本島さんのアラビアの踊りを観ていたら、ファスターの本島さんの踊りをまた観たくなりました。2020年に東京オリンピックがあるし、それまでにビントレーのファスターを再演してくれないものか。

花のワルツ。踊りはいいとして、吊られている花は何なのかやはり分からず。いちごや桜の一種のバラ科の花っぽくみえましたが、あんな色無いし。架空の世界の架空の花ということでOK?

最後のこんぺい糖の精と王子のパドドゥ。キラキラした二人ですね。華があるというのは、木村さんのようなダンサーのことを指すのかとつくづく思います。木村さんのソロは、ここでこの音に合わせる、タメをつくってこの音に合わせる、というように合わせてほしい音にキッチリ最後に合わせていく踊り。渡邊君は、舞台上で相手役ダンサーが踊っている姿を見つめる様が、温かく優しい。パドドゥでは女性ダンサーを引き立てる役に徹する一方、ソロでは爽やかできれいな踊り。良いダンサーです。見た目も踊りもバランスの良いカップルで、今後も二人を見続けていきたい。が、見ていて、もしかしたら木村さんよりもう少し背が低いダンサーの方が、渡邊君にはリフトしやすいのかもしれないとも思いました。二人とも将来的にはプリンシパルになるはずのダンサーだと思われるので、出来れば二人のペアで見続けたいものですが。

くもとり雑記

たいしたことではないけれど、雲取山登山で書き洩らしたことをメモ。

鴨沢停留所には、雨風をよけて座ってバス待ち出来るスペースあり。近くに軽食をとれる飲食店もあり。

留浦停留所は木製のベンチはあるけれど、雨風をよけられるような作りにはなっていません。日差しを遮るものが無いので、晴天の日は暑い!近くのきれいな公衆トイレは、鴨沢停留所にあるトイレより大きく使いやすいです。

公衆トイレの近くには、浮橋に降りる階段があります。浮橋は、大きなポリ容器のようなものの上に金属の板(?)が載っていて、同様のものがいくつも連結されています。水の上に浮いているので乗ると若干沈んだり、歩くと揺れることもあり、面白い。一つの板の上は10人以上乗らないように注意書きがありました。「釣り禁止」の表示もありましたが、近所の人が構わず釣りしてましたね。何が釣れるんだろう。

なお、留浦停留所の近くに飲食店はありません。鴨沢停留所から留浦停留所まで道路をまっすぐ歩いて10分もかからないので、バスの時間に余裕があれば、鴨沢近くの飲食店で時間をつぶすのも良いかも。

七ツ石山。疲れるので登るのをお勧めしませんが、縦走路がずっと先まで見えるのは楽しい。

雲取山荘。泊まった部屋の中でドコモ、auは電波が届いてました。通話はしませんでしたが、メールの受信やネットの検索が普通にできました。

山荘入口入ってすぐの売店前にストーブが設置されていて、周りに座れるスペースあり。が、一度座った人はなかなか席を立ちません。売店のペットボトル、ポカリスエットは400円でした。

動物。1日目も2日目も糞はあれども、鳥以外の動物との遭遇は無し。三峯ルートをとった相部屋の人たち2組は鹿を見たそう。成獣と小鹿、成獣2頭を見たというので、三峯ルートは鹿が結構いるのかも。1日目に雲取山頂から雲取山荘に向かう途中、鹿の鳴き声は遠くに聞こえましたが、姿は見えず。

運慶展(@東京国立博物館)

創エネ・あかりパークの一環で21時まで開館の東京国立博物館。というわけで、東京国立博物館の運慶展を見に行きました。

類まれな写実性と迫力のある造形で、教科書でみたこども心に強烈な印象を残した運慶の史上最大の作品展というなら、見に行かないわけにはいきません。

行った感想を一言でいうと、見ごたえがありました。難しいことは分かりませんが、仏像をあんなに間近にみる機会はなかなかないし、展示の仕方が工夫されているので特別感が増しています。

ライティングがとにかく効果的でした。仏像に陰影がついて、見る角度によって表情が変わる。四天王の立ち姿と炎を噴き上げる光背の影が展示室の壁に映り、かっこいい。運慶展で展示されているものは、ふだんはお寺で信仰の対象として安置されているもの。当然、お寺では美的な効果を最大限に高めるような置かれ方はされていません。普段とは違う仏像との接し方ができるのも、展覧会の魅力なのかも。

玉眼が使われている像と、使われていない像が同時に展示されていると、玉眼の効果がよく分かります。鎌倉時代の仏像らしく躍動感がある像でも、玉眼が使われていないと作り物っぽさを感じます。玉眼が使われていると、像に魂が宿ったようで、生き生きと表情豊かになる。無著菩薩立像なんて、光の加減で目が潤んでいるように見え、顔や体つきの造形の見事さも併せてリアルさがすごい。

聖観音菩薩立像は明治時代(だったかな)の彩色修復で、彩色が枯れた味わいになっている他の仏像と異なり、色鮮やか。もともとこんな風に鮮やかな色合いだったのかと思うと、他の仏像の本来の彩色もどのようなものだったのか見てみたくなります。

龍 燈鬼立像は、頭の上に乗っている燈籠を落ちないように上目づかいでバランスをとっているよう。頭に落とせないモノを乗せてるときはこんな表情になるよね、とその表情に共感してしまいます。

四天王像を見ては、「このポーズ格好良い!」と、同じポーズを取ってしまいたくなります。(取らないけど)

高山寺所蔵の「子犬」と「善妙神立像」、これは以前見たことがある気がします。一昨年の鳥獣戯画展にも出品されていなかった?愛らしい子犬の像と、小さいけれど美しく作られた善妙神立像が気に入って長く見入っていたわけですが、運慶の流れを汲む像だったのか。

運慶展は夕方に行って待ち時間なく入場できても、会場内は結構混雑していました。それでもこれだけ運慶の作品やその系譜の作品を一度に見られるのは、満足度高し。

さらに11/4(って明日か)までは夜間開館中に、運慶展で見られる作品群が本館壁面にプロジェクションマッピングで映し出されています。無言の圧力で迫る阿弥陀如来坐像や凛々しい制多伽童子などの、どアップが見られるチャンスです。

雲取山②

雲取山荘に着いたら宿泊手続きを済ませ、記念バッジをもらいました。山が描かれていて「標高年記念Y2017×2017M」と記されています。

部屋は2階の相部屋。三峯ルートから来た2人組の女性が2組と一緒で、総勢5名の部屋です。部屋には豆炭で温められたこたつが一つ。到着間もないころは身体が温まっているのでこたつは不要ですが、徐々に体が冷えてくるに伴い部屋の寒さが身に染みて、こたつの必要性を痛感します。枕が12個置いてあったので、混んでいるときは定員12人の部屋になるようです。

トイレ、流しは外にありました。流しの蛇口は押しても水が出ず、一か所水が流れ続けている管からだけ水を使えるようです。トイレは水洗で、嫌な臭いはありませんでした。乾燥室も外の別棟にあり、石油ストーブがついていて部屋より暖かく、照明も蛍光灯(だったと思う)で部屋より明るい。ベンチとテーブルもあるので、宿泊者がそこで自炊したり、コーヒーを入れたりしていました。

夕食は18時開始です。18時前から食堂前に列が出来てました。夕食の内容は、ご飯、お味噌汁、沢庵、ポテトサラダ、キャベツの千切り添えデミグラスソース味ハンバーグ、冷ややっこ、山菜の小鉢。山小屋なら普通なのかもしれません。山の鼻山荘や雨飾山荘の食事内容が良すぎたので、何だか寂しい内容に思えてしまいます。1泊2食付きの宿泊料金自体違うので、当然と言えば当然ですが。

お味噌汁の具は玉ねぎとワカメ。那須の大黒屋でもそうだったので、山小屋味噌汁の定番の具なのですかね。玉ねぎが苦手なのであまり嬉しくない・・・。なお、全員分を配膳し終わってから食堂に入れるので、既にセットされていたお味噌汁はほぼ冷めていました(ご飯はアツアツ)。

食事中に注意事項をいくつかアナウンスがあり、ご飯だけお替り可、食べ終わった食器は重ねてはいけない、こたつは朝まで温かさが持つので就寝時はこたつを活用すると暖かく眠れる、お湯は魔法瓶を持つ人だけ翌朝もらえる(魔法瓶以外は不可)、使ったふとんは元々布団が置いてあった場所にたたんで置いてはいけない(微妙にたたみ方が小屋のやり方と違うので、後で直すのが大変とのこと)、など。

夕食終わって外に出てみると、きれいな夜景が見えました。曇っていたので星空は望めないと思っていましたが、風が強く雲を吹き飛ばしてくれたようで、空に星もたくさん。夜景が見えると、そんなに高い山に登っているように思えないから不思議です。

翌朝の朝食は5時に始まります。6時頃日の出なので、まだ辺りは真っ暗。そして寒い。最低気温が氷点下というのは本当らしい。

朝食はご飯、玉ねぎとわかめのお味噌汁、生卵、焼き鮭、のり、ふりかけ、きゃらぶき(?)の佃煮など。昨日きいたお湯は、受付カウンターに何本もポットが置いてありました。ステンレスボトルにお湯を注いでいたら、出発する人、山頂でご来光を見るらしき軽装の人が次々と山荘を出ていきました。

山荘の部屋は東に向いていて、夜が明けていく薄明かりが見えます。特に急ぐ行程ではないので部屋で日の出を見ていてもよかったのですが、相部屋の人たちが全員出発してしまったので、一人部屋に居座っているのも気が引ける。結局6時には出発することにしました。

なぜ急ぐ必要がなかったかというと、バスの発車時間が微妙だったためです。鴨沢発のバスで下山時間に合いそうな発車時刻は10:15か、次の13:53.。下山には休憩時間を含めて5時間は考えておきたい。そうすると10:15発に乗るには、日の出前から歩き始めないと間に合いそうもありません。乗るとしたら13:53発になります。さらに鴨沢バス停から2つもどった留浦バス停(鴨沢から徒歩8分位)から奥多摩駅行き11:47発というのがある。鴨沢発13:53に乗るか、鴨沢から歩いて留浦まで行き留浦発11:47のバスに乗るか。留浦発にしたとしても、逆算して6:30に出発して充分間に合いそう。

6時頃に山荘を出てちょうど日の出が見えました、となるといいのですが、そうは問屋がおろさない。明るさから日の出を迎えたのは分かるのですが、雲が出ていてお日様が見えません。山荘から雲取山山頂に向かう樹林帯の中で、やっと太陽が見えました。

山頂に着くと、寒くて風も強い。昨日は雲で見えなかった富士山がくっきり見えます。台風とその後の強風で雪が吹き飛ばされ、真っ青な空を背景に、夏山のような姿を見せる富士山。「冠雪した富士山が見たかったよね。」と言っている人がいましたが、同感です。

早々に山頂を後にして、凍てつく登山道を下ります。山荘から山頂までの樹林帯の中のルートはザクザクとした霜柱が出来た道でしたが、山頂から小雲取山に続く登山道は、道自体が白く凍っています。同じ山でもルートが違うと植生が違って、道の凍り方も違い、面白い。

今日は昨日巻いた小雲取山も登っておきました。ここでも富士山が良く見えます。というか、石尾根縦走路を歩いている間、ずっと富士山が見えて気分が良い。奥多摩小屋のテント場ではいくつかテントが建てられてました。ここは昨日も風が強かったし、今日も風強くて寒そうだし、風の音が煩くないのかな。

今日は昨日の轍は踏まない、昨日登ったところは山頂を除き、巻き道を通ると決意して、巻き道を選択し続けました。ブナ坂の辺りに来ると、これから山頂に向かう登山者とちらほら行き会います。さらに巻き道を歩いていると、どんどん登山者とすれ違います。やはり巻き道を選択する人の方が多いのか。巻き道はしっかりしていますが、落ち葉がたくさん。雨の日は落ち葉で滑りやすいかもしれません。

巻き道の途中で小さな滝がありました。事前にネットで登山道に小さな滝があると見ていたのですが、その滝のようです。前日歩いているときに、(滝があるってネットで見たけど、無いな。)と思ったものでしたが、ここにあったのか。登山道の先に行くには、滝を越えて多少のしぶきを覚悟しなければなりません。出来るだけ濡れないように急いで通り過ぎたら、服に少ししぶきがついただけで済みました。

巻き道が終わり樹林帯に入ると、さらに多くの登山者とすれ違います。昨日より確実に登山者が多そうな感じ。空は青いし、広葉樹の紅葉はきれいだし、絶好の登山日和。登り優先で道をあけ、急がずに下山したら、10:20過ぎに鴨沢バス停に到着しました。実は鴨沢バス停に下る舗装道路を歩いているときに、家々の間から10:15発のバスが走り去るのが見えていました。もう少し早く山荘を出発していたら、バスに間に合ったかもしれません。

鴨沢バス停にいてもしょうがないので、とりあえず留浦バス停まで歩いていくことに。留浦バス停にはベンチがあり、近くに清潔な公衆トイレがあります。すぐ近くに奥多摩湖にかかる浮橋もあります。浮橋を渡って遊んだり、留浦バス停に到着した雲取山下山者と話したりしていたら、1時間以上もあった待ち時間もあっという間に過ぎていきました。

バスに乗って、ある所にさしかかったら、スマホで何かを撮影している人がちらほらいました。見ると、ダムが放流しています。2日続けて放流しているなんて、台風の影響で水位が相当高くなっていたんでしょうか。

バスが奥多摩駅に着いて、これで雲取山登山は終了です。雲取山鴨沢ルートは整備されていて登りやすい道でしたが、なにしろ行程が長い。日帰りしている人もいますが(石尾根縦走路を歩いているときに、行きで同じバスに乗っていた人がすごい速さで下山していくのところをすれ違った)、普通の体力の人に日帰りはちょっと無理だと思った今回の雲取山登山でした。

 

雲取山①

西暦と標高が同じ山、雲取山。今年中に行っておきたい、雲取山荘では記念バッジをくれるというし。紅葉の時期の土日、祝日は既に雲取山荘では予約締切、というわけで平日休みをとって行ってきました。

コースは自宅からアクセスの良い鴨沢ルートにしました。登りは8:38JR奥多摩駅着、8:42奥多摩発、9:16鴨沢着の西東京バスに乗って行きます。

奥多摩駅に着いたら既にバスには登山者がたくさん乗り込んでいました。8:03奥多摩着の電車でやってきた人達らしい。8:38着の電車に乗ってきた登山者も乗車し、増便はせず、ぎゅうぎゅうのバスで発車です。

満員のバスはつらい・・・。そんななかバスの運転手さんが気の利いた人で「左手をご覧ください。ダムの放流を行っています。」と車内アナウンスをしてくれて、期せずしてダムの放流を車内から見ることが出来ました。放流は初めて見ましたが、滝のように垂直に流れ落ちる水流と水量がものすごい迫力。

バスは東京から山梨に入って、鴨沢に到着。バス停近くにはお手洗いやちょっとしたスペースがあり、登山開始前のお手洗いと準備運動をすませ、9:30に登山開始です。

民家のある舗装道路を行き、雑木林を抜け、右手に村営駐車場を見ながらさらに舗装道路を行き、登山道入口に到着。ネットで見た「雲取山YEAR」の丸い看板が掲げられています。看板デカッ!思っていた以上に看板は大きかったです。

ここから林道に入り、植林された針葉樹の林や紅葉した広葉樹を黙々と歩きます。平日だったせいか単独行の登山者が多い。鴨沢ルートはアップダウンはあまりなく、危ない所や難しい所もなく、道をひたすら登り続けるというイメージです。あまり変化に富んでいないので、退屈だと思う向きもあるかもしれませんが、樹林帯の中は静かで風が吹きつけたりもせず穏やかで、嫌いじゃないルートでした。なにしろ雲取山荘まで行程が長いので、変化がありすぎると体力を消耗してしまい、日の入りまでに山荘に到着できなくなってしまう恐れもあります。

樹林帯を抜けると周りの山の紅葉がきれいです。しばらく行くと、七ツ石小屋・七ツ石山に行くルートと巻き道ルートが現れます。当然、七ツ石小屋・七ツ石山ルートを選びます。

七ツ石小屋は自炊小屋。外から窓の中を覗くと、畳まれた布団が見えます。ベンチが置かれた眺望のきくスペースでは、単独行らしき登山者が何人も行動食を取りながら休憩していました。休憩したい誘惑にかられましたが、さっき休憩取ったばかりだし、先は長いから、と一通り七ツ石小屋の様子を眺めたら七ツ石山へと急ぎます。

七ツ石山への登りは、地味にきつい・・・。急登というほどではありません。七ツ石小屋まで、単独行同士で同じバスに乗っていた70前後ぐらいの女性とご一緒していたのですが、その方のペースがいつもの自分のペースより早くて、オーバーペースで歩き続けてきたツケが回ってきたようです。七ツ石小屋からは単独行に戻って自分のペースで歩き始めましたが、一度消耗した体力はなかなか回復しません。すっかり疲れ果てて七ツ石山に到着しました。山頂からは雲取山に続く石尾根縦走路が見えます。せっかく登ったのにこれを下るのか・・・。雲取山荘までの行程を考えたら、体力のある人以外は巻き道を使った方が良さそうです。

七ツ石山を下りて、縦走路の途中には、眺望のきく小高いところが何か所かありました。よせばいいのに一つ一つ登り下りしていたら、さらに疲れることに。雲取山荘までの行程を考えたら、体力のある人以外は(以下略)。

石尾根縦走路では冷たい風が吹いてきて、アウターと手袋を着装。空を見ると曇ってきて、雨は降りそうもないけれど、気温の低下が心配になってきます。急がなきゃ。カラマツかな、黄色く紅葉していてきれいです。

平坦な道を急ぎ、ヘリポート、奥多摩避難小屋を過ぎたら、小雲取山への登り道と巻き道が目前に。残りの体力を考えたら小雲取山に登ることは考えられず、巻き道を選びました。何となく心の中には敗北感が。

と、小雲取山から軽装でスイスイと下ってくる人たちが見えます。あの特徴のある髪型の人たちは、行きのバスで見かけた人!このときは走っていませんでしたが、トレランをやっている人たちかも。この時間に下ってきているということは、日帰りをするということ?

雲取山を巻いたら、雲取山山頂ルートと、雲取山荘へ行く巻き道ルートの標識がありました。山頂に行かずそのまま山荘に行こうか一瞬心が揺れ動きましたが、結局山頂に行くことに。山頂までの登りを休み休みして登った先は、山梨県側の雲取山の表示がありました。記念撮影をしている人もおらず、ひっそり。東京都側の山頂はもう少し先です。東京側では「雲取山西暦二千十七年記念」の木柱があり、どーんと「雲取山 東京都最高峰」の石柱が。風が強く寒くて曇り、そして15時少し前という時間帯でもあったため、山頂にいたのは数人程度でした。この2017年記念の木柱は、来年になったらなくなっているのだろうか。

やっと登頂できたという感慨よりも、早く山荘に行かないと、という思いが強く、写真を撮り終わったら山荘へと急ぎます。宿泊者が多く雲取山荘の廊下で寝ている人を見たことがある、と知人から聞いたことがあるので、変なところで寝ることになりたくない。

山頂から三峯ルートを20分下っても、ちっとも山荘の姿が見えてきません。ルートはあってるはずですが、不安になってきます。が、25分位下ったら、人工物らしきものが見えてきました。15:30ごろ、やっと到着。ふう、長い行程でした。

くるみ割り人形10/28②(@新国立劇場)

2幕のディベルティスマンの振付も、難しそうなものばかり。

スペインの踊りは女性2人、男性1人。ちょっとした手足や首の角度の違いなのでしょうが、寺田さんは見せ方が上手いなぁ。

アラビアの踊りは女性1人、男性4人で、リフト多用。紅一点の木村さんは地上で踊る時間より、リフトされながら踊る時間の方が多いのでは?男性陣にリフトされながら、前方に倒れこむ振付がありました。「マノン」の娼館の場面で似たような振付ありますが、空中で前方に倒れこむ恐怖をダンサーの方はどうやって克服しているのでしょうか。アラビアの踊りは色気が必要とされる役柄なので、木村さんだけでなく他日キャストの本島さん、寺井さんもハマった役柄になりそうです。

中国の踊りは京劇風。通常女性・男性1名ずつのペアですが、女性1名、男性2名。奥田さんが元気で軽やかでした。

ロシアの踊り。女性4名の中に、男性1名で、男性ダンサーが主役。福田君の踊りが爆発していました。1幕でおじいさん役をやっていた人と同じとは思えない。ロシアの踊りは爆音でどんどんテンポが速くなるにつれ、客席のボルテージもあがるので、尻すぼみな踊りだと肩透かしをくらうのですが、見事に最後まで観客を引き付けていました。大喝采。1幕でクララの父母役を演じていた貝川君と本島さんが、友情出演的にロシア人形風の格好で突如現れ、ロシアの踊りグループと一緒に踊っていたのが謎でした。

蝶々の踊り。謎の役「蝶々」はこれか!葦笛の踊りの曲で蝶々の格好をしたダンサーが踊ります。踊りも格好も蝶々だな、とは思いましたが、なぜ蝶々?葦笛の踊りはフランスをモチーフにしているので、フランスと蝶々ってなにか関係があるのでしょうか。

花のワルツは群舞の美しさが際立っていました。背景が緑と青の中間色で、中央にはビザンチン様式風(?)のいくつものドームをもつ左右対称の建物が描かれています。どこかで見たことあるような建物ですが、何の建物だっけ。上方にはオレンジ色のバラ科の花がいくつも吊り下げられています。背景の緑と花のオレンジ色のコントラストが美しい。補色ですね。女性陣の衣装は裾に向かって色が濃くなる綺麗なオレンジ色。何枚も布を重ねてあり、動くたびにフワーッと柔らかに広がり、オレンジ色のポピーの花が舞台上にたくさん咲いているよう。高揚感とちょっとした哀愁を含むチャイコフスキーの音楽との相乗効果で、いつまでも終わらずに見続けていたいワルツでした。

最後はお待ちかねの金平糖の精と王子のパドドゥです。やはり難易度の高い振付。小野・福岡組の息のあった踊りを堪能しました。顔や腕をあげる角度が揃っていて、観ていて気持ちいい。リフトでは、「絶対落とさないぞ」という福岡君の心の声が聞こえてくるような鉄壁のサポート。ソロパートではそれぞれの良さを発揮していました。福岡君は、高度な技術なのにこれ見よがしにテクニックを誇示せず嫌味の無い、爽やかで美しい踊り。ソロになると、水を得た魚感がハンパない。小野さんは音感豊かに、ニュアンスがあって甘やかな踊り。チェレスタの不思議な音色とキラキラした小野こんぺい糖の精が、夢見心地にさせます。コーダでも難易度高く細かな振付で、フィニッシュがオケの音に間に合うか息をのんで見守りましたが、杞憂に終わりました。小野・福岡組はいつも質の高い舞台を見せてくれて、本当に満足度が高い。

新しい作品に取り組むバレエ団の熱が舞台から伝わってきて、終始楽しく見られました。バクランさんの指揮や東フィルの奏でる音も舞台を盛り上げてくれました。今回はシーズンオープニングということでこの時期の上演でしたが、再演はやはり12月が良いですね。