シンデレラ(@新国立劇場)

4/27と4/29、5/5のに新国立劇場のシンデレラに行ってきたので、軽くメモ。

4/27の初日は米沢さん・渡邊君のペア、4/29は木村さん・井澤のペア、5日は小野さん・福岡君のペアです。

今回は、それぞれの日の主演の二人の舞踏会冒頭出会い場面の演技に注目して観劇しました。

まず27日の米沢さんと渡邊君。舞踏会に来た米沢シンデレラは「ここは現実の世界ではなく、夢の世界に迷い込んだのかしら」と言った感じです。王子は眼中にありません。一方の渡邊君演じる王子は、シンデレラがストライクゾーンのど真ん中だったようです。シンデレラが登場後、にこやかに、両手でしっかりシンデレラの手を握りしめ続けます。振りの都合上、片手を離さなければならないときは、仕方なく片手でシンデレラの手を取りますが、すぐさままた、両手でシンデレラの手を握ります。シンデレラに対する好意を隠そうとしません。情熱的な王子。

29日の木村さんと井澤君。木村さんのシンデレラはきらびやかな舞踏会に圧倒され、自分がこの場に居ていいんだろうか、場違いなのではといった雰囲気をどことなく漂わせています。魔法できれいなドレスを着て美しく装っていますが、本来の灰かぶり姫の自分の姿を決して忘れていない感じです。井澤君の王子は、感情表現が抑え気味。高貴な身分の人が感情を表出すると周囲の人への影響が大きいということで、なるべく皆に等しく接し、平静を装うようにしている設定なのかもしれません。

5日の小野さん・福岡君は、互いに一目ぼれのシンデレラと王子。言葉を交わすまでもなく、お互いを見つめあい続け、目をそらしません。恋する2人に言葉はいらない、ただ見つめあうだけ(書いてて恥ずかしくなってきた・・・)、という感じです。

主演ダンサーの踊りについては、それぞれ素晴らしかったので、省略。

四季の精は、春の精の五月女さんと秋の精の奥田さんが良かったです。春の精は跳ねて、跳ねて。秋の精は、上体を傾けたポジションで、外に振られそうになる力に抗しながら2回転する姿が、つむじ風が巻き起こっているように見えました。風が吹いて、落ち葉が舞い上がる。

今回のシンデレラ公演での個人的なトピックは、奥村君の義理の姉と王子の友人役の速水君です。

義理の姉は、付け鼻に派手なメイクで道化もののような役割です。ですが、奥村君の義理の姉は意外ときれい。首筋や手の動きがきれいで、ややもすると女性に見えます。つけぼくろは何となく色っぽい。付け鼻をしていない奥村君演じる義理の姉をモノクロ映画で観たら、昔のヨーロッパの女優さんのように見えるかもしれません(というのは言い過ぎか)。

ファーストキャストの古川さん演じる義理の姉は、意地悪で下品だけどコミカルでちょっと憎めないところもあります。終盤、シンデレラが実は舞踏会で王子の心をさらった女性と同一人物だと判明してからは、驚愕するものの最終的には「幸せになりなさいよ。」といった感じで、ふっきろうとする。

一方、奥村君はシンデレラが王子の思い人と分かった後、ぐちぐちとして、シンデレラを祝福する様子はありません。自分が王子の心を射止めることが出来なかったことが残念という雰囲気です。キャラクター造形の裁量が、どこまでダンサーに許されているのか分かりませんが、古川さん・奥村君それぞれの義理の姉で違いがあるのも面白い。

王子の友人役の速水君は、自信にあふれたクリアな踊りが素晴らしかったです。舞台での踊りを観ていると、この踊り方はどこかで観たことがある気がする・・・。そう、3月のラ・バヤデール公演前のクラスレッスン見学会で、押し出しがいい目立つ踊りをしているダンサーがいました。茶髪にバンダナを巻いているダンサー。遠目から誰だろうと思っていたのですが、速水君だったということが分かりました。今後も観るのが楽しみなダンサーの一人です。

ということで、今回のシンデレラ鑑賞メモは終わりです。