2日目は別山、真砂岳、大汝山、雄山

立山三山縦走ツアー2日目のメモ。

1日目の雨空はどこへやら、2日目は晴れました。ガイドの方によると、3泊4日のツアーのうち、1日目以外は晴れと予想されていたので、初日の強い雨風の中突っ込んでいったのだとか。

朝食から出発まで時間があったので、小屋の外に出てみると、公衆トイレの建物の近くに立っている人たちが、ガスった谷底に向かって手を振っている様子が目に入りました。ガスが湧いている谷底では人影など見えるはずもないし、あの人たちは何をしているのだろうと近づいてみます。

すると、ガスの中に丸く虹がかかって、輝いた虹の中に影が映っています。ブロッケン現象です。みなさんブロッケン現象で映った自分の影を確認するために、手を振っていたのでした。ブロッケン現象は初めて見ましたが、神秘的です。ブロッケン現象を科学的に解明できなかった昔の人が、神や仏の姿が谷間に見えたと思っても不思議ではない、神々しさです。すかさずスマホで写真を撮りましたが、スマホ内蔵カメラの性能が良くないため、ちっとも綺麗に写らなかったのが残念。

2日目の行程は、剱御前小屋に近い別山に登ることから始まります。晴れてはいるものの風が強くて寒く、夏用のウェアの上に、雨具の上下を着て出発です。靴はまだ濡れています。別山は小屋から本当に近く(ルートタイムは30分)、あっという間に南峰に着きます。別山南峰には祠あり。雪から守るため周りを石で囲われていて、正面にまわらないと祠は見えません。

南峰にザックを置いて、身軽になって北峰にも足を延ばします。南峰と北峰の間には池があり、池の半分近くはまだ雪が残っています。池の水は日光を反射して、キラキラと輝いている。いい気分で北峰までの登山道を歩いていると、ハイマツからヒナが2羽とそのあとを追って親鳥が出てきました。雷鳥の親子(ヒナとお母さん雷鳥)です。初めて野生の雷鳥を見られました。今回立山ツアーに参加したのは、立山なら雷鳥を見られるはずという期待もあったので、目的達成!雷鳥はハイマツで食・住をまかなっているそうなので、朝ご飯を食べた後のお散歩だったのかもしれません。我々ツアー一行に気付いて慌てるでもなく、急ぐわけでもなく、ふつうにツアー一行の目の前を横断していきました。かわいい。

別山北峰に着くと、目の前に剱岳がドーン!南峰からも見えましたが、北峰からはさらに近い。ガスがかかった剱岳は、そんじょそこらの登山者を寄せ付けない雰囲気を放っています。登りたいという気にもなりませんが、どうやって登るのか見当もつきません。ツアー仲間の中には、剱岳に登る!と決意している人もいましたが、すごいなぁ。

北峰から南峰に折り返して、次は真砂岳へ。真砂岳は何故だろう、あまり記憶にありません。真砂岳の標識を撮った写真があるので行ったはずなのですが・・・。

が、山の記憶はないけれど、青空にくっきりと山の稜線がなだらかな線を描いて浮かびあがる様を見ながら、縦走路を気持ちよく歩いた記憶はあります。眼下にカールを眺めながら歩いていったなぁ。

真砂岳からザレた道を歩いて、富士ノ折立のそばを通ります。富士ノ折立はガラガラとした岩山なので、そばから眺めるだけ。登りません。

富士ノ折立からすぐに大汝休憩所があります。大汝休憩所前に休憩スペースがあり、休憩所内で休まない登山者は、ここで行動食を取ったりしています。わたしも剱御前小屋で用意してもらった昼食用のお弁当の一部をいただきました。まだ時刻は10時半ごろでお昼にはまだ早いのですが、13時頃には2日目の宿泊先、一ノ越山荘に着く予定だったのでいい頃合いかと。

剱御前小屋で用意してもらったお弁当は、おにぎり2個、チーカマ、真空パック(?)入り鮭、チーズ、ミニゼリーでした。おにぎりはコンビニで売っているような、海苔を食べる直前に巻くタイプのもの。おにぎりの包装紙には何味か書いてありません。食べてみると、初めに昆布の佃煮が出てきて、次に紫、そのあと小梅。昆布と紫と小梅が一つのおにぎりに入っていたわけで、そりゃ何味と表記しないよねと妙に納得しました。

それにしても大汝休憩所前は寒かったです。誰かが気温は5度と言ってましたが、風も強かったので本当に寒かった。この時はまだ防寒のための雨具の上下を身に着けていましたが、寒くて雨具を脱ぐ気にならず。

大汝山の山頂らしき標識が立っている場所は、岩が組み合わさった、人ひとりが立てそうもないスペースです。危ないので上まで登っちゃダメとのガイドさんの言葉で、危なくない程度のところまで岩を登り、木製の「大汝山3015m」というプレートを持って記念写真を撮るツアー仲間。他の登山者団体(韓国人グループ)も記念写真を撮りたくて並んでおり、時間がかかりそうなのでわたしはプレートだけ撮影しておしまいです。

大汝休憩所から雄山はすぐ。時間に余裕があるので、雄山山頂でお祓いをしてもらったり、御朱印をもらったり、思う存分記念写真を撮ったりしてツアー一行は雄山を満喫しました。

わたしはお祓いをしてもらうことにしました。500円払って、山頂のお社に続く道を入っていきます。鈴のついたお札のようなものをいただきましたが、このお札、雄山に行く道々で登山道に落ちているのをたびたび見かけました。細い針金がついたお札をザックに括り付けておいたら、歩いているうちに千切れて落ちてしまったのでしょう。お札をもらって意気揚々とザックにつけていたのに、いつの間にやら落としていたらショックだろうな・・・。

お社に続く道の途中で、前のグループのお祓いが済むまでしばし待機。お社までの交通整理をするための神社スタッフの方が一人。交代制でしょうが、高度感のある狭い場所で風の強い日に居続けるのは大変そうです。

前のグループのお祓いが終わって山頂からはけたら、いよいよ山頂のお社に続く階段を昇っていきます。山頂に着くと、そんなに広くはないスペース。小さなお社があります。曙のような色の衣を纏った神主さんが一人。神主さんはなれたもので、お祓いが終わった後は時間を取れないのでお祓い前に写真撮影をするよう、参拝者に促します。「雄山頂上 標高3003m」という富山県の標識があったので、すかさず撮影。ひととおり写真撮影が終わったら、参拝者は玉砂利(?)の上に座ってお祓いを待ちます。参拝者は結構みっちりと座っていて、広くはないスペースに軽く30人以上はいたと思われます。

神主さんが祝詞をあげてお祓いをしていただき、お祓いが終わったらお神酒がふるまわれます。順番にお猪口がまわってきますが、注がれたお神酒はすべて飲み干さなくてもいい。お酒がダメな人は、無理にお神酒をもらわなくてもいい。

雄山は多くの参拝者、というか登山者で賑わっていました。普通の神社にあるお守りも売ってますが、カップヌードルや軽食、ジュースも売ってます。カップヌードルを食べている人がいましたが、どうして山で見かけるカップヌードルは美味しそうに見えるのでしょうか。

雄山でゆっくりしたら、この後は2日目の宿泊地、一ノ越山荘へ。雄山から一ノ越山荘までの下りはガレた急坂です。前の人と意識的に間隔をあけて、石を落とさないように下ります。下りと登りの道は分かれている部分もあるようなのですが、登りの矢印がついた道が険しいため下山路の方を選んで登ってきてしまう人もいます。そして室堂から整備された石畳の道経由で雄山に登ろうという人の中には、ビーチサンダルでガレた道を登っている人もいました。雄山からの下山路を下り終わって、雄山を見上げると、かなりの高度感があります。

一ノ越山荘には13時過ぎに到着です。早い!今回の立山三山ツアーは1~3日目までの行動時間が短い。そのため早めに山小屋に着いて、あとはのーんびりと過ごします。登山ツアーに参加すると大抵慌ただしいものですが、ゆっくりのんびりのツアーもいいものです。

一ノ越山荘で宿泊した部屋は2階で、窓から見える景色は山側ではなく、室堂・町側。日が暮れてくるとはるか遠くに町の明かりが見えます。反対側の山側の部屋だと、槍ヶ岳や富士山などの山並みがずらーっと見えるのです。翌日の朝、モルゲンロートを見ようと夜明け前から外で待機する必要もありません。夕日に染まる山々も窓から見られます。山側の部屋がうらやましい・・・。といっても一部屋3人(定員は5人位?)で使えたので、町側の部屋もゆったりとして良い部屋でした。紙製の枕カバーは、いらないかな・・・。ちなみに一ノ越山荘のトイレはとても清潔でした。

山荘の乾燥室は、温風機のようなものはなく、自然乾燥でした。着ていたウェアはそれで間に合うとして、初日にびしょ濡れになった靴の内部はまだ湿っており、靴下も靴からしみ出た水分で濡れています。寒いものの、日差しはたっぷりある一ノ越山荘前の広場。ガイドの方やツアーメンバーは山荘前の日当たりの良いところに、靴と靴下を天日干ししています。わたしも真似して靴と靴下を天日干し。結果、夕飯前ぐらいまで数時間干していましたが、完全に乾きはしなかったもののかなり乾きました。天日はすごいな。

一ノ越山荘の夕飯メニュー。この日は、白米、お新香、ゴロゴロ野菜のシチュー、里芋と高野豆腐の煮物、一口カツ、千切りキャベツ、オレンジ一切れ。飲料水は無料で汲み放題です。室堂に近くて物資を入手しやすいからか、売店のホットココアは剱御前小屋より若干お安め。山荘内の1階トイレ前のスペースでストーブがついていたくらい2日目も寒かったので、温かいものが欲しくなります。

さて、一ノ越山荘から見られる夜空ですが、室堂から近くて辺りが完全に暗闇でないからか、思ったほど星は見えません。見えないわけではないのですが、降るような星空という感じではありません。アクセスしやすい一ノ越山荘ですが、星空だけが少し残念でした。そんなこんなで2日目は終了です。